ストーリー展開とは? コツとテクニックを紹介!

何の苦もなく「ストーリーがパッとひらめいた」という人を、私は疑います。良質なストーリーを生み出すためには、地に足をつけて一歩ずつ進む必要があるからです。たとえ天からアイデアを授かっても、作者がストーリーを展開させる術を知らなければ、宝の持ち腐れとなってしまうでしょう。そこで今回は、そもそもストーリー展開とは何かという疑問に答えつつ、ストーリー展開のコツや、すぐに役立つテクニックなどを紹介します。

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ストーリー展開とは?

ストーリー展開とは物語を進めることです。あるエピソードから新たなエピソードを生み出すことを指します。一般的には起承転結や序破急といったフォーマットに則って話の流れを作ることです。

ストーリー展開のコツはひとつだけ

ストーリーを展開させる際は、視聴者の興味をひきつけるよう心がけてください。勘違いしないでいただきたいのですが、決して視聴者に迎合しろと言っているわけではありません。こびへつらって流行を追ったストーリーを展開しても、視聴者は白けてしまいます。そうではなく、人間が本能的に興味を示す方向へ、ストーリーを転がすことが重要なのです。そのために、登場人物が困難に遭遇したり、失敗を犯したりする様子を描きます。つまり主人公を困らせます。これがスムーズにストーリーを展開させるために必要なたった一つのコツです。

サクセスストーリーより輝く失敗談

テレビのバラエティ番組でタレントが披露するネタは、失敗談が元になっていることが多いです。不祥事を起こしたタレントが復帰した時、人々の関心はそこに集中します。「あの時どんな気持ちだったか」「その後どうなったか」という野次馬根性は、誰でも持ち合わせているものです。その感性は、エンターテインメント的な興味関心と通じます。

逆に、成功秘話(=サクセスストーリー)ではいけないのかと疑問を抱く方がいるかもしれません。確かに、そのようなテーマのテレビ番組も存在します。しかし、その際に視聴者が求めるものは教訓です。自分の立場に置き換えて参考にできないかという目線で視聴します。それはエンターテインメント的な興味とは異なるニーズです。ハウツー本やビジネス書の読者には適したテーマですが、映画やドラマの視聴者の心には刺さりません。

一方、エンターテインメント作品の中にもサクセスストーリーと呼ばれるジャンルがあります。しかしこれらの作品で描かれる部分は、得てしてそこに至るまでの苦労話や失敗談が主です。成功した描写は、最後の最後に少しだけ見せます。娯楽性を重視する脚本では、登場人物に試練や困難を与え、尚且つ失敗させなければなりません。

いきなり、主人公を困らせろ!

現実で「誰かをおとしめてやろう。困らせてやろう」と考える人とは付き合いたくないものです。しかし作劇の上でこのように考えられる人は、優れた脚本家になれるでしょう。その際のターゲットは、主人公に絞ってください。脇役は試練を与える側(仕掛け人)だと割り切ります。作品の中心は主人公であり、その動向を追ってストーリーは展開するからです。

嫌がらせを与えるには、まず主人公について理解しなければなりません。毛虫は誰もが嫌いだろうという固定観念に則って驚かそうとしても、虫好きには通用しません。性格や社会的立場、タイミングなどを十分考慮して、一番してほしくないこと、会いたくない人、物、環境などをぶつけてください。そして、それは唐突でいいのです。「10分後に困難が来ます」と前振りをしたり伏線を張ったりせず、青天の霹靂であることが重要です。

ストーリーを展開させる具体的な手法

料理が苦手な人や話下手な人がいるように、嫌がらせの才能がない人もいます。その手段がどうしても思いつかない人は、以下のテクニックを参考にして、主人公を追い詰める算段を巡らせてください。

台詞で困難を表現する

「ふざけるな」「やめろ」「許さない」「あきらめない」「やってやる」。語彙が乱暴になる、強い決意を表す台詞が飛び交うなどのシーンでは、十中八九、主人公は困難に直面しています。その状況を打破しようと起こす行動がストーリーを展開させるのです。ストーリーが展開しない時やその困難が不明瞭な時は、台詞に着目して打開の糸口を見つけると良いでしょう。

失敗は視聴者にアピールする

人間は、過ちを犯した際に隠そうとします。この傾向は事態が大げさであるほど顕著です。しかし物語の登場人物が犯す過ちは、本人の意志に関わらず、視聴者に明らかにしなければなりません。

例えば夫(主人公)が妻と車でドライブをしている最中に検問に遭遇します。冷や汗ダラダラの夫。妻にはその理由が見当も付きません。実はトランクに愛人の死体が隠されているのです。

愛人を殺害したという過ちを犯した夫は、検問所の警察官や妻にそれをアピール(告白・暴露・懺悔)するべきでしょうか。答えは否。その瞬間、物語は終了です。むしろ、誰にも知られずにこのピンチを解決しようと右往左往させることでストーリーは展開します。この失敗を知るのは当の本人である夫と視聴者のみです。「どうやって切り抜けるのか」と、興味を引き付けられます。

困難に手心は加えない

脚本執筆にかかる時間は、数週間から数カ月程度。執筆時間が長いほど登場人物にも愛着が湧きます。ひどい目に合わせてばかりでは気の毒だからと、平穏を与えようとする過保護な脚本家は少ないでしょう。しかし、乗り越えることを前提にした安易なトラブルを用意して、困難を与えたと勘違いする脚本家は多いかもしれません。

紙の壁で道を遮っても、ビリビリ破って進めてしまいます。ハードルが低いストーリーでは物足りません。コンクリートの壁を用意してこそ、空を飛び、土を掘り、ハンマーで破壊して、方向転換をして、解決策を模索します。その行為こそが、ストーリー展開の要です。そして壁は、次から次へと立ちはだからなくてはなりません。一難去ってまた一難という状況が、主人公を魅力的に変え、ストーリーを先へ先へと押しやります。

オンリーワンの困難を考える

天災は多くの人にとって困難です。しかしそれだけに、ストーリー展開に役立てにくいでしょう。地震にしても台風や大雨にしても、多くの人間が等しく被害を受ける事態は、物語上の焦点がぼやける要因です。辛い立場の人が大勢いる中で、主人公に着目する理由が希薄になります。

困難は、対象となる登場人物に特化すべきです。被災し家族を失った主人公(子供)が、遠い親戚である叔母に預けられたとします。叔母はいつでも優しく見守る存在であり障害でもなんでも無いように思えます。しかし、子供は天災で潰れた生家に帰りたいと望んでいるのです。子供の身を案じる叔母は被災地へ行くことに反対します。この時、子供にとっての叔母は、目的遂行を阻む明らかな困難です。

このように主人公に特化したハードルを用意すれば、ストーリーが展開しやすくなるだけでなく、作品にオリジナリティが生まれます。

まとめ

ストーリーのアイデアは不意に思いついても、展開させるにはコツが必要です。ストーリーを展開させるには、登場人物をどう困らせてやろうかと考えます。そして脚本家自身が、脂汗をかいて解決策を導き出さなければなりません。根気が必要ですが諦めずに取り組んでください。