物語を書いていると、こんな悩みにぶつかることはありませんか。
「主人公は動いていて、事件も起きているのに、なぜか物語が浅い」
その原因は、欲望と本当に必要なもののズレが弱いからかもしれません。
物語の核心は、主人公が何を欲しがっているかではなく、主人公が“何に気づいていないか” にあります。
思い込みから物語は始まる
物語の出発点には、主人公の「思い込み」があります。それは、少し歪んだ価値観であることが多いです。
本人は正しいと思っているけれど、その見方はどこか偏っているといった具合です。
この思い込みがあるからこそ、主人公は遠回りをし、失敗し、葛藤します。それを追いかけることで物語が生まれます。
もし最初から真実に気づいていたら、物語は始まらないのです。
欲望 とは何か
欲望とは、主人公が「これが欲しい」と思っているものです。
・出世したい
・復讐したい
・愛されたい
・成功したい
・お金が欲しい
目に見えるゴールであり、多くは外側にあります。
主人公は「これさえ手に入れば、きっと幸せになれる」と考えているものです。
しかし物語が進むにつれて、それだけでは足りないことがわかります。
本当に必要なもの とは何か
一方で、本当に必要なものとは、内面の変化のことをいいます。
・勇気
・誠実さ
・謙虚さ
・他者への信頼
・自分を受け入れること
これは目に見えません。けれど、気づいたこれに瞬間に、主人公の行動が変わります。生まれ変わります。視聴者にとっても感動ポイントですね。
欲望は外にあるもの。
必要なものは内側で変わること。
このズレが大きいほど、物語はダイナミックに動きます。
名作に見る構造
小説や映画の名作から、欲望と必要なものの構造を抜き出すことができます。
『ハムレット』
ハムレットはざっくりこんな話です。
デンマーク王子ハムレットは、父王の急死後、母が叔父クローディアスと再婚したことに疑念を抱きます。やがて父の亡霊から「自分は叔父に毒殺された」と知らされ、復讐を誓います。
しかしハムレットは迷い続け、確信を求めて行動をためらいます。その間に陰謀と誤解が重なり、恋人オフィーリアや母、友人たちも巻き込まれていきます。
最終的に復讐は果たされますが、多くの命が失われ、ハムレット自身も命を落とす悲劇で物語は幕を閉じます。
欲望:叔父への復讐
本当に必要なもの:決断する勇気
「確信できるまで動くべきではない」という思い込みが、彼を止めます。欲望ばかりを追い、必要なものに届かなかったため悲劇になります。
『ロミオとジュリエット』
ロミオとジュリエットも有名なお話ですね
対立する名家の若者ロミオとジュリエットは、出会ってすぐに恋に落ちます。
家同士の争いを乗り越えようとしますが、すれ違いと誤解が重なり、最後は互いの死によって悲劇的な結末を迎えます。
欲望:愛する人と一緒にいること
本当に必要なもの:冷静さと成熟
「愛があれば乗り越えられる」という思い込みが破滅を招きます。
『クリスマス・キャロル』
クリスマスキャロルは映画にもなりました。
けちで冷酷な老人スクルージは、クリスマス・イブの夜に三人の精霊に出会います。
過去・現在・未来を見せられ、自分の生き方が人々を不幸にしてきたことを知ります。
やがて心を入れ替え、思いやりある人間へと生まれ変わる物語です。
欲望:お金を守ること
本当に必要なもの:人を愛すること
思い込みを手放したとき、主人公は変わります。本当に必要なものに気づけた、ハッピーエンドですね。
日本の昔話でも同じ
昔話からも、欲望や本当に必要なものがはっきりと分かるでしょう。
桃太郎
日本人なら誰でも知ってる昔話ですね
川から流れてきた大きな桃から生まれた桃太郎は、鬼ヶ島で悪さをする鬼を退治するため旅に出ます。
道中で犬・猿・キジを仲間にし、力を合わせて鬼を倒します。
宝を持ち帰り、村に平和を取り戻す物語です。
欲望:鬼退治
本当に必要なもの:仲間との信頼
一人ではなく、協力することで勝利します。
浦島太郎
浦島太郎はラストに諸説あります。玉手箱をあけて煙をあびたら老人になった、というのが最も一般的ですね。他にもツルになって日本各地を飛び回った、というのもあるとか。
漁師の浦島太郎は、いじめられていた亀を助けたお礼に竜宮城へ招かれます。
そこで楽しい日々を過ごしますが、やがて故郷が恋しくなり帰ることに。別れ際に渡された玉手箱を開けてしまい、たちまち老人になってしまう物語です。
欲望:楽しい世界で暮らすこと
本当に必要なもの:日常の価値
別の世界に行けば幸せになれる、という思い込みの代償を払います。
物語の基本形
ここまでの内容から、物語をつくるには、主人公の変化を追い求めることが大切だとわかります。以下の流れが物語の基本形をつくるのです。
- 主人公は欲望を追いかける
- しかし行き詰まる
- 自分の思い込みと向き合う
- 本当に必要なものに気づく
- それを選ぶかどうかで結末が変わる
主人公が成長できれば救いのある物語に。そうでなければ、悲劇になります。
まとめ
物語とは、主人公が欲しいものを追いかけながら、本当に必要なものに気づく話といってもいいかもしれません。
キャラクターの欲望がドラマを動かし、必要なものが物語を深くします。
もし物語が弱いと感じたら、主人公の「欲望」と「本当に必要なもの」のズレを見直してみてください。
そこに、物語の芯があります。

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