面白い脚本を書くコツは小道具にあり!
この記事は 2022年3月1日 に更新されました。
シナリオコンクールに何度応募してもなしのつぶて。それは、面白い脚本に必要な要素が欠けているからかもしれません。面白い脚本には小道具が必要です。少なくとも、上手に小道具を使えれば、一次選考で弾かれることはなくなります。
面白い脚本の条件とは
構成が良い、台詞が洒脱など面白いとされる脚本の条件は様々です。その中でどうしても外せない条件があります。それは感動できるということです。感動のない脚本は、電化製品の取扱説明書と似ています。エンターテイメントとして失格です。
感動とは「感情が動く」と書きます。では、読者の感情を揺さぶり動かすには、何をするべきでしょうか。答えは、登場人物の感動を伝えることです。人は、相手が空想上の人物だろうと実在の人物だろうと、感動している様子が伝わると、自分も感動します。つまり面白い脚本とは、登場人物から読者へ感動を伝播させるものなのです。
面白い脚本を書くコツは小道具にあり
あなたは脚本家として、物語の中で登場人物をちゃんと感動させていますか? そのつもりがあっても、正しく読者へ伝わっていなければ意味がありません。そんな時に役立つのが小道具です。小道具があれば、登場人物の気持ち・感動を、読者へ伝えられます。
例えば喜びを表現する時、ト書きに「花子、喜んでいる」と書くだけでは不十分です。読者に感情は伝わりません。「とても怒った様子の太郎」という書き方も同様です。脚本のト書きには、その感情が湧き上がった結果、登場人物はどういう行動を起こしたかまでを書く必要があります。これは小説などにはない、映像作品ならではの特徴です。
そのような場面で、小道具を用いると効果的です。喜びを表現するために傘を振り回したり、怒りを表現するためにペンをへし折ったりしてください。こうして感情を明確に伝えることが、面白い脚本を書くコツです。
小道具が演出の幅を広げる
小道具を自由自在に使えるようになると演出の幅も広がります。いくら小道具が感情表現に有効だといっても、いつも傘を振り回しているだけでは、読者は飽きてしまいます。また、「嬉しい」という感情一つとっても少し嬉しい、結構嬉しい、死ぬほど嬉しいと、レベルによって使い分けたいときもあるはずです。そのような場面で小道具を上手に使うと脚本が面白く生まれ変わります。
少しだけ嬉しい時は、はにかんで傘に顔を隠す程度。結構嬉しい時は傘をクルクル振り回し、最上級の喜びは傘を放り出して雨の中で踊りだす。このように傘という小道具がひとつあるだけで、脚本上の演出の幅は無限に広がります。演出の選択肢が増えると物語に奥行きが生まれ、さらにオリジナリティも追加されるでしょう。つまり、作品全体のクオリティーアップが望めるのです。
小道具はト書きで輝く
面白い脚本を書くには、小道具を用いると効果的だと伝えました。しかし、実際どのように使うべきかイメージが沸かない人もいるでしょう。ポイントはト書きです。柱を書いた後は、台詞で始めず、できるだけト書きから書き始めてください。なぜなら、シーンの冒頭で状況説明をしておく必要があるからです。
小道具を効果的に使うには、その変化を描かなければなりません。素手の状態から急に隠し持っていたナイフを突きつけられるから驚愕し、化粧直しに使っていた手鏡が実は割れていたと判明するから複雑な心情を察することができます。つまり、ビフォーとアフターの状況をそれぞれ明確に書き分けることが、小道具を生かすコツなのです。
そのためには柱(シーン)の直後に現状を簡潔に描写します。これは、ト書きの基本です。連続するシーンが続くと、既出の描写について、つい省略したくなります。しかし、小道具を際立たせたいのなら、逐一書くのです。懸命な読者なら理解してくれるだろう、という甘い考えは手抜きだと言われても仕方がありません。
まとめ
神は細部に宿るという、あらゆる芸術に通じる格言があります。一本の映画で用いられるたった一つの小道具は、些末な存在かもしれません。しかし、面白い脚本を書くためには必要な要素です。そのためには一行のト書きにも気を配りましょう。小道具を自在に操れるようになると登場人物の感情を読者へダイレクトに伝えられます。そうすれば読者も感動必至です。このように面白い脚本が、コンクールの一次審査で落選することは無いでしょう。
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