良い脚本は、キャラクターが魅力的です。そのようなキャラクターには、実在する人間のような存在感が備わっています。しかし、魅力的なキャラクターを創作するには、脚本家としての長い経験や熟練のワザが必要だと思っていませんか? 実は、魅力的なキャラクターを描くことは難しくありません。脚本の初心者でも十分に魅力的なキャラクターを生み出せます。記事では、そのコツを紹介するので参考にしてください。
脚本家として魅力的なキャラクターを作るためには、たくさんの個性を盛り込むよりも、ひとつの特徴に絞り込むことが効果的です。この記事では、キャラクター設定とエピソードの違い、そして「ひとつに絞る」というコツを、具体例を交えて解説します。初心者の脚本家でも今日から実践できる方法です。
目次
魅力的なキャラクターとは?
脚本を面白くしたいのなら、ストーリーではなくキャラクターに注目してください。初めて脚本を書く人の中には、キャラクターの魅力や設定方法を勘違いしている人も少なくありません。例えば『ドラえもん』に登場するのび太の場合、「朝寝坊をして廊下に立たされる男の子」や「いじめっ子に泣かされる男の子」のようなものをキャラクター設定だと考えてしまいがちです。しかしこれだけでは、キャラクター設定としては不適当だと言わざるを得ません。せいぜいエピソードのひとつです。
魅力的なキャラクター設定とは、このようなエピソードを生み出す元になる塊を指します。のび太の場合は「落ちこぼれ」や「劣等生」、「できの悪い子供」というものがキャラクター設定に該当します。このようなキャラクター設定がマイナスに働くと朝寝坊をして先生に怒られたり、ジャイアンやスネ夫からいじめられたりしますが、逆にプラスへ作用すれば、優しい性格が評価されてしずかちゃんと結婚したり、ドラえもんとの友情を深めたりできるのです。
魅力的なキャラクターを決めるコツ
実際に登場人物のキャラクター設定を決める際には、コツがあります。それは、ひとつだけに絞ることです。実際の人間をよく観察すると複雑だということがわかります。優しい面があれば、理不尽に怒ることもあるし、情緒不安定に泣きわめく瞬間もあるでしょう。初心者の脚本家がキャラクター設定をする際、できるだけ実在する人間に近づけようとして、これら複数の要素を全て取り込もうとしがちです。しかし、キャラクター的な要素が増えるほど支離滅裂で掴みどころがない人物となってしまいます。すると脚本家自身でもキャラクターの人間性を理解できなくなってしまい、魅力的に描けません。
キャラクターをひとつに絞っても深みのある人間性は表現できます。特徴的なキャラクターを元にして性格の広がりを見せられるからです。「優しい性格」の人は、優柔不断かもしれないとか、いつも控えめだから出世できない安月給とか、他人の悩みばかり聞くけれど自分の悩みを打ち明ける相手がいないのでストレスが常に溜まっているとか、色々と連想できます。「優しい性格」というキーワードを起点として、キャラクターの可能性を広げることで、一貫性のある魅力的な登場人物が描けるはずです。
NG例は、キャラクターに「優しいけれど短気で、几帳面なのにずぼら」のように、矛盾する性格をいくつも一度に設定してしまうことです。脚本家自身が混乱し、シーンごとに言動がブレてしまいます。良い例は、「優しい性格」というひとつのキーワードを軸にして、そこから生まれる行動や弱さを連想していくことです。例えば、優しいからこそ頼みを断れず、いつも損な役回りを引き受けてしまう。そんな一貫性のある人物像が、観客にとって覚えやすく、愛着の持てるキャラクターになります。
登場人物のキャラクター設定は、ひとつに絞る
魅力的なキャラクターの作り方に関するよくある質問
Q. キャラクターの「設定」と「エピソード」はどう違うのですか?
エピソードは、キャラクターのある一面が表れた具体的な出来事です。一方、設定はそのエピソードを生み出す元になる性格や価値観のことです。例えば「朝寝坊して怒られる」のはエピソードであり、「だらしない性格」が設定にあたります。
Q. キャラクター設定をひとつに絞ると、単調にならないですか?
むしろ逆です。ひとつの特徴を軸にすることで、そこから生まれる行動や弱さを連想しやすくなり、一貫性のある複雑な人間性を描けます。複数の特徴を同時に持たせると、かえって人物像がぼやけてしまいます。
Q. 脚本の初心者でも、このコツは実践できますか?
はい。むしろ初心者ほど効果を感じやすいコツです。新しいキャラクターを作るときは、まず一言で表せる特徴をひとつ決め、そこから具体的な行動やエピソードを広げていく練習をしてみてください。
まとめ:キャラクターの魅力はひとつの特徴から広がる
脚本家として振り返ると、魅力的なキャラクターを作るために必要なのは、たくさんの設定を盛り込むことではなく、ひとつの特徴を深く掘り下げることです。あなたが今書いているキャラクターも、まずは一言で表せる特徴をひとつ選び、そこからどんな行動や弱さが生まれるかを考えてみてください。それだけで、キャラクターの魅力は何倍にも広がります。
脚本の書き方をさらに学べる本
キャラクター作りについてさらに学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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