2026年11月1日(日)午前5時10分から、WOWOWライブで台湾映画「風が踊る(字幕版)」が放送されます。
本作は、ホウ・シャオシェン監督がデビュー作「ステキな彼女」に続いて手がけた初期の恋愛映画です。フォン・フェイフェイさん、ケニー・ビーさん、アンソニー・チェンさんを中心に、恋愛と夢の間で揺れる女性を描きます。
後年の「悲情城市」などで世界的に知られる映画作家になる前の作品ですが、自然の風景や子どもを見る視線、日常の中で人物関係を育てる演出には、のちの作風につながる部分が見えます。脚本を学ぶ方には、三角関係の組み立てと「誰を選ぶか」だけでは終わらない主人公の選択に注目してほしい作品です。
放送日時と作品データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送日時 | 2026年11月1日(日)午前5:10〜6:45 |
| 放送局 | WOWOWライブ |
| 放送 | 字幕版 |
| 原題 | 風兒踢踏踩 |
| 英題 | Cheerful Wind |
| 内容時間 | 92分 |
| 監督 | ホウ・シャオシェン |
| 脚本 | ホウ・シャオシェン |
| 主演 | フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー |
WOWOW公式では、本作をホウ・シャオシェン監督の監督第2作として紹介しています。デビュー作「ステキな彼女」に続き、台湾の人気歌手兼俳優フォン・フェイフェイさんとケニー・ビーさんを主演に迎えた恋愛歌謡映画です。
制作年については資料に表記差があります。WOWOWは1981年製作としていますが、台湾国家電影及視聴文化中心の修復版資料は1982年と記載しています。この記事では放送情報はWOWOW公式に従い、作品史の補足では台湾側の公式資料も併記します。
「風が踊る」はどんな物語?
主人公のシンホエは、CM撮影の仕事に携わる女性カメラマンです。撮影隊とともに台北から澎湖へ向かい、現地で視力を失っている青年チンタイと出会います。
シンホエとチンタイは交流を重ね、撮影終了後に台北へ戻ってから再会します。チンタイは角膜移植手術のため街へ来ており、二人の距離は急速に縮まっていきます。
手術が成功し視力を取り戻したチンタイは、シンホエに結婚を申し込みます。しかし、シンホエにはCMディレクターのローザイという恋人がいました。ローザイも彼女を諦めず、シンホエが憧れるヨーロッパ旅行を実現しようとします。
ここで物語は、単純に二人の男性のどちらを選ぶかという三角関係だけではなくなります。台湾国家電影及視聴文化中心の紹介では、シンホエは「愛情と夢」の間で選択を迫られる人物として説明されています。恋愛相手の選択と、自分がどんな人生を望むのかという選択が重なる点が本作の核です。
キャストと三角関係の配置
シンホエを演じるのはフォン・フェイフェイさんです。WOWOWは彼女を台湾の人気歌手兼俳優として紹介しており、本作では仕事を持つ女性として物語の中心に立ちます。
台湾国家電影及視聴文化中心は、フォン・フェイフェイさんが1970年代の恋愛文芸映画に多かった悲劇的な女性像から離れ、自由で率直な都会の女性を演じた点を本作の特徴として挙げています。恋愛の結果だけでなく、主人公自身の意思が物語を動かす構造です。
チンタイ役はケニー・ビーさんです。目の手術を控える青年としてシンホエと出会い、互いに思いやる関係へ進みます。台湾側の紹介では、相手の女性を支える男性像として、当時の性別役割をひっくり返す面も指摘されています。
ローザイ役はアンソニー・チェンさんです。シンホエの仕事上の上司であり恋人でもあるため、恋愛と仕事の関係が重なる人物です。彼がシンホエのヨーロッパへの憧れを実現しようとすることで、チンタイとの恋だけではなく、将来の夢まで選択肢に入ります。
この三人の配置が面白いのは、どちらか一方の男性を単純な悪役にしなくても葛藤が成立する点です。チンタイには穏やかな愛情があり、ローザイには長い関係と夢をかなえる提案があります。主人公の選択を難しくするために、どちらにも魅力を持たせています。
脚本・演出・撮影のスタッフ
| 役割 | 担当 |
|---|---|
| 監督 | ホウ・シャオシェン |
| 脚本 | ホウ・シャオシェン |
| 製作 | ヤン・バイシュエ、チェン・クンホウ |
| 撮影 | チェン・クンホウ |
| 音楽 | ズオ・ホンユエン |
WOWOW公式では、ホウ・シャオシェン監督自身が脚本も担当した作品として掲載されています。監督第2作という早い時期の作品であり、後年の作家性が完成する前の商業映画として作られました。
一方でWOWOWは、自然の風景や子どもを見つめる独自の視線に、後のホウ・シャオシェン監督らしさが見えると解説しています。完成された作風だけを見るのではなく、商業的な恋愛映画の枠内で何を選び取っていたのかを見ると興味深い作品です。
台湾のデジタル修復資料では、撮影指導をチェン・クンホウさん、編集をリャオ・チンソンさんが担当したことも確認できます。ホウ・シャオシェン作品の後年の展開を知る方にとっては、初期から関わったスタッフの仕事にも注目できます。
脚本づくりの視点:三角関係を「人生の選択」に広げる
三角関係の物語では、しばしば「主人公はAとBのどちらを選ぶのか」が中心になります。「風が踊る」も表面上はその形ですが、シンホエに仕事とヨーロッパへの夢を持たせることで、選択の意味を広げています。
チンタイを選ぶことは恋愛の選択だけではなく、彼との生活を選ぶことにつながります。ローザイの提案を受けることも、現在の恋人を選ぶだけではなく、シンホエが望んでいた海外へ向かう可能性と結びつきます。
このように、恋愛関係の選択に主人公自身の夢を重ねると、観客は「誰が好きか」だけでなく「どんな人生を選ぶか」を考えることになります。人物の目標を恋愛の外側にも置くことで、三角関係の葛藤を一段深くできる例と考えられます。
二人の男性を悪役にしない
葛藤を強くするために、片方の人物を明確な悪役にする方法があります。しかし本作では、チンタイにもローザイにも主人公を思う理由が置かれています。
相手が悪いから離れるのではなく、どちらにも価値があるから迷う。こうした構造では、主人公の決断そのものがキャラクターを示します。脚本を書くときも、選択肢の一方を簡単に捨てられない状態にすると、決断の場面が強くなると考えられます。
「見ること」を物語の中心に置く
シンホエは撮影の仕事をする人物であり、チンタイは視力を失った状態で登場します。この設定だけでも「見る」という行為が二人の関係に組み込まれています。
台湾側の映画祭紹介では、撮影に関わるシンホエの視線を通じて三人の関係を描き、当時の伝統的な性別の見る・見られる関係を反転させる作品として紹介されています。主人公の職業を物語のテーマとつなげる設定は、脚本上の工夫として注目できます。
演出から見る見どころ:澎湖の風景と日常の軽さ
WOWOWの解説は、本作の魅力として自然の風景や子どもに向ける視線を挙げています。後年のホウ・シャオシェン監督作品では、人物を大きく説明するよりも、生活の空間や時間を見せる演出が重要になりますが、その萌芽を初期作から探せます。
澎湖でのロケは、台北の日常から人物を一度離す役割もあります。旅先でチンタイと出会うことで、シンホエには普段の仕事や恋人とは別の関係が生まれます。場所の移動そのものが、人物関係を動かすきっかけになっています。
また、恋愛歌謡映画という商業的な形式のため、後年の作品より明るく軽やかな印象があります。だからこそ、ホウ・シャオシェン監督の名前から重厚な作品を想像している方は、若々しいテンポやロマンチックな場面との違いを楽しめます。
ホウ・シャオシェン初期作として見るポイント
「風が踊る」は、ホウ・シャオシェン監督が国際的な評価を確立する前の作品です。WOWOWは、商業的な枠組みの中で作られた恋愛歌謡映画でありながら、後の映画作家としての視線が感じられる作品と位置づけています。
そのため、完成した作家性を探すというより、「この時期には何を撮っていたのか」を見るのがおすすめです。恋愛の三角関係、人気歌手を主演にした娯楽性、澎湖の風景、子どもや日常への視線が同じ作品の中にあります。
台湾国家電影及視聴文化中心が2018年にデジタル修復を行い、その後も上映機会が作られていることからも、初期作として見直されている一本です。後年の代表作とは違う明るさを持ちながら、監督の出発点を知る材料になります。
参考にした情報
- WOWOW公式「風が踊る」作品ページ
- WOWOW公式「風が踊る」作品データ・あらすじ
- 台湾国家電影及視聴文化中心「Cheerful Wind」修復版紹介
- 台湾映画デジタル修復計画「風兒踢踏踩」作品資料
- 映画.com「風が踊る」作品情報
よくある質問
「風が踊る(字幕版)」はいつWOWOWで放送されますか?
2026年11月1日(日)午前5時10分から午前6時45分まで、WOWOWライブで放送されます。WOWOW公式では字幕版、内容時間92分として案内されています。
「風が踊る」の監督と脚本は誰ですか?
監督・脚本ともにホウ・シャオシェンさんです。WOWOWでは監督第2作と紹介され、初期の恋愛歌謡映画として位置づけられています。
「風が踊る」の主演は誰ですか?
シンホエ役のフォン・フェイフェイさんと、チンタイ役のケニー・ビーさんが中心です。ローザイ役はアンソニー・チェンさんが演じています。
「風が踊る」の制作年は1981年ですか、1982年ですか?
資料によって表記が異なります。WOWOW公式は1981年、台湾国家電影及視聴文化中心の修復版資料は1982年としています。放送時の番組情報はWOWOW表記を基準にしています。
まとめ
「風が踊る(字幕版)」は、2026年11月1日(日)午前5時10分からWOWOWライブで放送されます。ホウ・シャオシェン監督がデビュー直後に手がけた恋愛映画で、フォン・フェイフェイさんとケニー・ビーさんらが出演します。
脚本の見どころは、三角関係を単なる恋人選びにせず、主人公の仕事や夢を含む「人生の選択」に広げている点です。さらに、撮影に関わる女性と視力を失った男性を置くことで、「見ること」自体を人物関係に組み込んでいます。
後年のホウ・シャオシェン監督作品とは違う軽やかな娯楽性を楽しみながら、自然や日常を見る視線の芽を探すと、監督の変化をたどる一本としても味わえます。

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