自分好みの映画がすぐ見つかる!脚本タイプ別の映画83選
ざっくばらんに83本の映画を紹介しても選ぶのが面倒ですよね。そこで脚本のタイプ別に作品を分類してご紹介します。リストから自分好みの映画を選んでください!
- なぜ自分がこんな目に?トラブル巻き込まれ映画
- これは奇跡か天罰か? ちょっと不思議で現実離れした映画
- 生きることは、つらくて楽しい。人生の節目を表現した映画【←いまここ】
- 切っても切れない二人の絆!恋愛・友情のバディ映画
- 命の危険が迫る!パニック映画
- 人間の心の底をのぞき込む映画
- 超人的な力に憧れる!スーパーヒーロー映画
- 不可能を可能にする!爽快な気分を味わえる映画
- 人間の成長を描く映画
- こんなの初めて!特殊な世界を描いた映画
生きることは、つらくて楽しい。人生の節目を表現した映画
17.アルコールと上手に付き合うと人生が豊かになる
『アナザーラウンド』
一言ストーリー
冴えない高校教師が、「アルコール接種が仕事効率を上げる」という理論の証明実験を通して、人生を好転させようともがく
おすすめポイント
- 『パラサイト 半地下の家族』や『ドライブ・マイ・カー』も受賞した米国アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞
- 第78回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞ノミネート
- 第74回英国アカデミー賞 4部門ノミネート
こんな人に見てほしい!
- 負け犬キャラが一発逆転を狙う脚本が好きな人
- 中年男の友情ストーリーに胸が暑くなる人
- 現実的な悩みを抱える大人たちの骨太ドラマに興味がある人
あらすじ
さえない高校教師のマーティンは、友人たちと「適度なアルコールを接種すると仕事の効率が良くなる」という理論を証明する実験をする。
あらすじの続き(開閉)
すると、つまらなかった毎日に活気に満ち溢れ家族や生徒たちとの関係性も良好になる。人生が好転しかけるがアルコールを制限できなくなり、社会生活に破綻をきたすようになってしまう。脚本的な見どころ
外国人の顔は見分けがつけにくい。本作品のように主要人物が複数いる作品では特に感じてしまう。けれど、それも冒頭数分間だけのこと。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
それぞれが抱える悩みや生活が明らかになってくると、不思議とキャラクターも見分けられるようになる。いわゆるキャラが立っている状態だ。彼らの悩みは、日本人である私たちと少しも変わらない。仕事のことや夫婦間でのことなど、小さいけれど誰もが共感できる悩みである。本映画の脚本家は、主人公をはじめ脇を固める登場人物のエピソードも丁寧に作り込むことで、本物のリアリティを与えることに成功している。予告動画
視聴者の感想
- 奥さんと会話もない状態だった主人公が、お酒の力を借りてだけど、関係を回復していく姿に勇気づけられました
- いくつになっても本音で言い合える友達がいるのはいいですよね。はだかで酔っ払うのはちょっとアレだけど
- 要は、酒は飲んでも飲まれるな。適量だったら神の雫
- サッカー少年との交流や、小心者の受験生とのお話がいい。あとラスト、マッツ・ミケルセンのダンスは爽快感満点!
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18.応援せずにはいられない!
『ワンダー 君は太陽』
- 公開:2017年
- 時間:1時間53分
- ジャンル:人間ドラマ
- 脚本家:
スティーブン・チョボウスキー、
スティーブ・コンラッド、
ジャック・ソーン - 出演:ジェイコブ・トレンブレイ、
ジュリア・ロバーツ、
オーウェン・ウィルソン
一言ストーリー
生まれつきの障害で特徴的な容姿の少年が、初めて小学校に通う。周囲から好奇の目にさらされ絶望するも、家族や友人との関係を通して生きる力を育む。
おすすめポイント
- 世界で800万部以上が売れたベストセラー小説が原作
- サターンインディペンデント映画賞(第44回・2017年)
こんな人に見てほしい!
- 子供が主人公のお話を鑑賞したい人
- 障害をテーマにしつつ、お涙頂戴な展開は避けてほしい人
- 愛に溢れた映画が好きな人
あらすじ
生まれつきの障害で容姿に特徴を持つ、引っ込み思案な10歳の少年オギー。
あらすじの続き(開閉)
意を決して小学校に通うが、案の定、周囲からからかわれたりイジメられたりして心が折れる。そんなオギーだったが、家族に支えられながら努力するうちに友人もでき、学校という社会にも溶け込む。そして、心も強くなっていく。脚本的な見どころ
本作の主人公は特別な容姿を持つ少年オギーとその家族。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
物語構成は、オギーの初めての小学校生活が中心だが、目立つ弟の影で色々我慢してきた姉や、両親の話など、章を分けたオムニバス形式になっている。そのおかげで、マイノリティーな少年が社会に溶け込むという一辺倒な語り口にならず、多面的で深みのある映画になっている。 また、オギーは誰もが振り返るような容姿の持ち主だ。それが彼のコンプレックスであり、一生ついてまわる悩みのタネ。克服しない限り幸せな人生は送れない。一方、誰だってコンプレックスの1つや2つは抱えている。だから、オギーに自己を投影できる。彼の悩みに共感して、応援せずにはいられない。頑張れ、幸せな人生を掴んでくれ、と。観客を物語に引き込むエッセンスがそこかしこにあるので、脚本家を目指す人にとっては勉強になる。予告動画
視聴者の感想
- オギーほどではないけど、顔にコンプレックスがあります。まるで自分のことのように見ました。涙が止まりませんでした。
- 家族がみんなオギーを好きなところが良かった。おねえちゃんも可愛そうだったけどむくわれてよかったね
- 親の目線で見るといたたまれません。ある種の責任を感じてしまうのでしょうね。我が子には幸せになって欲しいものです
- 最初から最後まで目に涙をためてみました。オギー頑張れ!
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19.過酷すぎる現実を淡々と生きる人々を描く
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
一言ストーリー
見知らぬ土地に嫁に来た女性が、戦争の荒波に揉まれつつも、生きることの意味や喜びを見つける
おすすめポイント ※受賞は『この世界の片隅に』
- 2016年の『この世界の片隅に』では語られなかった新たなエピソードを追加した映画
- 第90回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画第1位
- 第40回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞
- 第41回アヌシー国際アニメーション映画祭 長編部門審査員賞
- 第21回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門大賞
こんな人に見てほしい!
- 戦争を題材にした骨太な脚本の映画を見たい人
- のほほんとしつつも、しっかりした芯をもった女性キャラクターに魅力を感じる人
- 視聴者を飽きさせないテンポの良い映画が好きな人
あらすじ
昭和19年の戦時中、広島の呉へ嫁に来たスズは、優しい夫やその家族と新しい生活を始める。
あらすじの続き(開閉)
慣れない土地での生活や激化する戦争に苦しみつつも、日常に幸せを見出していく。やがて呉を襲う大空襲、そして広島への原爆投下。スズは生きることに希望を見つけられるのか。脚本的な見どころ
原作漫画ともども圧倒的な取材力に感服します。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
人々の生活をリアルに描くために、些細なことまで事実を元にして描かれています。本作はフィクションですが、過去に起きた事実が元になっている以上、先人には敬意を払わなければなりません。そのような誠実な態度が作品全体にまで行き届いており、清々しくさえ感じられます。一方、主人公のすずさんも魅力的です。のんびりした性格に見えて、一本芯の通った女性です。作中では割と過酷な事件が連発するのですが、そのキャラクターとユーモアのお陰で悲惨さがいくらか緩和され、見ていられます。最後にテンポについて。登場人物の会話や行動は緩やかなのですが、ストーリー展開はスピーディーです。観客の興味を離しません。予告動画
視聴者の感想
- 近年稀に見る名作。長く語り継ぎたい
- 戦争を知らない世代でも受け入れやすいのではないでしょうか
- 当時の生活感が実感できてリアルだった
- のんきなようでしっかり者でやさしいすずさんが大好き
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20.耳が聞こえない女性ボクサーの生き様
『ケイコ 目を澄ませて』
一言ストーリー
耳が聞こえない女性が、ボクシングを通して生きる道を模索する
おすすめポイント
- 日本国内映画祭で受賞・ノミネート続出
- 第36回 高崎映画祭
- 第77回 毎日映画コンクール
- 第96回 キネマ旬報ベスト・テン
- 第46回日本アカデミー賞
こんな人に見てほしい!
- 強く生きる女性が好きな人
- ボクシングを題材にした脚本に興味がある人
- 日常をたんたんと描くストーリーが好きな人
あらすじ
生まれつき耳が聞こえない女性が、ボクシングに打ち込んでいる。
あらすじの続き(開閉)
プロとしていくつかの試合をこなすが自分の将来に不安も抱えていた。このままボクシングを続けていくべきかどうか。そんな折、長年通うジムが閉鎖すると聞かされる。脚本的な見どころ
主人公が聴覚障害者という設定のため、劇中ではセリフが少ない。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
それでも興味深く見ることができるのは、主人公の心情を丁寧に追いかけているから。むしろ余計な説明が排除されている分、見やすくさえある。また、ボクシングのシーンなどはリズミカルで、見ていて心地よい。後半、ジムの会長と心を通わせるシーンでは、ボクシングを通して表現している。言葉はなくとも感情がダイレクトに伝わってきた名シーンだ。予告動画
視聴者の感想
- ストイックな主人公に憧れる
- 主人公の人生を追体験しているような気持ちになりました。
- ボクシングのコンビネーションの練習がリズミカルで音楽みたい
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21.実在の人物を元にしたヒーローストーリー
『アメリカン・スナイパー』
一言ストーリー
愛国心と正義感から兵士となった男が、過酷な戦場へ身を投じるなかで、自らの心身を犠牲にする。それでも愛する家族の元へ帰るという一念で、人生を取り戻そうともがく
おすすめポイント
- クリント・イーストウッドの監督手腕が評価されたヒット映画
- ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
- アメリカ映画協会(AFI)が選ぶ2014年のベスト映画トップ10
- 第62回ゴールデン・リール賞
- 第87回アカデミー賞
- 第89回キネマ旬報ベスト・テン
こんな人に見てほしい!
- 実話を元にした脚本映画に興味がある人
- 過酷な戦争をリアルに描いた作品を見たい人
- 一人の人間の半生をつづる自伝的な映画が好きな人
あらすじ
アメリカではレジェンドと敬われる凄腕スナイパー、クリス・カイルの半生を描く映画。
あらすじの続き(開閉)
幼い頃から父親から厳格な指導を受けて育ったクリスはイラク戦争が始まって以来四度の遠征をこなす。その間に、米軍史上最多の160人を射殺したと言われている。戦場での経験から、アメリカに戻った後も精神的に追い詰められるカイルだったが、どうにかして日常を取り戻そうとする。脚本的な見どころ
実際の人物の自伝を元に制作された映画だが、全てが実話だったわけではない。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
例えば、クライマックス付近の敵スナイパーとの直接対決はフィクションだとか。これは、実際に起ったことをそのまま描いても映画としては成立しないことを意味する。ストーリーを盛り上げるには、造り手の意志が必要だ。その点、本作では小道具が効果的に使われている。日常と戦場をつなぐ携帯電話やフラッシュバックを引き起こすインパクトドライバーなどがそう。これら小道具は、実際に起こったエピソードかどうかはわからないけれど、ストーリーの盛り上げには欠かせない。予告動画
視聴者の感想
- 映画というかドキュメンタリー。実話だと言うし
- 戦争をリアルに描いた映画のひとつ
- ヒーローと言い切れない後ろめたさがつきまとう
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22.家族の絆に胸が熱くなる
『Coda コーダ あいのうた』
一言ストーリー
家族で唯一健聴者の少女が、歌の才能を開花させるが、家族からの理解を得られず悲観的になる。それでも夢を諦めず賢明に生きることで自立の道を進む。
おすすめポイント
- 第94回アカデミー賞の脚色賞他を受賞
- アメリカン・フィルム・インスティチュートの2021年トップ10作品に選出
- 第79回ゴールデングローブ賞ドラマ映画賞と映画助演男優賞にノミネート
こんな人に見てほしい!
- 逆境でこそ輝く魅力的な主人公が好きな人
- みずみずしい青春の機微を反映した脚本に興味がある人
- 独特の視点で障害者をあつかった映画を見たい人
あらすじ
耳の聞こえない親に育てられた子供(=コーダ)である少女は、ある日音楽教師から歌の才能を認められ音楽学校への進学を勧められる。
あらすじの続き(開閉)
一方で、家族からは通訳として必要とされていた。歌いたいという自分の夢と、家族との間で板挟みになる少女。彼女は自分の人生を歩むことができるのか。脚本的な見どころ
まず設定で興味を惹かれた。歌の才能がある少女の家族が全員耳が聞こえない。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
彼女は愛する家族からだけ、才能を認めてもらえない。アイロニー満載の設定は多くの葛藤を生み出し、何をするにもドラマティックになるはずだ。そのなかで青春真っ盛りの少女は、大人への階段を登っていく。そんな彼女を見て家族も考えを改める。クライマックスのコンテストのシーン。称賛される彼女の歌声を、最も愛する家族だけが聞こえていない。それでも思いは伝わる。まさに「愛の歌」と納得させられる素晴らしい映画だった。予告動画
視聴者の感想
- すべての人に見てほしい最高の映画
- 家族は足かせじゃなくて、励みになる。応援してくれる存在ってのが、胸熱~
- 音楽の先生いい味出してるな
- 歌の才能があるこの家族が耳が聞こえないなんてものすごい皮肉。でも気持ちは通じるね
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23.アメリカに移住した韓国人一家の絆を描く
『ミナリ』
一言ストーリー
アメリカに移住してきた韓国系一家が、農場を開拓しようとするが、トラブルが続く。一家崩壊寸前まで生きかけるがあきらめず家族一眼となって頑張る
おすすめポイント
- 第93回アカデミー賞
- サンダンス映画祭
- ボストン映画批評家協会賞
- ロサンゼルス映画批評家協会賞
- ゴールデングローブ賞
こんな人に見てほしい!
- 家族との絆を描くニューマン作品を見たい人
- リアルな問題(移民問題など)を題材にした作品に興味がある人
- 人生の再生と成長を描いた映画が好きな人
あらすじ
アメリカの田舎に移住した韓国系の一家の物語。
あらすじの続き(開閉)
夢を追う父ジェイコブは農場経営に全力を注ぐが、家族との関係は悪化していく。母モニカは夫に不満を抱き、子供たちは祖母スンジャから強すぎるとも言える刺激を受ける。しかし、スンジャが病気になり、一家は危機に直面する。脚本的な見どころ
アメリカと移民問題というのは現実社会において切り離せない社会問題です。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
映画にする時にはどのようにエンタメにするかというのが大きなテーマの一つ。その点で大きな役割を果たしているのがおばあちゃん。憎めない敵役としてトラブルメーカーとして、物語を大いに盛り上げてくれます。予告動画
視聴者の感想
- 俳優たちの演技が素晴らしい。まさにアカデミー賞級
- 異文化コミュニケーションは難しいんだろうな、と感じた
- 子供はリアルだけど可愛げもあっていい
- おばあちゃん、トラブルメーカーだけど愛されてるな
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24.時は経っても友情は色あせない
『きっと、うまくいく』
一言ストーリー
同級生のファルハーンとラージューは、卒業後に姿を消した親友ランチョーを探す。彼には大きな秘密があったのだが、友情を信じる二人は再会を果たす
おすすめポイント
- インド映画歴代興行収入1位を記録(2009年)
- 第57回国家映画賞(インド)
- 2010 国際インド映画アカデミー賞
- 第37回日本アカデミー賞
こんな人に見てほしい!
- シンプルな物語が好きな人
- 学生時代の友情に目頭が熱くなりがちな人
- 壮大なストーリーを体験したい人
あらすじ
10年前に卒業した大学の同級生ファルハーンとラージューは、親友だったランチョーとの再会を果たすためにシムラへ向かう。
あらすじの続き(開閉)
ランチョーは、探究心や反骨心が強く、自分の信念に従って生きる人物だった。大学では、成績や就職率にこだわる学長と対立していた。ファルハーンたちは、ランチョーの影響を受けて自分の夢を追い始めるが、当のランチョーは卒業後に姿を消してしまう。脚本的な見どころ
インド映画の魅力の一つが素朴さだと思われる。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
キャラクターなのか、ストーリーなのか、あるいはその両方に、大元となる要素は含まれている。長い作品だが、根底に流れるテーマは友情であり、それはブレない。同期や葛藤がシンプルだからこそ、力強いメッセージが込められることを体現している作品だと言えるだろう。素朴な映画は多くの視聴者に受け入れられる。予告動画
視聴者の感想
- インドの社会や文化に触れられる映画
- 人間味があふれている登場人物たちが魅力的
- ユーモアとシリアスのバランスが絶妙で感動させられた
- インド映画ならでは楽しくて華やかな雰囲気が満載
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25.誰にでもいつか訪れる恐怖
『ファーザー』
一言ストーリー
認知症の父親とその面倒を見ようとする娘は、進行する病状に対処しようとするが、心身ともに限界。苦渋の決断として老人ホームへ入れることを決断すると、距離を取った親子は平穏を取り戻す。
おすすめポイント
- 第93回アカデミー賞で脚色賞などを受賞
こんな人に見てほしい!
- サスペンスフルな日常の出来事を脚本にした映画に興味がある人
- 老人が主人公の作品を見たい人
- 痴呆症をテーマにした映画に興味がある人
あらすじ
アンソニーは認知症になりかけている80歳の父親。
あらすじの続き(開閉)
娘のアンは父親のことを心配して、ヘルパーを雇ってあげたが、ヘルパー嫌いなので追い払ってしまう。やがてアンソニーの病気はどんどんひどくなって、記憶も状況も錯綜するようになる。アンは父親をなんとか助けようとしたが、自分も疲れ果ててしまった。脚本的な見どころ
まるで自分が認知症の症状を追体験しているような稀有な経験ができる映画。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
幻覚や幻聴、思い違いに物忘れ。実際に認知症に苦しむ人の日常はこのようなものかと納得してしまうほど、よく出来た脚本だった。もちろん主演のアンソニー・ホプキンスの名演は言うに及ばない。しかし、当事者にとってはホラーに感じられるだろう。実際、中盤くらいまではミステリーかと思ってラストのどんでん返しを期待したほど。このように単なる病気の話にせず、サスペンスで視聴者を冒頭から引き付ける手法も見習うべき点のひとつ。予告動画
視聴者の感想
- 最初はタイムループとかトリックの隠されたミステリーかと思った。おかげで飽きずに見れた
- 老人介護を経験した人にとっては物凄くリアル。介護した方はもちろん、された人にとっても。
- 忘れていくって怖い。自分が自分じゃなくなる
- 介護士のお姉さんかわいい
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26.笑いと涙の博多人情喜劇
『めんたいぴりり』
一言ストーリー
人情に厚く戦後の博多で食料品店を営む男が、故郷・韓国の惣菜からヒントを得ためんたいこを作るが、思うような出来にならない。しかし、様々なトラブルや出来事を経験することで、めんたいこで人を幸せにするという夢を胸に刻み実現する。
おすすめポイント
- ふくや創業者・川原俊夫の実話を元にしたヒット映画
こんな人に見てほしい!
- 笑いあり、涙ありの下町人情噺が好きな人
- 魅力的な主人公と、それを支える周囲のバランスを学びたい人
- ホームコメディドラマが好きな人
あらすじ
戦後の福岡。中洲の焼け跡に食料品店「ふくのや」を開いた海野俊之は、「めんたいこ」作りに情熱を注ぐ男だった。
あらすじの続き(開閉)
韓国・釜山出身の俊之は、故郷の味を参考に明太子を作っていたが、満足できる味にならない。ある日、俊之は息子の同級生・英子の事情を知る。両親を亡くした彼女は、遠足に必要な靴やリュックサックも買えないというのだ。脚本的な見どころ
コメディやシリアスなど種々のエピソードがバランスよく配置されているので、飽きずに視聴できる。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
本映画の大きな魅力となっている主人公の人柄が良い。人情家で明るく裏表がない陽気な人物だ。ただし、いくら好人物でもそればかりでは飽きてしまう。そうならないのは、きちんと闇の部分も描いているから。人形師のおじいさん、貧乏な家の女の子のエピソードなどから、陰と陽を書き分ける冷静な視点がうかがえる。闇があるから光り輝く、その意味で主人公の魅力を存分に引き出す構成として見本となる映画だとも言えるでしょう。予告動画
視聴者の感想
- 博多華丸さんの喜劇俳優ぶりが良かった
- 博多を代表する芸能人がたくさん出ていた
- 博多弁が聞いていて楽しい。幸せになれる映画
- 誰が見ても楽しめる日本のコメディ
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27.決して消えない心の傷を生涯抱えて生きる
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
一言ストーリー
トラウマを抱えた男が、実兄の死をきっかけにかつて逃げ出した街へ戻る。甥っ子との生活や課題を解決する家庭でトラウマとも再度向き合うことになる
おすすめポイント
- 第89回アカデミー賞 脚本賞受賞
- 2016 ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 作品賞・脚本賞・他受賞
- 第70回英国アカデミー賞 オリジナル脚本賞受賞
こんな人に見てほしい!
- 過去のトラウマとともに生きる人間の苦悩を知りたい人
- 喜怒哀楽を丁寧に表現する映画が好きな人
- 街が大きな意味を持つ作品に興味がある人
あらすじ
リー・チャンドラーは気性が荒く孤独な便利屋。
あらすじの続き(開閉)
ボストンで暮らしていたが、兄のジョーが心臓発作で死んだと聞いて、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーへ戻る。リーは、兄の遺言で16歳の甥の保護者に指名されていた。兄の死や甥の育成に対する不安に悩むリー。彼は、過去の暗い出来事や深刻な問題に直面する。脚本的な見どころ
過去に大きな事件を起こし、その出来事から逃げるように故郷を去った男。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
冒頭、兄の死をきっかけにつらい思い出が残る街に舞い戻ることになるのだが、その真相は視聴者には明かされない。それが作品全体のラストに向けた大きな仕掛けとなっている。主人公の粗暴な性格から生じるトラブルや甥っ子とのぶつかりから生じる葛藤が、緻密に描かれている。じっくりと人間を描こうとして書かれた脚本だとわかる。予告動画
視聴者の感想
- 非常にリアルで感情的な描写があり、登場人物の心理状態に深く共感できた
- 映画の風景や海辺の町なみは美しく表現されていて魅力的でした
- 過去の出来事によって自分を責め続けている主人公が、甥との関係を通して少しずつ前に進もうとする姿に感銘を受けました
- ハリウッド的なハッピーエンドではなけれど、逆にリアル
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28.ギャングの少年が赤ん坊を誘拐したら
『ツォツィ』
一言ストーリー
ギャングの少年が、車強盗と同時に赤ん坊も誘拐してしまい困惑する。しかし、赤ん坊の世話をするうちに自分の過去や人生と向き合い、正しい道へ戻ることを選ぶ。
おすすめポイント
- 第78回アカデミー賞 外国語映画賞受賞作品
- 2005年 エディンバラ国際映画祭 最優秀作品賞
- 2005年 トロント国際映画祭 観客賞
こんな人に見てほしい!
- 心に傷を追った少年をリアルに描いた作品に興味がある人
- ギャングと赤ん坊のようなミスマッチな設定が好きな人
- 心の変化を丁寧に描いた作品が好きな人
あらすじ
スラム街で暮らすチンピラの青年ツォツィは、ある日、車を盗んだ際に乗せていた赤ん坊に出会う。
あらすじの続き(開閉)
その赤ん坊との交流を通して、ツォツィは自分の過去や人間としての感情に向き合うようになる。アパルトヘイトの影響がまだ残る南アフリカの社会問題を背景に、一人の若者の成長と変化を描く。脚本的な見どころ
主人公の元に、赤ちゃんが突然やってくる映画は結構ある。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
人気の設定で、見る方もワクワクするからだ。また、多くの場合はコメディ作品になりがち。しかし『ツォツィ』ではそういった浮ついた気持ちは生じない。なぜならスラムの厳しい現実があるから。あくまでも、赤ん坊は小道具の一つとして扱われる。両者の間にコミカルなやり取りや心の交流はほとんどない。少年の心の内を映す鏡として使われるに過ぎないのだ。それがリアリティを生み、脚本に深みを与えている。予告動画
視聴者の感想
- ツォツィはとても魅力的なキャラクターだと思った。彼の成長と苦悩がリアル
- 南アフリカの現実がスリリングで興味深い
- ツォツィの感情や状況に合わせて変化するサウンドトラックがいいね
- エンディングでのツォツィの選択とその結果が衝撃的で感動的
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29.親子の絆とは? 母性とは?
『八日目の蝉』
一言ストーリー
女が他人の子供を誘拐して育てるが、やがて捕まる。心に傷を負った子供は女を否定するべきか葛藤するが最後には受け入れる
おすすめポイント
- 直木賞作家・角田光代の原作小説を映画化
- 第35回日本アカデミー賞 10冠達成
こんな人に見てほしい!
- 女性を主人公とした骨太な脚本に興味がある人
- 抑圧された人生の果てに輝く希望をみたい人
- しっかりと人間を描いた作品が好きな人
あらすじ
子供を産めない身体となったことに絶望する希和子。
あらすじの続き(開閉)
衝動的に不倫相手の赤ん坊を誘拐してします。誘拐事件として捜査されるも、赤ん坊が4歳になるまで育てた。やがて希和子が逮捕されると、子供は実際の父母の元へ戻される。その子供・恵理菜もやがて21歳になり不倫をしていた。脚本的な見どころ
この映画には主人公が二人います。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
それぞれ違う時代を生きている様子が描かれる中で、同じテーマを抱えているのです。母性本能とは、親子とは、家族とは。テーマが重い分、映画全体が暗い印象になりがちですが、それもこの作品の特色のひとつ。魅力と言っても良いかもしれません。じっくりと人間を描きたい人には参考となるはずです。予告動画
視聴者の感想
- 母性ってなんなんだろう。自分の産んだ子供じゃなくても愛情は生まれるよね
- かつての暮らしを回想する真央ちゃん。涙~
- ホームのボスである高畑淳子の迫力がすごい
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30.偏屈で嫌われ者のおじさんに秘められた悲しみと再生
『オットーという男』
一言ストーリー
偏屈なおじさんが、最愛の妻をなくしたショックで自殺を試みるが、近所に越してきた家族との交流をきっかけに、再び生きる気力を取り戻す
おすすめポイント
- スウェーデンで大ヒットした映画『幸せなひとりぼっち』のリメイク
こんな人に見てほしい!
- 一人の人間の人生を感じたい人
- 光と影が同居する厚みのある主人公が好きな人
- 人同士のつながりが、幸せな未来につながると信じている人
あらすじ
偏屈で周囲から煙たがられているオットー。
あらすじの続き(開閉)
彼は愛する妻を亡くし、勤め先を定年退職したタイミングで自殺を図る。しかし、同じタイミングで近所に引っ越してきたマリソル一家と関わることで、計画は思うように運ばない。脚本的な見どころ
ごみの分別や駐車違反をする相手に対して怒りをあらわにするオットー。
見どころの続き ※ネタバレ注意(開閉)
自治の見回りが日課の彼は、いつも苛立っている。周囲には煙たがっている人も多いが、心根は善人というキャラクターが、序盤から共感を誘う。新しく入居してきた明るい家族に巻き込まれるオットーは、自殺計画もままならないというストーリー展開はありがちといえばそうだが、コメディーパートがくどすぎないので好印象。オットーというキャラクターが安々と本心を見せないおかげで緊張感は保たれている。終盤、彼の心の氷が溶け出すとともに、一致団結して悪を成敗する流れはいかにもハリウッド的だが控えめでよかった。予告動画
視聴者の感想
- 偏屈おじさんが最後にはいい人になる展開は鉄板。
- 可哀想なオットー。涙を誘います
- 仲良しご近所が悪者を倒すシーンがスカッとしてよかった
- 老後を考えさせられる映画でした