アニメ脚本の書き方には、実写脚本の書き方と異なる点があります。違いを理解することでアニメ脚本の書き方が上達するはずです。記事ではなかでも重要と思えるポイントを3つ紹介します。アニメの脚本家を目指す方はぜひ参考としてください。
脚本家として実写脚本を書いてきた経験から言うと、アニメ脚本に挑戦する際は「実写ではできないことを、どう活かすか」という視点が欠かせません。この記事では、アニメ脚本に取り組む前に確認すべきこと、実写脚本との違い、そして上達のための具体的なコツを3つの観点から紹介します。
目次
アニメ脚本の書き方ポイント1_
アニメである必要性を確認する
まず、あなたの脚本をアニメ化する必要が本当にあるか、自問自答してください。これは、アニメ脚本の書き方を具体的に学ぶ前にクリアにするべき大前提です。
ジャンル自体がアニメに適しているパターンがあります。ファンタジーやSFなど、現実とかけ離れた世界が舞台の脚本は、アニメーションに適しているでしょう。
一方、現実世界が舞台の何気ない日常を扱った作品であっても、映像化したいシーンによってはアニメに適しているケースもあります。
自分のイマジネーションを客観的に分析して、アニメ化する必要性を確認してください。
アニメ脚本の書き方ポイント2_
アニメ脚本と実写脚本の違いを理解する
アニメ脚本だからといって、構成、柱書き、ト書き、台詞などの要素は実写脚本と変わりません。ただし、アニメ脚本ならではの表現方法は存在します。
強調されたビジュアルイメージ
アニメ作品に登場するキャラクターや風景、あらゆるオブジェクトなどは、現実よりもデフォルメされていることが多いです。そしてそれが特徴であり魅力でもあります。アニメ脚本を書くときには、それらが正しく伝わるように表現してください。
例えば、「ヒロインの大きな瞳」、「虹色のカラフルな衣装」などの指定をト書きなどに含めます。ただし、描写を細かく書き込みすぎるとアニメーターのイマジネーションを阻害するかもしれません。そのため端的に表現してください。
NG例は、「ヒロインの瞳は、朝露に濡れたエメラルドのように輝き、まつ毛の一本一本まで美しく…」のように、ビジュアルを延々と文章で描写してしまうことです。アニメーターの解釈の余地を奪い、読みにくいト書きになってしまいます。良い例は、「ヒロインの大きな瞳が輝く」のように、伝えたいイメージの核となる部分だけを端的に書くことです。詳細はアニメーターの想像力に委ねましょう。
撮影制限が無い
アニメーションのメリットの一つは、撮影制限が無いことです。日本でも外国でも、宇宙でも、過去でも未来でも、異星人でも動物でも、自由自在に設定できます。アニメ脚本の書き方を上達させるには、思考のリミッターを外して空想の翼を広げることが重要です。
脚本家は、主人公が苦しむようにハードルを用意します。その際、現実離れしたとてつもなく激しいハードルを用意することも、アニメーションなら可能です。オリジナリティあふれる障害を用意してください。
未知のオブジェクトを創り出せる
アニメーションであれば、現実世界には存在しない、脚本家の頭の中だけに存在するオブジェクトを実現できます。武器、生物、ロボット、ガジェットなどなど。
ただし、ここでも実際に描くアニメーターのインスピレーションを邪魔しないよう気をつけてください。いくら脚本家の頭にしか存在しないイメージであっても、説明は数行にとどめておくべきです。
きっと、アニメーターが想像を超える結果を出してくれると信じましょう。
アニメ脚本の書き方ポイント3_
上達のコツ
アニメ脚本の書き方を上達させるにはいくつかコツがあります。
プロの作品を読む
アニメ脚本の書き方を上達させたいのであれば、アニメ作品を視聴することはもちろん、脚本を読むことも忘れてはいけません。プロの書く一行が、どのような映像を生み出しているのか研究しましょう。
百聞は一見にしかず。今すぐ無料でプロのアニメ脚本を読めるサイトを紹介します。佐藤竜雄が原作・脚本・監督を務めた『学園戦記ムリョウ』です。また、本作は『dアニメストア』であれば初月無料で視聴できます(2021年5月調べ)。シナリオと映像を見比べてはいかがでしょうか。
視聴者のペルソナを明確にする
アニメ作品は老若男女問わず楽しめるコンテンツです。しかし、ジャンルやコンセプトによっては視聴者を限定する場合があります。
ディズニー映画やジブリアニメなどは幅広い層に人気が高いアニメ作品です。その一方で、子供向けアニメや大人向けアニメ、釣り好きに向けたアニメ、キャンプ好きのためのアニメなど、ニッチな需要に応える作品も少なくありません。
ここで重要なことは、あなたがどの視聴者層に向けてメッセージを発信したいかということです。アニメ脚本の書き方を上達させるには、そのペルソナイメージを明確にします。
そして、想定する視聴者ペルソナが100%満足するようなアニメ脚本を目指してください。
類似アニメ作品を研究する
世の中には数多のアニメ作品が存在します。なかにはあなたのアニメ脚本と似ている作品もあるでしょう。いくらオリジナリティを追求したとしても、部分的に共通する可能性は否定できません。
既存のアニメ作品はあなたが生み出す作品のライバルである一方、貴重な研究対象にもなり得るのです。同じジャンル、コンセプトのアニメ作品を研究することで、あなたの脚本の書き方が進歩するきっかけにもなります。
柔軟な思考を持って積極的にエッセンスを吸収してください。
初体験を提供する
アニメ脚本の書き方を学ぶ上で常に意識すべきポイントがあります。それは、視聴者に初体験を提供しようと心がけることです。
アニメーションは、ゼロから世界を構築するコンテンツであり、無限の可能性を秘めています。観客も未知の世界へのトリップを期待しているはずです。ワクワクさせてあげましょう。
そのためには、今まで誰も見たことがない世界観やストーリーが必要です。アニメ脚本はその土台として機能します。あなただけの特別な脚本を書きましょう。
アニメ脚本の書き方に関するよくある質問
Q. 実写脚本とアニメ脚本、どちらから学ぶべきですか?
まずは実写脚本の基本(構成、柱書き、ト書き、台詞の書き方)を学ぶのがおすすめです。これらの基礎はアニメ脚本でも変わりません。基礎を固めたうえで、アニメならではの表現(強調されたビジュアル、撮影制限のなさなど)を意識して書くと、スムーズに移行できます。
Q. アニメ脚本のト書きはどこまで詳しく書くべきですか?
伝えたいイメージの核となる部分を端的に書くのが基本です。例えば「巨大なロボットが街を破壊する」のように、状況と規模感が伝わる程度で十分です。色や質感などの細部は、アニメーターやデザイナーの解釈に委ねましょう。
Q. アニメ脚本のアイデアが「実写でもできそう」と感じたらどうすればいいですか?
ポイント1で紹介した「アニメである必要性」をもう一度見直してみましょう。実写でも成立する企画であれば、必ずしもアニメにする必要はありません。現実離れした世界観やデフォルメされたキャラクターなど、アニメならではの表現が活かせるかどうかを基準に判断してください。
まとめ
アニメ脚本を書くには、イマジネーションが必要です。世界をゼロから作り上げるため、脚本の書き方で戸惑うかもしれません。一方、タブーが存在しない究極のクリエイティブという見方もできます。記事で伝えたポイントを参考に、アニメ脚本の書き方を身につけてください。
脚本家として、アニメ脚本に挑戦するたびに「制約がないからこそ、何を描くか」を改めて考えさせられます。今回紹介した3つのポイントを意識しながら、まずはあなたのアイデアが本当にアニメに向いているかを見極めてみてください。
脚本の書き方をさらに学べる本
構成やキャラクター作りについてさらに学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


コメント