キャラクター設定で悩んだら「態度」を見直せ!

この記事は 2023年10月24日 に更新されました。

魅力的な登場人物を作るにはキャラクター設定が必要です。しかし考えが思うようにまとまらないこともあります。そのようなときは、キャラクターの「態度」を見直すと糸口をつかむきっかけとなるでしょう。記事では、米国アニメ映画『ペット』を参考にして魅力的なキャラクター設定の作り方を解説します。

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映画『ペット』には個性的なキャラクターが満載

『怪盗グルーの月泥棒』や『SING/シング』などのアニメーション制作会社「イルミネーション」が手掛けた2016年公開のアニメ映画『ペット』には、個性的なキャラクターが数多く登場します。

多種多様な動物のキャラクターたちすべてが、観客の印象に残っているのです。それは態度が印象的だから。態度はキャラクターの性格や人物像を表します。態度がハッキリした登場人物は観客に認識されやすく、感情移入もされやすいでしょう。アニメーション映画なので多少オーバーに描かれていますが、『ペット』における態度の描き方は、キャラクター設定の良いお手本になります。

飼い主に従順な王道の主人公

映画『ペット』の主人公は犬のマックス。出かける飼い主のマフラーに食い下がったり、ドアの前で延々と帰りを待ち続けたり、忠犬ぶりを態度で示します。さらに回想シーンでは、ハトに怯えたり、靴を噛んでいたずらをしたりするのです。これらもマックスの性格を表す態度の一環だといえるでしょう。飼い主に従順で好奇心旺盛、お調子乗りだけれど活発な男の子という設定がきちんと伝わります。

観客にはいち早く映画の登場人物に感情移入してもらわなければなりません。そのためには、そのキャラクターがどういう性格なのかという設定を冒頭で伝える必要があります。しかも要点を絞って簡潔に。だからキャラクター設定を伝える態度は重要なのです。

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ガサツを隠して上品に振る舞うヒロイン

初登場時のギジェットは、間抜けな顔で眠る少しガサツなメスのポメラニアンという印象です。しかし、好意を寄せるマックスの前では上品で可愛らしい自分をアピールします。これは年頃の女の子にありがちな態度です。

また、本性がおてんば娘というキャラクター設定は、物語が進むにつれて開花します。獰猛なタカのタイベリアスを従えたり、マックスのピンチに駆けつけたり、魅力的なエピソードにつながるのです。彼女の態度が映画の見所を生み出したといえるでしょう。

太った容姿が説得力を増すご意見番

キャラクター設定は外見で表現することもできます。筋骨隆々の肉体は男らしさを演出するし、モデル体型は女性らしさを印象づけるでしょう。これもキャラクターの態度の一環です。猫のクロエは太った外見とスローなふるまいが相まって、ご意見番のような貫禄があります。彼女の言葉が説得力を持つのは、その体型が一役買っているのです。

市販のペットフードには見向きもせず、人間用のチキンやケーキに目がないクロエ。冷蔵庫の前で食べようかと逡巡する態度は、完璧な彼女に愛嬌を与えます。また、ピンチの場面でもあえて平静を装う人間くさい態度が、多くの観客から愛される所以です。

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やられたらやり返すライバル

『ペット』はマックスの平穏な日常が、あることをきっかけに激変することから始まります。それはライバルとなるデュークの登場です。デュークは初対面から喧嘩腰、というわけではありません。多少がさつでも立場はフラットでした。ところがマックスが敵意を見せた途端にスイッチオン。やられたらやり返す態度を示したのです。

デュークは、この家に1匹しかペットが住めないならその権利を譲るつもりはない、とマックスに言い放ちます。実際に寝床を奪い取り、エサを独り占めするのです。「弱みを見せたら付け込まれる」と警戒しているようにもみえます。これはデュークが保健所に捕まった過去が関係しているかもしれません。このような態度から、彼の性格を形作ったバックボーンが垣間見えます。

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態度はキャラクター設定を映す鏡

優れたキャラクターは、主役や脇役に限らず、考え方やポリシーが確立しています。なぜならドラマとは考えの異なるキャラクター同士のぶつかり合いだからです。主張がぼやけたキャラクターでは衝突のしようがありません。それはドラマが生まれないことを意味します。

脚本家は、キャラクターに性格や考え方といった情報を付与します。それがキャラクター設定です。「このキャラクターは正義感が強い」とか「あのヒロインは愛に飢えている」などの設定は態度でスパッと示すと、観客にスムーズに伝わります。

例えば「年功序列は間違っている。能力で評価されるべきだ」という考えのキャラクターなら、目上の人に対して敬語を使わないとか、「好きなものは隠す必要がない」というポリシーを持っているキャラクターならアニメのプリントTシャツを着て堂々と出社するかもしれません。
他にも「痩せたほうがキレイになれる」と思い込んだキャラクターならダイエットに精を出すでしょうし、「メガネは異性にもてない」と考えればコンタクトに切り替えます。

態度はキャラクター設定を映す鏡です。このキャラクターならこんな行動をするはず、こんなファッションを好むだろうと想像をふくらませてください。

まとめ

キャラクターには個性が必要です。しかしオリジナリティあふれるキャラ設定を作ったとしても、観客に伝わらなければ効果は半減します。そんなときには態度を工夫しましょう。そのキャラクター独特の態度を取らせることで、固有の性格や考え方をスマートに読者へ伝えることが可能です。映画『ペット』に登場する登場人物たちは、ストーリー序盤で簡潔に態度を示すことで、観客にキャラクターを印象づけることに成功しています。参考にしてください。

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