脚本は、何となく読むよりも、何を見るかを決めて読む方が、圧倒的に身になります。
これはテクニックの話というより、読み方の姿勢の話です。
脚本を読み始めると、多くの人が同じところで立ち止まります。
で、何を意識して読めばいいのか。ただ読んでいるだけで意味はあるのか。どう読めば、書く力につながるのか。
こうした疑問が浮かぶのは自然なことです。
結論から言うと、脚本を読むときに最初から正しい見方をしようとする必要はありません。
必要なのは、読む目的を自分の中で一つだけ決めることです。
脚本家として、私自身も最初は脚本をどう読めばいいのか分からず、ただ漫然とページをめくっていた時期がありました。この記事では、脚本を読むときの基本的な考え方、最初に選ぶべき脚本の特徴、読みながら見るべきポイント、そしてメモの取り方を紹介します。
目次
読み方の考え方
脚本を読むとき、頭を二つの使い方に分けると、驚くほど楽になります。
一つは、純粋に読者として反応する読み方です。面白い、退屈だ、ここで集中が切れた、よく分からない。そうした感覚を、良い悪いの判断をせず、そのまま受け取ります。
もう一つは、少し距離を取って眺める読み方です。
なぜここで面白いと感じたのか。なぜここで読むスピードが落ちたのか。
この段階でも、分析する必要はありません。ただ、自分の反応に理由がありそうだと気づくだけで十分です。
最初に読む脚本について
最初に読む脚本は、必ずしも評価の高い作品である必要はありません。
むしろ、すでに内容を知っている映画やドラマの脚本の方が向いています。映像を思い出しながら読めるため、物語を理解することに余計なエネルギーを使わずに済むからです。
脚本の読み方を身につける段階では、驚きや意外性よりも、理解のしやすさが助けになります。
見るべきポイント
脚本を読んでいるときに本当に見るべきなのは、自分の反応です。
どこで気持ちが動いたのか。どこで退屈したのか。どこで読むのをやめたくなったのか。
それらはすべて、脚本を書く側に回ったときの貴重な材料になります。
次に意識したいのは、シーンの流れです。
何かが起きて、次にどうつながっているのか。読んでいて止まらずに進めるか、それとも引っかかるか。
流れがあるかどうかを感じ取るだけで十分です。
例えば、初心者が脚本を読むときに、いきなり「三幕構成のどこで転換点が来ているか」を探そうとするのはNG例です。良い例は、まず「ここが面白い」「ここで集中が切れた」という自分の感覚を素直に拾い、後からその理由を考えることです。テクニック探しよりも、自分の反応を観察することの方が、最初の段階では多くのことを教えてくれます。
メモの取り方
メモを取るなら、上手な言葉にしようとしなくて構いません。
ここが好き、ここは長い、ここは分かりにくい。その程度の言葉で十分です。
大事なのは、後から見返したときに、自分がどう感じたかを思い出せることです。
脚本の読み方に関するよくある質問
Q. 脚本を読むとき、専門用語を覚えてから読んだ方がいいですか?
最初の段階では、専門用語を覚える必要はありません。用語を知らなくても、「面白い」「退屈」「分かりにくい」といった自分の反応は誰でも観察できます。用語は、後から自分の感覚を説明する道具として、必要になったタイミングで覚えれば十分です。
Q. 1本の脚本を読むのに、どのくらい時間をかけるべきですか?
決まった時間はありません。一気に読み切っても、何回かに分けて読んでも構いません。大切なのは、読み終えたときに「どこで何を感じたか」をメモに残しておくことです。時間をかけることよりも、自分の反応を記録することの方が、後の執筆に役立ちます。
Q. 読んだ脚本の内容を忘れてしまったら意味がないのでしょうか?
そんなことはありません。ストーリーの細部を覚えていなくても、「ここで引き込まれた」「ここで読むのが苦しくなった」という感覚の記憶は残ります。その感覚こそが、脚本を書く側に回ったときに役立つ材料です。
まとめ
脚本を読むことは、正解を探す作業ではありません。
自分の反応を集める作業です。
何を見るかを一つ決めて読み、自分がどこで何を感じたのかを知る。
それだけで、脚本を読む時間は、確実に書く力につながっていきます。
脚本家として振り返ると、書く力が伸びた時期は、たくさん書いた時期だけでなく、たくさん読んで自分の反応を観察した時期とも重なっています。脚本を読むことは、特別な技術がなくても今日から始められます。まずは1本、知っている作品の脚本を手に取り、自分がどこで心を動かされたのかを確かめてみてください。
脚本の書き方をさらに学べる本
脚本を読む力を執筆に活かしたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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