ト書きとは、脚本の中で状況・人物・アクション(動き)を文章で伝える部分です。
映像としてイメージしやすい脚本を書くためには欠かせない要素ですが、自由度が高いぶん「どこまで書けばいいの?」と悩む人も多いはず。
この記事では、
・ト書きとは何か
・基本の書き方
・初心者でも上達しやすい練習方法
を順番にわかりやすく解説します。
目次
ト書きとは?

ト書きとは、柱(場所や時間の指定)とセリフ以外のすべてを文章で説明するパートのことです。
読んだ人が「映像として想像できること」が目的で、
- どんな場所なのか
- 誰がいるのか
- 何が起きているのか
を簡潔に伝えます。
ト書きで大切な3つのポイント
- イメージしやすい“最低限の情報”だけ書く
- 説明はシンプルでOK
- 主語(誰が動いたか)を必ず書く
ト書きに含めるべき基本要素

初心者はまず、次の3つを押さえれば十分です。
1.状況(場所・雰囲気)
柱書きで設定した場所の補足や、その場の雰囲気を一度だけ描写します。
例:
○小屋・外観
戸板が剥がれ、窓ガラスは割れたまま。廃墟のように荒れている。
※同じシーンで何度も繰り返して書く必要はありません。
2.登場人物の特徴(初登場だけ簡潔に)
人物の“雰囲気がわかる情報”を1〜2個だけ書きます。
悪い例:
男が走っている。
良い例:
サラリーマン風の男が走っている。
→ 必要なイメージがスッと伝わる。
書き込みすぎるほど文章が重くなるため、初登場時だけ軽く触れる程度がベストです。
3.アクション(動き・出入り)
脚本では「誰が、何をするか」を明確に書くことが最重要です。
悪い例:
ドアを開けて部屋に入る。
→ 主語がないので読者が迷う。
良い例:
正雄、ドアを開けて部屋に入る。
登場・退出も必ず明記し、“いつの間にかキャラクターがいる/消えた”状態を作らないようにします。
ト書きが上達する3つの勉強方法

初心者がもっとも伸びやすいのは 「見たものを文章にする訓練」 です。
ここでは即効性の高い方法だけを紹介します。
1.脚本風に日記を書く(見たものだけを書く)
もっとも手軽で効果的な練習です。
- 心情は書かない
- 見たものだけを書く
- 一日のうちの一場面だけでOK
例:
喫茶店。窓際の席で数人が静かにコーヒーを飲んでいる。店員が軽い足取りでテーブルを拭く。
これは“文章のデッサン”に近く、続けるほど描写力が鍛えられます。
2.映画やドラマを見てト書きとして書き起こす
映像を見ながら、
- 状況
- 人物の動き
- 表情
- カメラの変化
など、目に見える要素だけを書き出します。
特に初心者は、まず 10〜20秒の短いシーン から始めましょう。
さらに
脚本 → 映像の見比べ
を行うと、文章が最終的にどう映像化されるのか理解が深まります。
3.客観的な意見をもらってリライトする
書いたト書きは可能であれば誰かに読んでもらい、次の一点だけチェックします。
あなたの意図がそのまま伝わったか?
ストーリーの善し悪しではなく、
「文章として伝わるか」だけを見てもらいます。
- 伝わらない部分は削る
- 情報が足りなければ足す
- 主語が抜けていれば修正
この繰り返しで、ト書きは確実に読みやすくなります。
まとめ:ト書きは“シンプルで伝わる”が正解
初心者が意識すべきことは、この3つだけです。
- 状況・人物・アクションを最低限の情報で書く
- 主語を必ず入れる
- 毎日の訓練で“見たものを書く力”を鍛える
小さく練習すれば、ト書きは必ず上達します。
基本を押さえて、読み手がイメージしやすい脚本づくりを目指しましょう。


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