脚本を勉強し始めると、「まずは短編を書いてみよう」と言われることがよくあります。
ただ、いざ短編を書こうとすると、何を書けばいいのか分からなくなったり、途中で話が広がりすぎて収拾がつかなくなったりしがちです。
短編映画は、長編映画を短くしたものではありません。
考え方そのものが違います。
この記事では、脚本初心者の方に向けて、短編映画の脚本を考えるときの基本を、できるだけ分かりやすく整理します。
目次
短編映画は「小さい長編」ではない
まず押さえておきたいのは、短編映画は長編映画の練習用ダイジェストではない、という点です。
長編映画では、登場人物をじっくり描き、出来事を段階的に積み重ねていきます。一方、短編映画は、ひとつの問いやひとつの変化に集中して描く形式です。
設定や背景を広げすぎると、短編ではすぐに時間が足りなくなります。短編は削ることが前提の物語だと考えた方がうまくいきます。
物語の中心は「誰かが何かを欲していること」
短編でも長編でも、物語の核は共通しています。
必ず、誰かが何かを欲しています。そして、その欲しいものは簡単には手に入りません。この構造があるからこそ、物語が動きます。
短編の場合、この「欲しいもの」はとても小さくて構いません。
たとえば、許してほしい、帰りたい、本音を言いたい、ある選択を避けたい。こうした身近な欲求で十分です。
欲張って複数の目的を入れると、短編は一気にぼやけてしまいます。
「ドラマの問い」をひとつだけ決める
短編映画には、必ずひとつのドラマの問いがあります。
それは、「この人物は〇〇できるのか?」という形で表せる問いです。
例としては、次のようなものがあります。
・彼女は本当の気持ちを伝えられるのか
・彼は逃げるのか、それとも向き合うのか
・二人は別れを受け入れるのか
短編は、この問いに答えるためだけに存在します。
それ以外の要素は、基本的に削っていきます。
短編映画の基本構造はとてもシンプル
短編の構造は、難しく考える必要はありません。
大まかには、次の流れだけで成り立ちます。
最初に状況が提示され、問題や対立がはっきりします。その後、登場人物が何らかの選択や行動を行い、最後に何かが変わる、もしくは変わらないと確定します。
特に重要なのはラストです。
成功でも失敗でも構いません。ハッピーエンドである必要もありません。
物語の問いに対して、答えが出ること。それが短編の終わりです。
アイデアは「小さくていい」
脚本初心者がやりがちなのが、テーマを大きくしすぎることです。
短編で、人生や社会や愛のすべてを語ろうとしなくていい。
むしろ、短編に向いているのは、ごく小さな感情の動きです。
一瞬の後悔、言えなかった一言、小さな嘘、ささいな選択。
短編は出来事を描くよりも、感情の変化を切り取る形式だと考えると、ぐっと書きやすくなります。
書くときに意識したい最低限のポイント
最後に、短編脚本を書くときに意識しておきたい点をまとめます。
登場人物はできるだけ少なくすること。
場所もできるだけ絞ること。
ドラマの問いはひとつに集中すること。
ラストで何が変わったのかを必ず確認すること。
このポイントが守れていれば、短編として十分に成立します。
まとめ
短編映画は、技術をすべて詰め込む場所ではありません。
むしろ、脚本の基礎を確認するための最適な形式です。
シーンとは何か、目的とは何か、変化とは何か。
これらを理解するために、短編を書く経験はとても役に立ちます。
うまく書こうとしなくて構いません。
まずは、ひとつの問いを最後まで描き切ること。
それが、脚本初心者にとって一番大切な一歩です。

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