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人生にも「動機メモ」はある
ある日、久しぶりに会った友人が、コーヒーを飲みながらつぶやきました。
「最近、何をしたいのか、よくわからなくてさ。」
ふと、あなたにもこんな気持ちになったことはありませんか?
目の前のことをこなしているのに、心のどこかが空っぽな感じ。
私たちはみんな、心のどこかに「動機メモ」を持っています。
それは、自分を動かす小さな原動力のようなものです。
人を動かす小さな動機たち
- 「誰かに認められたい」
- 「安心していたい」
- 「自由になりたい」
- 「誰かを守りたい」
- 「自分を好きになりたい」
こうした気持ちが、日々の選択を決めています。
たとえ意識していなくても、行動の裏には必ず“動機”があります。
動機は変化していく
動機は、時間とともに変わります。
若いころは「みんなに好かれたい」だった人が、
年を重ねると「自分らしく生きたい」に変わるように。
この“変化”こそが、人生のドラマを生みます。
動機が変わると、行動も価値観も変わっていく。
それが人を成長させ、ストーリーを作っていくのです。
脚本でも同じ。「動機」が物語を動かす
人生に動機があるように、脚本にも動機が必要です。
どんな登場人物でも、「なぜそれをするのか」が見えないと、
行動に説得力がなくなり、物語は平坦になってしまいます。
脚本初心者が最初に考えるべきこと
脚本を書くときに最初に考えるべきなのは、
派手な展開でも、セリフでもありません。
まずはキャラクターの動機を掘り下げることです。
物語を動かす動機の例
- 夢を叶えたい
- 家族を守りたい
- 誰かに認められたい
- 失ったものを取り戻したい
- 過去の罪を償いたい
キャラクターが「なぜそうしたいのか」が明確になると、
セリフも行動も自然に生まれます。
逆に、動機があいまいなキャラクターは、
どんなに劇的な展開をしても観客の心を動かしません。
「動機メモ」とは何か?
「動機メモ」とは、登場人物の心に貼る付せんのようなものです。
その付せんに「この人はなぜ動くのか」を一行で書くだけで、
物語の行き先がはっきり見えてきます。
動機メモの書き方とテンプレート
ここでは、動機メモの作り方を紹介します。
ノートやメモアプリにこの表を書き写して、登場人物ごとに埋めてみてください。
| キャラクター名 | 動機(望み) | 恐れ | 行動のきっかけ | 結末での変化 |
|---|---|---|---|---|
| 佐藤真奈美 | 誰かに認められたい | 否定されること | 上司の期待に応えようと無理をする | 「自分を信じる強さ」に気づく |
| 高橋修 | 家族を守りたい | 失うこと | 危険な仕事を引き受ける | 「守るとは手放すこと」と悟る |
動機メモを作るときのヒント
- 愛がほしい
- 自由になりたい
- 幸せに暮らしたい
- 勝ちたい
- 許されたい
- 安心して生きたい
- 自分の価値を証明したい
この中から、登場人物がいちばん強く求めている動機を選びましょう。
物語の方向が、ぐっと明確になります。
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動機が変わると、物語が生まれる
人が成長するように、キャラクターの動機も変化していきます。
最初は「名誉がほしい」と言っていた主人公が、
物語の終盤で「家族の笑顔が一番大切」と気づく――
その変化こそが、物語の“心”です。
動機の変化が、登場人物を成長させ、物語を完結へと導きます。
よくあるつまずきと解決法
脚本を書き始めた人の多くが、こう感じたことがあるはずです。
「キャラクターが勝手に動かない」
「セリフが浮いて見える」
その原因は、キャラクターの動機が見えていないこと。
解決のヒント
動機メモを一枚作るだけで、
人物は驚くほど自然に動き始めます。
動機が見えれば、登場人物はあなたの代わりに物語を進めてくれるのです。
書き手は「見守る」立場に回るだけでよくなります。
まとめ:キャラクターの心に「動機メモ」を
脚本を書くとき、登場人物にこう尋ねてみましょう。
「あなたを動かしているのは、どんな気持ち?」
その答えが、あなたのキャラクターの動機メモです。
そこから生まれる行動が、物語を前へと進めていきます。
📝 今日のアドバイス
もし登場人物が動かないと感じたら、
「この人はなぜそれをしたいのか?」を思い出してみてください。
一行の動機メモを書く。
それだけで、あなたの物語は確実に動き出します。

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