中井由梨子さんは、作家、劇作家、脚本家、演出家として活動してきたクリエイターです。舞台で脚本を書くところからキャリアを積み、実在の人物を長く取材してノンフィクション作品を書き、その物語を自ら映画脚本にする仕事でも知られています。
代表作には、書籍と映画の双方に関わった『20歳のソウル』、映画脚本を担当した『明日を綴る写真館』、原作と映画脚本を担当した『栄光のバックホーム』があります。
2026年11月7日には、映画『栄光のバックホーム』がテレビ朝日で放送されます。中井由梨子さんがどのような経歴を持ち、実話をどのように作品へつなげてきたのかを、公式情報と本人へのインタビューをもとに整理します。
中井由梨子さんはどんな人?
幻冬舎の著者ページによると、中井由梨子さんは1977年に兵庫県で生まれた劇作家・演出家です。1996年、神戸で旗揚げされたガールズ劇団「TAKE IT EASY!」に座付き作家として参加し、舞台の脚本を書く活動を始めました。
その後、2005年に活動拠点を関西から東京へ移し、2010年には劇団CAC中井組の座付き作家・演出家に就任。さらに複数の演劇ユニットを立ち上げながら、舞台だけでなく映像作品の脚本にも仕事を広げています。
映画『栄光のバックホーム』公式サイトでは、神戸の劇団で座付き作家としてキャリアを始め、30歳で東京へ拠点を移したことが紹介されています。舞台で人物を立ち上げる経験と、映像で物語を組み立てる仕事の両方を続けてきた人物です。
今回確認した公式資料では、生年月日の月日までは確認できませんでした。そのため年齢を推測して記載せず、確認できた経歴と作品を中心に紹介します。
中井由梨子さんの経歴と代表作
中井由梨子さんの名前が広く知られるきっかけの一つが、『20歳のソウル』です。市立船橋高校で受け継がれる応援曲「市船soul」を作曲した浅野大義さんの実話を、中井さんが取材して書籍にまとめました。
映画化された『20歳のソウル』でも、中井由梨子さんは脚本を担当しています。JFDBでも、実在の人物に長年取材した同名原作の筆者が映画脚本を担当したことが紹介されています。
2024年公開の『明日を綴る写真館』では、あるた梨沙さんの漫画を原作に、秋山純監督のもとで脚本を担当しました。アスミック・エース公式の作品情報にも、脚本として中井由梨子さんの名前が記載されています。
そして2025年公開の『栄光のバックホーム』では、横田慎太郎さんの人生を描いたノンフィクション『栄光のバックホーム』の著者であり、映画の脚本も担当しました。
| 年 | 作品 | 担当 |
|---|---|---|
| 2022年 | 20歳のソウル | 原作・脚本 |
| 2024年 | 明日を綴る写真館 | 脚本 |
| 2025年 | 栄光のバックホーム | 原作・脚本 |
書籍を書いて終わるのではなく、同じ題材を映画という別の形式へ変換する仕事を続けている点が、中井由梨子さんの大きな特徴です。
中井由梨子さんの作風は実話との向き合い方に表れる
中井由梨子さんの近年の代表作には、実在した人物の人生を扱う作品が並びます。『20歳のソウル』では浅野大義さん、『栄光のバックホーム』では元阪神タイガースの横田慎太郎さんと、その家族や周囲の人々への取材が作品の土台になっています。
映画『栄光のバックホーム』公式noteで中井さんは、脚本執筆前に横田慎太郎さん本人へリモート取材を行った過程を振り返っています。『20歳のソウル』でも長期にわたり取材を続けており、実話を扱うときに、出来事だけでなく本人や家族の思いへ近づこうとする姿勢が見えます。
CORECOLORのインタビューでは、中井さんが悲しみをそのまま描くだけではなく、作品を通して希望につながるものを届けたいという考えを語っています。病気や死を扱う作品でも、苦しさだけで結論づけず、その人物が何を大切に生きたのかへ焦点を置く姿勢がうかがえます。
また、『明日を綴る写真館』のように漫画原作の作品でも、登場人物同士が対話を重ね、過去の後悔や家族との関係に向き合っていく物語を脚本化しています。実話でもフィクションでも、人物の人生にある「残したもの」や「受け取ったもの」を丁寧につないでいく点が、中井さんの作品に共通する特徴だと考えられます。
脚本志望者が学べる点
中井由梨子さんの仕事から学べる一つ目の点は、実話を題材にするときに取材を物語の土台にする姿勢です。実在の人物を扱う脚本では、結果だけを並べても人物の輪郭は十分に立ち上がりません。
本人や家族、周囲の人が何を見て、何を感じ、どのような選択をしたのかを丁寧に集めることで、場面に具体性が生まれます。『栄光のバックホーム』で脚本を書く前に横田慎太郎さん本人への取材を行ったことは、その積み重ねを示す例です。
二つ目は、原作と映画脚本では同じ出来事でも見せ方を変える必要があることです。書籍では背景や心情を文章で説明できますが、映画では俳優の表情、行動、場所、他者との会話へ置き換えなければなりません。
中井さんは『20歳のソウル』と『栄光のバックホーム』で、原作者でありながら映画脚本も担当しました。自分で取材して知っている情報が多いほど、すべてを入れたくなりますが、映画では限られた時間の中で何を残すかを選ぶ必要があります。
取材した事実を場面へ変換し、観客が人物を感じられる形に絞る作業は、ノンフィクション脚本を学ぶうえで重要です。
三つ目は、悲劇的な出来事を人物の人生全体の中に置くことです。病気や死だけを強調するのではなく、その人が愛したもの、人との関係、残した影響まで描くことで、人物が「出来事の被害者」だけにならず、一人の人生として見えてきます。
最新の出演情報(2026年11月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品 | 映画『栄光のバックホーム』 |
| 放送日時 | 2026年11月7日(土)22:00〜0:49 |
| 放送局 | テレビ朝日 |
| 担当 | 原作・脚本 |
| 監督 | 秋山純 |
テレビ朝日公式によると、『栄光のバックホーム』は、阪神タイガースの若き選手として期待されながら21歳で脳腫瘍を発症した横田慎太郎さんの生涯を描く映画です。
原作には、横田慎太郎さんの著書『奇跡のバックホーム』と、中井由梨子さんの『栄光のバックホーム』が使われています。脚本は中井由梨子さんが担当し、企画・監督・プロデュースは秋山純さんです。
映画では松谷鷹也さんが横田慎太郎さんを演じ、母・まなみさん役を鈴木京香さんが演じます。前田拳太郎さん、伊原六花さん、山崎紘菜さん、佐藤浩市さん、大森南朋さん、高橋克典さんらも出演しています。
テレビ朝日での放送は2026年11月7日22時からです。2025年に劇場公開された作品がテレビ放送される形なので、中井由梨子さんが新たに出演する番組ではなく、中井さんが原作・脚本を手がけた映画が放送されます。
『栄光のバックホーム』で関わった人たち
中井由梨子さんと『栄光のバックホーム』で大きく関わるのが、企画・監督・プロデュースを務めた秋山純さんです。中井さんは『20歳のソウル』でも秋山監督と組み、続く『明日を綴る写真館』でも脚本を担当しています。
同じ監督と複数作を作ることで、作品ごとの題材は違っても、脚本と演出の間で共有できる方法が蓄積されていったと考えられます。『20歳のソウル』から『明日を綴る写真館』、『栄光のバックホーム』へと続く仕事は、中井さんの映画脚本家としての流れを知るうえでも重要です。
『栄光のバックホーム』では、横田慎太郎さん本人の著書と、中井さんの取材によるノンフィクションが一つの映画へまとめられています。複数の資料を一本の物語に統合する点も、脚本の構成を見るうえで注目したいところです。
参考にした情報
- テレビ朝日『栄光のバックホーム』公式
- 映画『栄光のバックホーム』公式 ABOUT THE MOVIE
- 幻冬舎plus 中井由梨子 著者ページ
- アスミック・エース『明日を綴る写真館』
- CORECOLOR 中井由梨子インタビュー
- 映画『栄光のバックホーム』公式note 中井由梨子執筆記事
よくある質問
中井由梨子さんはどんな人ですか?
1977年兵庫県生まれの作家・劇作家・脚本家・演出家です。神戸の劇団で座付き作家として活動を始め、舞台から映画脚本、ノンフィクション執筆へ仕事を広げてきました。
中井由梨子さんの代表作は何ですか?
『20歳のソウル』『明日を綴る写真館』『栄光のバックホーム』などがあります。『20歳のソウル』と『栄光のバックホーム』では原作と映画脚本の両方を担当しています。
『栄光のバックホーム』では何を担当していますか?
中井由梨子さんは、映画の原作の一つである書籍『栄光のバックホーム』の著者であり、映画版の脚本も担当しています。
『栄光のバックホーム』はいつテレビ放送されますか?
2026年11月7日(土)22時から、テレビ朝日で放送されます。テレビ朝日公式では0時49分までの放送予定として案内されています。
まとめ
中井由梨子さんは、舞台の座付き作家から活動を始め、作家、脚本家、演出家として仕事を広げてきました。『20歳のソウル』や『栄光のバックホーム』では、実在の人物への取材を重ねて原作を書き、その物語を自ら映画脚本へと作り替えています。
実話を扱う際に、出来事の大きさだけでなく、その人が何を大切に生きたのか、周囲へ何を残したのかまで描こうとする姿勢は、人物を中心に脚本を書くうえで参考になります。『栄光のバックホーム』を見るときは、取材で集めた人生の事実が、映画の場面としてどう選び取られているかにも注目すると学びが深まります。

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