10月29日(木)22時からJ:COM BSで、1976年に始まったドラマ「三男三女婿一匹」第1シリーズ第21話が放送されます。作品情報の脚本欄には、高橋玄洋さん、福田陽一郎さんとともに市川森一さんの名前が記載されています。
市川森一さんは「傷だらけの天使」「黄金の日日」「淋しいのはお前だけじゃない」などを手がけた脚本家です。2011年12月に70歳で亡くなっているため、今回のBS放送は、市川さんが昭和のテレビドラマに残した仕事を振り返る機会になります。
ここでは「三男三女婿一匹」との関わり、市川さんの生涯と代表作、脚本家としての作風、脚本志望者が学べる点をまとめます。
10月29日放送「三男三女婿一匹」と市川森一
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送作品 | 三男三女婿一匹 第1シリーズ第21話 |
| 放送日時 | 2026年10月29日(木)22:00〜23:00 |
| 放送局 | J:COM BS |
| 制作年 | 1976年〜 |
| 脚本欄 | 高橋玄洋、福田陽一郎、市川森一 |
| 主な出演 | 森繁久彌、山岡久乃、井上順 ほか |
J:COM BS公式番組表では、10月29日22時から第1シリーズ第21話が放送されます。番組案内によると、夫の和之が最近冷淡だと感じたすみれが、大五郎の助言を受け、弓子の高校時代のノートを利用して架空の思い出をほのめかす回です。
制作会社テレパックは「三男三女婿一匹」を、大病院を舞台に患者とスタッフ、家族の悲喜こもごもを描いたホームドラマとして紹介しています。脚本担当には高橋玄洋さん、福田陽一郎さん、市川森一さんの3人が記載されています。
郡山市が公開した西田敏行さんの展示資料一覧でも、TBS系テレビ火曜ドラマ「三男三女婿一匹」は1976〜77年の作品として掲載され、原作・脚本家などの欄に「作/市川森一」と記録されています。ただし、第21話を市川さんが単独で書いたかは公開情報から確認できません。この記事では、シリーズの脚本陣の一人として扱います。
市川森一はどんな脚本家だった?
市川森一さんは1941年4月17日、長崎県諫早市生まれです。諫早市公式ページによると、日本大学芸術学部を卒業し、1966年に「快獣ブースカ」第4話で脚本家デビューしました。
その後は特撮、青春ドラマ、刑事ドラマ、ホームドラマ、大河ドラマ、映画、舞台へと執筆領域を広げました。諫早市は、生涯で手がけた作品が800本以上にのぼると紹介しています。
市川さんは日本放送作家協会の理事長などを務め、脚本そのものを文化資産として残す活動にも力を注ぎました。日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムの資料では、脚本・台本の保存活動の出発点に、市川さんが放送脚本を次世代へ残す必要性を訴えたことがあったと説明されています。
2011年12月に70歳で亡くなりました。諫早市立諫早図書館には「市川森一シナリオルーム」があり、作品や人物像を紹介する場として今も顕彰されています。
市川森一の代表作と受賞歴
市川さんの代表作は一つのジャンルに収まりません。デジタル脚本アーカイブズによると、「快獣ブースカ」でデビューした後、「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」「太陽にほえろ!」などに参加し、1974年の「傷だらけの天使」でメインライターを務めて注目を集めました。
NHKでは大河ドラマ「黄金の日日」「山河燃ゆ」「花の乱」を担当しています。とくに「黄金の日日」は1978年、市川さんが37歳のときに大河ドラマ脚本へ抜擢された作品として、諫早市公式ページでも経歴の節目に挙げられています。
1980年代以降も「港町純情シネマ」「淋しいのはお前だけじゃない」などのテレビドラマを手がけました。「淋しいのはお前だけじゃない」では第1回向田邦子賞を受賞し、映画「異人たちとの夏」では日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞しています。
| 時期 | 主な作品・出来事 |
|---|---|
| 1966年 | 「快獣ブースカ」で脚本家デビュー |
| 1974年 | 「傷だらけの天使」で脚光を浴びる |
| 1976〜77年 | 「三男三女婿一匹」に脚本家として関与 |
| 1978年 | NHK大河ドラマ「黄金の日日」 |
| 1983年 | 「淋しいのはお前だけじゃない」で第1回向田邦子賞 |
| 1989年 | 「異人たちとの夏」で日本アカデミー賞最優秀脚本賞 |
| 2003年 | 紫綬褒章 |
| 2011年 | 旭日小綬章、同年12月に死去 |
市川森一の作風
デジタル脚本アーカイブズは、市川さんのテレビドラマについて、現実と幻想の境界を行き来するような人間ドラマを特徴の一つとして紹介しています。初期には特撮番組を多く書き、その後は大人向けの青春ドラマや社会性のある作品、歴史ドラマへと領域を広げました。
市川さんの仕事を追うと、題材が変わっても「人間が何を信じ、何に傷つき、どう生き直すか」という部分に焦点を当てていることが分かります。事件や歴史の大きさだけで人物を動かすのではなく、本人の内面にある願望や孤独を物語の推進力にする作品が多くあります。
「三男三女婿一匹」のようなホームドラマでは、大河ドラマや幻想的な作品とは見た目が違います。それでも、家族同士の意地や寂しさ、相手に分かってほしいという感情を会話に乗せることで、人間関係そのものをドラマにする点は、市川さんの幅広い仕事を考えるうえで重要です。
「三男三女婿一匹」で注目したい人物の動かし方
10月29日放送の第21話では、すみれが夫・和之の気持ちを確かめるため、実際には存在しない過去の恋愛をほのめかします。ここで物語を動かすのは、犯罪や大事件ではなく、「相手に嫉妬してほしい」という感情です。
ホームドラマでは、登場人物が同じ家や職場に集まり続けるため、毎回大きな事件を起こす必要はありません。日常の中にある小さな不満、見栄、誤解、期待をきっかけにすれば、人物関係そのものが筋になります。
第21話の案内には、大五郎がすみれに助言し、弓子のノートが小道具となり、和之との夫婦関係へ話がつながる流れがあります。一つの感情を別の人物と小道具が増幅していく構成は、家族ドラマの場面を連鎖させる方法として注目できます。
脚本志望者が学べる点
市川森一さんから学べる第一の点は、ジャンルが変わっても人物の感情を中心に置くことです。特撮、刑事ドラマ、ホームドラマ、大河ドラマと題材が変わっても、人間の葛藤を描く姿勢が作品をつないでいます。
第二の点は、現実の出来事だけに頼らず、人物の記憶や願望、幻想まで物語の材料にする発想です。デジタル脚本アーカイブズが紹介する「港町純情シネマ」「淋しいのはお前だけじゃない」「幽婚」などでは、現実と夢の境界を揺らす表現が市川さんの個性として語られています。
第三の点は、社会や時代を背景にしても、説明より人物の選択で見せることです。「黄金の日日」などの歴史作品では大きな時代変化を扱いますが、視聴者が追うのはあくまで登場人物の行動です。背景情報を並べるだけでなく、人物がその時代に何を望み、何を失うのかへ落とし込むことでドラマになります。
市川さんが脚本の保存活動にも取り組んだことは、書き手にとってもう一つの示唆があります。完成映像だけでなく、脚本そのものに作家の考え方や構成の痕跡が残るからこそ、過去の脚本を読むことは技術を学ぶ方法になります。
共演者と作品背景
「三男三女婿一匹」は森繁久彌さんを中心に、山岡久乃さん、井上順さん、西田敏行さん、泉ピン子さん、古谷一行さん、杉村春子さんらが出演しました。制作会社テレパックによると、好評を受けて3シリーズが制作された作品です。
市川さんと西田敏行さんの組み合わせは、この作品だけではありません。郡山市の西田敏行展資料では、「三男三女婿一匹」に続いて「港町純情シネマ」「淋しいのはお前だけじゃない」など、市川脚本の作品に西田さんが出演した記録がまとめられています。
脚本家と俳優が複数作品で再び組むと、書き手が俳優の持ち味を理解し、役の設計に生かせる可能性があります。市川さんの作品を見るときは、同じ俳優が別作品でどのように違う役を与えられているかを比べるのも、人物造形を学ぶ手がかりになります。
参考にした情報
- J:COM BS 公式番組表
- J:COMテレビ番組表「三男三女婿一匹」
- 諫早市「森一忌」市川森一プロフィール
- デジタル脚本アーカイブズ「市川森一」
- テレパック「三男三女婿一匹」作品ページ
- 郡山市「西田敏行展」展示物一覧
よくある質問
市川森一はどんな脚本家ですか?
1941年に長崎県諫早市で生まれ、1966年に「快獣ブースカ」でデビューした脚本家です。「傷だらけの天使」「黄金の日日」「淋しいのはお前だけじゃない」など幅広い作品を手がけました。
市川森一は「三男三女婿一匹」の脚本家ですか?
J:COMと制作会社テレパックの作品情報では、脚本欄に高橋玄洋さん、福田陽一郎さん、市川森一さんが記載されています。第21話を市川さんが単独執筆したかは公開情報では確認できません。
市川森一の代表作は何ですか?
「傷だらけの天使」「黄金の日日」「淋しいのはお前だけじゃない」「異人たちとの夏」などが代表作として挙げられます。
市川森一はいつ亡くなりましたか?
諫早市公式ページによると、2011年12月に70歳で亡くなりました。
まとめ
市川森一さんは、特撮からホームドラマ、刑事ドラマ、大河ドラマ、映画まで幅広いジャンルを手がけた脚本家です。10月29日22時にJ:COM BSで放送される「三男三女婿一匹」第1シリーズ第21話は、市川さんが脚本陣の一人として関わった昭和のテレビドラマを見直す機会になります。
生涯800本以上とされる仕事の幅だけでなく、人間の孤独や願望を物語の中心に置いた点、脚本そのものを後世へ残そうとした姿勢も大きな功績です。脚本志望者にとっては、ジャンルを越えて人物の感情を掘り下げることと、完成映像だけでなく脚本を読むことの価値を教えてくれる作家です。

コメント