主人公の設定を120%活用するコツ
この記事は 2023年10月24日 に更新されました。
脚本を本格的に書き出す前にキャラクターの人物設定を作ります。中でも主人公の設定は特に注力して作り込むものです。
しかし、苦労して作成した主人公の設定であっても、作品へ適切にフィードバックされているとは限りません。
人物設定は、ただ単純に作ればいいというものではなく、活用するにはコツがあります。記事では、主人公の設定を120%活かすための知識やテクニックを紹介します。
目次
主人公の設定を活用するコツ1_
設定はキャラクターの元
登場人物の設定を作るには手間ひまがかかります。そのため、一度作成した人物設定は、いち早く読者へ伝えようとしがちです。
しかし、人物設定それ自体には、視聴者を引きつける魅力がありません。視聴者が興味を示すのは、設定を元に生まれたキャラクターです。
設定だけを伝えるのではなく、キャラクターの魅力として伝えてください。
例えば、TVアニメ『無職転生』の主人公ルーデウスは、現代の日本で暮らす男が転生した存在です。前世ではクズ男でしたが、転生をきっかけに真面目に生きようと決意します。
前世における主人公の設定は、無職、引きこもり、男性、30歳代、学生時代はいじめられっ子、肥満体型、ゲームやラノベが好き、童貞など。しかし、視聴者がそれらを知るのは、ストーリーがある程度進行した後です。
物語の冒頭では、最低限の設定しか伝えていません。なぜなら、キャラクターの行動やリアクションを優先して伝えているからです。
視聴者の興味は、今の主人公が、何を思い何をしたかに集約されます。人物設定は主人公の人格を形成する重要な要素ですが、視聴者からの感心は低いのです。
主人公の設定を活用するコツ2_
エピソードとして伝える
主人公の設定を作中で主張できないのなら、手間ひまをかけて考える必要はない、と考える人もいるでしょう。しかし、主人公の人物設定は、キャラクター像を掴むための必須項目であり省略できません。
また、人物設定は表立って主張するものではなく、密かに醸し出すものだと考えてください。直接的な表現がなくとも、セリフや思考回路などを介して機能するはずです。
『無職転生』の主人公は前世で引きこもりでした。そのため家から出られないというトラウマ設定を抱えています。ルーデウスとなった今も同じく家から出られません。しかし、家庭教師であるロキシーとの交流を通して克服するのです。
このように、主人公の人物設定はエピソードとして伝えることで活きてきます。
主人公の設定を活用するコツ3_
常にアップデートする
主人公の設定を作る時は、あらゆる項目をガチガチに固定してしまうと不自由です。そうならないように、主人公の設定は余裕を持って作ります。空欄があってもいいのです。
また、脚本を書き進めるうちに主人公の設定を変えることもあるでしょう。その際は柔軟に変更してください。設定を足したり引いたり、常にアップデートすることが重要です。
最も重視することはストーリーを盛り上げることです。そのためであれば、主人公の設定をいくら変更しても問題ありません。
主人公の設定を活用するコツ4_
変化する主人公、変わらない脇役
主人公の設定は、始まりと終りで大きく変化(成長)させるべきだと言われています。これは、主人公に感情移入する視聴者が、満足するからです。
一方、脇役の設定は変化しません。主人公を助ける設定や、主人公の敵として立ちはだかる設定などを最後まで全うします。脇役は主人公を引き立てるために存在だからです。
中には主人公と一緒に変化する脇役もいるかも知れません。しかし、成長の度合いは小さくし、主人公を大きく見せるべきです。
まとめ
主人公の設定は作るだけでは機能しません。ストーリーに活かすにはコツが必要です。
まず人物設定とは主人公のキャラクターを構成するための土台だと理解してください。作り込んだ設定は主人公のセリフやエピソードとしてさり気なく表現します。
執筆中は事前に作成した主人公設定にこだわらず、臨機応変にアップデートさせると良いでしょう。また、脇役は主人公を引き立てる存在に徹して設定を固定するべきです。
この記事へのコメントはありません。