状況説明の上手な書き方と7つのヒント

脚本の冒頭では、いつの時代のどこを舞台にしているか、またどんな人物が主人公かを説明しなければなりません。それを状況説明といいます。例えば「むかしむかしあるところに」からはじまる昔話の一文もそのひとつです。優れた状況説明は、あっという間に読者を物語へ引き込むでしょう。記事では、状況説明を上手に書くための型やヒントを紹介します。

sponsored
sponsored

状況説明とは

状況説明は、あなたが創作した脚本の背景事情(バックグラウンド)を紹介するものです。背景事情とは、キャラクターの紹介、時代、場所などあらゆる事柄を指します。これらをいち早く読者に理解してもらうことで、物語世界に引き込めるのです。

そのため、状況説明は物語の冒頭で表示することが一般的です。ただし、必ずしも書き出しで説明する必要はありません。物語の進行途中に状況説明を挿入するケースも存在します。

状況説明の目的

物語における状況説明の目的は、ドラマチックな設定を明らかにすることです。例えば、男女が恋に落ちたというだけでは普通ですが、それぞれの家柄が対立関係にあるという設定が明らかになれば、禁断の恋としてドラマチックに変貌します。

このように、効果的な状況説明は、観客の理解を補助します。また、エピソードの伏線として機能したり、登場人物の特技を説明したりする際にも役立つはずです。

代表的な状況説明の書き方

物語の状況説明には、様々な書き方があります。なかでもよく使われる書き方を紹介するので参考としてください。

状況説明の書き方1_
会話

登場人物が複数いる場合、会話によってシンプルかつ効果的に状況を説明できます。コツはセリフに感情を込めることです。例えば、キャラクター同士を喧嘩させると良いでしょう。

状況説明の書き方2_
ナレーション

ナレーションは物語を俯瞰で見ている天の声のようなものです。声の主は、登場人物だったり、物語に登場しない存在だったりします。登場人物の感情や思考などを伝える際にも適した手法です。

状況説明の書き方3_
小道具

小道具を駆使した状況説明は、台詞による状況説明より高度なテクニックです。また、小道具による状況説明は隠喩的であるため、読者に伝わりにくい一面もあります。しかし、だからこそ満足に伝わった際の効果は絶大です。

状況説明の書き方4_
テキスト

無声映画の時代、状況説明はもちろんセリフなどもテキストで表示していました。現代の映画でも、物語冒頭で状況を文章によって説明するケースが存在します。この手法では、映画の前提情報をまとめて伝えられるでしょう。ただし、観客に黙読を強いることになり、また読み取り能力は個々人で異なるため、複雑な内容は伝わりにくいです。

状況説明の書き方5_
フラッシュ

ストーリーの途中で短い映像を差し込む手法をフラッシュといいます。フラッシュによる状況説明が可能です。主に過去を説明する際に利用します。ナレーションなどと違い映像で説明するため、視覚的に状況を説明します。

状況説明が卓越した映画作品

状況説明を上手に取り入れて作品の質を向上させている映画を紹介します。アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』はその筆頭です。主人公の日常の様子などを通じて、生活環境や隣人キャラクターなどの状況を説明します。その情報はメインストーリーに深く関わってくるのです。

マーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』はギャング映画の名作です。ストーリーの要所で主人公のナレーションが入ります。心情を明確に説明することで映像との対比を生み出し、ドラマチックな効果を演出しています。

エドガー・ライト監督の『ショーン・オブ・ザ・デッド』も状況説明を効果的に活用した映画です。世界的なゾンビパニックという状況を説明するためにテレビのニュース映像が使われています。

このような名作映画を見ることで、状況説明の取り入れ方を学ぶことが可能です。

状況説明の書き方が上達する7つのヒント

物語の状況説明について理解が深まると、脚本のレベルもアップします。以下では、状況説明の書き方が上達するヒントを7つ紹介するので参考としてください。

状況説明の上達ヒント1_
映像で見せる

映画は視覚的な芸術です。そのため脚本は、映像で見せることを前提として書きます。状況説明をする場面でも、セリフに頼らずにアクションで見せるよう気をつけてください。

初心者の場合は「小物」などを工夫して説明することをおすすめします。ただし、この大前提を理解した上であれば、「会話」や「ナレーション」による状況説明も効果的です。

状況説明の上達ヒント2_
アクションに補足する

状況説明は、単体で存在させないよう気をつけてください。あくまでもアクションの補足として利用します。映像に変化があれば、観客は退屈せずに物語に没頭できるでしょう。

例えば主人公が敵役から逃げる場合、敵役がどれほど凶悪であるかを説明することで、より緊迫感あふれるシーンに昇華します。

状況説明の上達ヒント3_
映像を足す

ナレーションによる状況説明が必要な場合、単調な映像では観客の興味を十分に引き付けられません。観客を退屈させないためにも、視覚的情報を増やしてください。つまり、映像を足すのです。

単調なナレーションであっても刺激的な映像が足されれば観客の興味を引きつけられます。また、ナレーションの状況説明を削減できるかもしれません。

状況説明の上達ヒント4_
観客の代理キャラクターを登場させる

物語の状況を把握していないキャラクターを登場させることで、彼に対して説明をするシーンが作りやすくなります。そのようなキャラクターに状況説明をすることで、自然と観客に説明できるのです。

観客と同じ目線に立つキャラクターは、複雑なストーリーを伝える際に役立ちます。

状況説明の上達ヒント5_
感情的にする

状況説明は、説明的であるがゆえに退屈で観客から嫌われます。しかし、それは感情的なセリフに隠すことが可能です。例えば、夫婦によるテレビのチャンネル争いから、過去の不倫問題が再燃するかもしれません。

「あの時も自分勝手だった」。このように感情的に説明される二人の過去は、ドラマの一つとして観客に伝わります。退屈な説明ゼリフとは思われません。

状況説明の上達ヒント6_
シンプルに

状況説明の目的は、観客がストーリーを理解しやすいように補助することです。それ以外の目的による説明は必要ありません。

脚本の初稿段階では多くの状況説明が含まれていたとしても、リライトを重ねるごとに不要な部分を削ってください。できるだけシンプルにすることが、状況説明を上達させるコツです。

状況説明の上達ヒント7_
専門家を登場させる

あらゆる説明は、その専門家によって語らせてください。夫婦の歴史は夫または妻が直接説明するべきだし、細胞学に関する説明はその学問の第一人者が解説するべきです。

状況説明を挿入した際は、観客すべてを納得させなければなりません。その分野の専門家が存在しない場合、脚本はリアリティを失ってしまいます。

まとめ

状況説明は、上手に使わないと観客を退屈させてしまいます。反面、あっという間に観客を物語に引き込む効果も期待できます。状況説明はナレーションや小物などを介して観客に伝えられるでしょう。映像作品であるため、できるだけシンプルかつ視覚的に表現するべきです。