魚豊さんは、「ひゃくえむ。」や「チ。―地球の運動について―」などで知られる漫画家です。講談社の公式情報では「ひゃくえむ。」が連載デビュー作とされ、100m走に人生を懸ける人々の情熱と恐怖を描いた作品として紹介されています。
「ひゃくえむ。」は2025年に劇場アニメ化され、2026年11月2日にはWOWOWシネマで放送予定です。ここでは魚豊さんの経歴と代表的な原作作品、漫画から映像へ移すときに何が変わったのかを、公式情報と本人インタビューをもとに整理します。
魚豊さんの経歴
魚豊さんは東京都出身の漫画家です。コミックナタリーのプロフィールによると、2018年11月に講談社のマンガアプリ「マガジンポケット」で「ひゃくえむ。」を連載し、連載デビューしました。
「ひゃくえむ。」の完結後、2020年には小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」で「チ。―地球の運動について―」の連載を開始します。同作は複数の漫画賞で高く評価され、第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞も受賞しました。
魚豊さんは作品の中で、勝敗や成功だけでは整理できない人間の執着、思想、恐怖、知ることへの欲望を描いてきました。コミックナタリーの編集者インタビューでは、担当者が魚豊さんについて「マンガ家というより作家である」という意識が強い人物だと語っており、作品ごとに問いを深く掘り下げる姿勢がうかがえます。
また、音楽ナタリーの対談では、魚豊さん自身が大学で哲学科に在籍していたことや、「チ。」がニーチェから影響を受けている可能性、「カイジ」から強い影響を受けていることを語っています。作品内で価値観の衝突や極端な選択が繰り返される背景を考えるうえで、こうした発言は重要な手がかりになります。
2026年9月には、新連載「ハルシネーションミート」を「週刊ビッグコミックスピリッツ」で始める意向が報じられました。開始時期は発表時点で未定とされており、確定していない日付をここでは断定しません。
魚豊さんの代表的な原作作品
「ひゃくえむ。」は連載デビュー作
講談社公式によると、「ひゃくえむ。」は魚豊さんの連載デビュー作です。主人公のトガシは生まれつき足が速く、その速さによって友人や居場所を得てきましたが、やがて敗北への恐怖と向き合うことになります。
物語は100mという短い競技時間を扱いながら、登場人物の人生を長い時間軸で追います。才能がある者、努力によって速くなる者、かつて頂点に近づいた者など、走る理由が違う人物を並べることで、「速さ」が単純な能力の比較ではなく、それぞれの生き方を映すものになっています。
講談社の単行本情報では、旧版は全5巻、新装版は上下巻として刊行されています。公式サイトでは2025年9月19日の劇場アニメ公開も案内されており、連載終了後も映像化を通じて作品が広く読まれる機会が生まれています。
「チ。―地球の運動について―」で評価を広げる
「チ。―地球の運動について―」は、魚豊さんが2020年に連載を開始した作品です。コミックナタリーのプロフィールでは、「マンガ大賞2021」第2位、「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門第10位、「このマンガがすごい! 2022」オトコ編第2位、第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞などの実績が紹介されています。
この作品では、知識や信念を次の人へ渡すことが物語を大きく動かします。一人の主人公だけを長く追うのではなく、別の人物へ意志や問いが引き継がれていく構成が特徴です。
魚豊さんの作品を脚本の観点から読むと、「主人公が何を達成するか」だけでなく、「何を信じ、その信念が誰へ伝わるか」という軸が強いことに気づきます。出来事の連続ではなく、価値観そのものが次の場面を生む構造になっている点が印象的です。
「ひゃくえむ。」は映像化でどう脚色された?
映画「ひゃくえむ。」公式サイトでは、原作・魚豊、監督・岩井澤健治、脚本・むとうやすゆきと明記されています。漫画の原作者がそのまま映画脚本を書く形ではなく、原作をもとに別のスタッフが映像作品として再構成した作品です。
魚豊さんは映画公式のコメントで、漫画とは異なる「映画という時間」を通して登場人物たちがどのような「速さ」を出力するのか楽しみにしていると述べています。この言葉から、原作と映画を同じ表現にそろえるのではなく、媒体の違いを前提に受け止めていることが分かります。
さらに、映画公式のOfficial髭男dismとの対談で、魚豊さんは映画について、原作とは異なる演出もありながら一つの作品として好きだと話しています。コミックナタリーの魚豊・岩井澤健治・川島明の鼎談でも、映画独自の映像表現について語られており、原作の内容をそのまま画面へ移すだけではない制作方針が確認できます。
原作には人物ごとの背景やエピソードが多くありますが、映画は107分という上映時間の中で一本の流れとしてまとめる必要があります。WOWOW公式では映画版の内容時間が107分とされています。長い漫画を映画へ移す際には、どの人物や出来事を残し、どこを圧縮するかという脚色が避けられません。
脚本志望者が学べる点
魚豊さんの原作から学べるのは、登場人物に「勝ちたい」「知りたい」といった強い欲求を持たせるだけでなく、その欲求を本人の恐怖や矛盾と結びつける方法です。「ひゃくえむ。」のトガシにとって速さは強みですが、同時に負けることへの恐怖を生みます。
強みがそのまま弱点にもなる設定は、人物を一面的にしません。走ることが得意だから自信がある、という一直線の人物像ではなく、得意だからこそ失うことが怖い、という反対方向の感情を置くことで、選択に緊張感が生まれます。
もう一つ注目したいのは、人物ごとに同じ題材の意味を変えることです。「ひゃくえむ。」では全員が100mを走りますが、走る理由や速さとの距離は同じではありません。同じ競技を中心に置きながら、トガシと小宮、周囲の選手たちが別々の問いを持つため、人物同士の会話や対決が価値観の衝突になります。
映像化からは、原作のすべてを残さず、映画として必要な中心線を選ぶ発想も学べます。原作の魅力を守ることと、映画の上映時間の中で一本の物語として成立させることは同じではありません。原作のどの問いを中心に据えるかを決め、その問いに関係する場面を優先することが脚色の重要な仕事だと考えられます。
魚豊さんが映画版について原作と違う演出を肯定的に語っている点も参考になります。原作を尊重することは、表現を一字一句同じにすることではなく、別媒体で同じ核をどう伝えるかを考えることだと読み取れます。
最新の出演情報(2026年11月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 関与作品 | 劇場アニメ「ひゃくえむ。」 |
| 放送日時 | 2026年11月2日(月)19:10〜 |
| 放送局 | WOWOWシネマ |
| 魚豊さんの役割 | 原作 |
| 映画公開 | 2025年9月19日 |
| 監督 | 岩井澤健治 |
| 脚本 | むとうやすゆき |
WOWOW公式では、劇場アニメ「ひゃくえむ。」が2026年11月2日(月)19時10分からWOWOWシネマで放送予定と案内されています。これは2025年に公開された劇場アニメの放送であり、魚豊さん本人が出演する番組ではなく、魚豊さんの原作を映画化した作品が放送されるものです。
WOWOW公式の作品紹介では、トガシ役を松坂桃李さん、小宮役を染谷将太さんが担当しています。ほかに笠間淳さん、高橋李依さん、田中有紀さん、内田雄馬さん、内山昂輝さん、津田健次郎さんらが声の出演に名を連ねています。
映画「ひゃくえむ。」の主なキャストと制作陣
映画公式サイトによると、才能型のランナー・トガシを松坂桃李さん、努力型の小宮を染谷将太さんが演じます。二人は少年時代に出会い、100m走を通して互いに大きな影響を与える関係です。
監督は「音楽」で知られる岩井澤健治さん、脚本はむとうやすゆきさんです。キャラクターデザイン・総作画監督は小嶋慶祐さん、音楽は堤博明さん、アニメーション制作はロックンロール・マウンテンが担当しています。
原作漫画と映画を見比べる場合は、誰のエピソードが強調されているか、漫画の内面描写が映像では表情・動き・音へどう置き換えられたかに注目すると、脚色の考え方を具体的に追いやすくなります。
参考にした情報
- 映画「ひゃくえむ。」公式サイト
- WOWOWオンライン「ひゃくえむ。」
- 講談社「ひゃくえむ。」既刊・関連作品一覧
- コミックナタリー「チ。」特集・魚豊プロフィール
- コミックナタリー「ひゃくえむ。」魚豊×川島明×岩井澤健治
- 映画「ひゃくえむ。」公式 魚豊×Official髭男dism対談
- ORICON NEWS 魚豊の新連載発表
よくある質問
魚豊さんの連載デビュー作は何ですか?
連載デビュー作は「ひゃくえむ。」です。講談社と映画公式の双方で、魚豊さんの連載デビュー作として紹介されています。
魚豊さんの代表作は何ですか?
「ひゃくえむ。」と「チ。―地球の運動について―」が代表的な作品です。「チ。」は第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞などを受賞しています。
映画「ひゃくえむ。」で魚豊さんは脚本も担当していますか?
映画版で魚豊さんの役割は原作です。映画公式サイトでは、監督は岩井澤健治さん、脚本はむとうやすゆきさんと記載されています。
「ひゃくえむ。」はWOWOWでいつ放送されますか?
WOWOW公式では、2026年11月2日(月)19時10分からWOWOWシネマで放送予定です。2025年公開の劇場アニメ作品が放送されます。
まとめ
魚豊さんは、「ひゃくえむ。」で連載デビューし、「チ。―地球の運動について―」などで評価を広げてきた漫画家です。人物の強い欲求と恐怖を同時に描き、同じ題材に対して複数の価値観をぶつける作りは、脚本を学ぶうえでも参考になります。
2025年の劇場アニメ「ひゃくえむ。」では、原作をそのまま写すのではなく、映画という時間表現に合わせた脚色が行われました。2026年11月2日のWOWOW放送を見る際は、原作の問いが映像でどう整理され、人物の感情が動きや音に置き換えられているかにも注目すると、原作と脚本の関係をより具体的に学べます。

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