娘とのギクシャクした関係を改善したい父親のソグ(コン・ユ)。そんな娘を別居中の妻の所へ送り届けるために乗り込んだ高速鉄道で突如ゾンビが大量発生します。映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」は、時速300キロの車内で繰り広げられるゾンビパンデミックから、なんとか生還しようと奮闘する人々を描いた作品です。
脚本家として『新感染 ファイナル・エクスプレス』を見ると、序盤で描かれる冷え切った父娘の関係と、ラストで訪れる涙の別れという対照的な構図が、物語全体の感動を生み出す土台になっていることがわかります。この記事では、「始まりと終わりは正反対にすべし」という脚本の鉄則がどのように使われているか、序盤の人物描写が後半の感動にどう結びつくのか、そして主人公の成長を効果的に見せるための前振りの作り方について解説します。
ファンドマネージャーのソグは家庭を顧みない仕事人間。妻とは別居中で、娘のスアン(キム・スアン)からは母の元へ行きたいと懇願されてしまいます。渋々承諾したソグは、スアンを送り届けるためにKTX列車へ乗り込むのでした。列車には個性豊かな面々が乗り込んでいます。その一方、発車直前にただならぬ様子で飛び乗った女性は、突如としてゾンビに豹変し、周囲の人間に襲いかかったのです。
乗客は次々とゾンビとなり、瞬く間に車内は地獄絵図と化します。ソグは、他の乗客を犠牲にしてでもスアンだけは守り抜こうと立ち回ります。仕事で得たコネを利用して裏情報を掴んだソグは、周囲を出し抜こうとしますが上手くいきません。窮地に追い詰められたソグは、車内で知り合ったサンファ(マ・ドンソク)やヨングク(チェ・ウシク)と共闘を誓い、それぞれの大切な人を守るため、ゾンビの群れへ立ち向かいます。
以下にはラストのネタバレも含みます。ご注意ください。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」では、ゾンビはもちろん極限状態に陥った人間同士の争いも生々しく描かれます。自己中心的な性格のソグでしたが、次々と襲いかかる凶事からスアンを守り続けることで人間的な成長を遂げます。しかし最後にはゾンビに噛まれてしまうソグ。完全にゾンビ化してスアンに危害を与える前に自ら命を絶ちます。涙ながらに父を引き止めるスアンを振り切って、走行する列車から身を投じるソグ。死の間際、走馬灯のように思い返すのはスアンが産まれた時の喜びでした。
「新感線」の魅力は息もつかせぬほどパワフルに襲いかかるゾンビ描写でしょう。かの有名なホラー作家であるスティーブン・キングに「ウォーキング・デッドがおとなしく見える」とまで言わしめたほどです。また、冷めきった親子関係が徐々にヒートアップする様子も見どころの一つ。序盤のギクシャクした関係がラストの涙の別れへとつながることで、怒涛の感動を生み出します。「始まりと終わりは正反対にすべし」という脚本の鉄則が学べる秀逸な映画ではないでしょうか。
例えば、主人公が最初から優しい父親として描かれ、最後も優しい父親のままで終わるのはNG例です。変化がないため、観客の感情は動きにくくなります。良い例は、『新感染 ファイナル・エクスプレス』のように、序盤で自己中心的で娘との関係もぎくしゃくしている父親を描き、終盤で命をかけて娘を守る父親へと変化させることです。始まりと終わりの落差が大きいほど、ラストの感動も大きくなります。

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『新感染 ファイナル・エクスプレス』の脚本術に関するよくある質問
Q. 「始まりと終わりは正反対にすべし」とは、どういう脚本のテクニックですか?
物語の冒頭で描いたキャラクターの状態と、ラストで描く状態を正反対にすることで、その落差が感動を生み出すという考え方です。『新感染』では、冷え切った父娘関係が、ラストでは命をかけた愛情へと変化します。
Q. 主人公の人間的な成長を描くには、何が必要ですか?
主人公の欠点や弱さを序盤でしっかり描いておくことです。『新感染』のソグは、最初は自己中心的な性格として描かれます。その後、娘を守る中で徐々に変化していく過程を見せることで、成長が説得力を持ちます。
Q. パニック映画やゾンビ映画でも、人間関係のドラマは重要ですか?
はい。アクションやホラー要素だけでは観客の感情は動きにくいです。『新感染』のように、限定空間の中での人間関係の変化を描くことで、エンタメ要素とドラマの両方を両立できます。
まとめ:始まりと終わりの落差が感動を生む
脚本家として『新感染 ファイナル・エクスプレス』から学べるのは、ゾンビパニックという過激な設定の中でも、主人公の人間的な変化を丁寧に描くことで、深い感動を生み出せるということです。あなたの脚本でも、物語の冒頭で主人公にどんな欠点や弱さを持たせるか、そしてラストでどう変化させるかを、対比として意識してみてください。
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