脚本は「柱書き」「ト書き」「セリフ」という3つの要素で構成されています。なかでも柱書きは、場面ごとの場所や時間を指定する重要な要素ですが、初心者にとっては「○」や「同」といった独特な書き方に戸惑うことも多いでしょう。
この記事では、脚本家として実際に柱書きを書く際に意識しているポイントを踏まえながら、柱書きの意味や役割、適切な数の目安、そして「同」や「回想」といった具体的な書き方までを解説します。柱書きの基本を押さえれば、誰が読んでも同じ映像を思い描ける、伝わりやすい脚本に近づきます。
目次
脚本の柱書きとは

柱書きは、脚本を構成する要素のひとつで、場所や時間帯などを指定する役割を持ちます。
- ○百貨店・社員用通行口(早朝)
文頭には必ず○を付けます。柱書き(シーン)の入れ替えや削除、挿入は頻繁に起こるため、執筆途中にナンバーは書きません。
柱書きでは、時間帯も指定できます。何も書かない場合は昼間を意味しており、特別な指示がある場合は文末に書きます。
例えば、柱書きを書かずに「A夫「おはよう」」というセリフから脚本が始まっていたらどうでしょうか。読者(製作者)は、これがどこで、いつ起きている会話なのかわかりません。柱書きを「○リビング(朝)」と書くだけで、リビングのセットを準備し、朝の光を再現する、という具体的な準備につながります。柱書きは、脚本と現場の準備をつなぐ最初の指示なのです。
脚本の最小単位
柱書きは、脚本の最小単位です。柱書き(シーン)が複数集まって脚本を構築します。
ちなみにシーンを更に細分化した単位がカットです。脚本ではカット割りまで指定することはありません。もし、読者(製作者)にカット割りを意識させたいのであればト書きを工夫します。脚本家がカット割りまで決めてしまうと、監督やカメラマンの仕事を奪うことになり、現場の創造性を狭めてしまうからです。
[clink url=”/scenario-togaki/”]
柱書きの役割

柱書きの一番の役割は、場所と時間を明確にすることです。
読者(製作者)は、柱書きからシーンを撮影する場所を理解します。そのため、誰が読んでも同じ認識を持てるよう正確に書くことが求められます。
柱書きは、執筆段階だけでなく、撮影現場でも重要な役割を担います。ロケ地の選定、美術や照明の準備、出演者のスケジュール調整など、すべて柱書きの情報を基準に進められます。柱書きがあいまいだと、現場でのスタッフ間の認識がずれてしまい、余計な確認作業や撮り直しが発生しかねません。脚本家にとって柱書きは、物語を伝えるだけでなく、現場をスムーズに動かすための設計図でもあるのです。
柱書きの数

柱書きの数には決まりがありません。しかし、どうしても平均的な数が気になる人もいるでしょう。
そのような方は、1時間の脚本(400字×60枚程度)に対し、50~60の柱書きを目安にしてください。約1分に1回シーンが変化するので、視聴者を飽きさせず、テンポが良いと言われています。
柱書きの数が極端に少ないと、ひとつのシーンが長くなりすぎて、説明的な会話に頼りがちになります。逆に柱書きが多すぎると、シーンが断片的になり、物語の流れを追いにくくなることもあります。あくまで目安ですが、シーンの切れ目を意識することは、テンポの良い脚本を書くうえで役立つ視点です。
柱書きの書き方

柱書きの書き方には決まりがあります。例えば柱書きを書く前には一行空けたり、大枠は同じでも違う場所を書く際には「同」で省略したりします。
- ○百貨店・社員用通行口(早朝)
- (内容)
- ○同・店内(早朝)
他にも、回想シーンを挿入する場合は、始まりと終わりを明示することも暗黙の了解です。
- ○百貨店・社員用通行口(回想始め)
- (内容)
- ○同・店内(回想終わり)
柱書きを書くときは、場所の指定が曖昧にならないように注意しましょう。例えば「○どこか」「○ある場所」といった柱書きでは、読者(製作者)はロケ地も美術セットも準備できません。「○公園・ベンチ付近(夕方)」のように、できるだけ具体的に書くことで、現場が迷わず準備を進められます。
柱書きの書き方に関するポイントは下記にまとめてあります。例文を用いてやさしく解説しているので参考にしてください。
[clink url=”/scenario-hashiragaki/”]
柱書きに関するよくある質問
Q. 柱書きの「○」にはどんな意味がありますか?
「○」は、新しい柱書き(シーン)の始まりを示す記号です。脚本の中でシーンが切り替わるたびに、文頭に「○」を付けて場所と時間を示します。柱書きの入れ替えや削除は執筆中に頻繁に発生するため、シーンにナンバーをふらず「○」だけで管理するのが一般的です。
Q. 「同」はどんな時に使いますか?
「同」は、直前の柱書きと同じ建物や敷地内で、別の場所に移動する場合に使います。例えば「○百貨店・社員用通行口(早朝)」の次のシーンが同じ百貨店の店内であれば、「○同・店内(早朝)」と書くことで、場所のつながりを示しながら表記を簡潔にできます。
Q. 柱書きの数に決まりはありますか?
明確な決まりはありませんが、1時間の脚本(400字×60枚程度)であれば、50~60の柱書きが一つの目安とされています。約1分に1回シーンが切り替わる計算になり、視聴者を飽きさせないテンポにつながります。ただし、これは目安であり、ジャンルや作品の雰囲気によって最適な数は変わります。
まとめ
脚本の柱書きは、読者(製作者)に撮影する場所と時間を指示する大切な要素です。そのため、意図が正確に伝わるよう注意を払わなければなりません。
柱書きは脚本の最初の一行であり、現場の準備を左右する設計図でもあります。「○」や「同」、回想の書き方といった基本的なルールを身につけ、誰が読んでも同じ場面を思い描けるような柱書きを書けるようになりましょう。
脚本の基礎をさらに学べる本
脚本の基本フォーマットをさらに深く学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


コメント