ログラインとは何か、どうすれば一文で人を惹きつけられるのか——脚本を一言で言い表す文章のことをログラインと呼びますが、優れたログラインは一文だけで読者の興味をひきつけて、脚本を読みたい気持ちにさせます。反面、悪いログラインは読者を遠ざけてしまうでしょう。
この記事では、脚本家として実際にログラインを練ってきた経験をもとに、ログラインの意味、含めるべき4つの要素、具体的な書き方のステップ、上手く書くためのヒント、有名な映画のログライン例までをまとめて解説します。脚本を書き始める前の思考整理としても役立つので、ぜひ自分の作品に当てはめながら読んでみてください。
ログラインとは
脚本の内容と魅力を簡潔に伝える要約文がログラインです。ログラインには、主人公、設定、敵対する存在、主たるエピソードといった重要な要素を、読者に伝える役目があります。
脚本の骨子を伝えつつ、核心を巧みにぼかして読者の興味を煽ることができれば言うことはありません。なぜなら、ログラインを書く目的は、相手に脚本を読みたいと思わせることだからです。
また、脚本を書き始める前の思考法として、ログラインを作り込むことは有効です。優れたログラインは、執筆活動の指針となるでしょう。脚本家として企画を提案する場面でも、ログライン一文で物語の魅力が伝わるかどうかは、その後の展開を大きく左右します。
ログラインの4要素
ログラインに決まったフォーマットはありません。自由に書いて結構です。しかし、含めたほうが良い要素は存在します。
- 主人公
- 刺激的な事件
- 主人公の目標
- 最大の障害物
この4つの要素を簡単に補足すると、「主人公」は読者が感情移入する対象、「刺激的な事件」は物語が動き出すきっかけとなる出来事、「主人公の目標」は物語を貫くゴール、「最大の障害物」はその目標達成を阻む最大の壁です。これらが揃うことで、読者は一文だけで物語の方向性をイメージできます。
これらの要素を書く順序に決まりはありません。主人公の特徴をログラインの最後に組み入れたり、刺激的な事件から書き出したりできます。
ログライン作成の次の段階(構成を組んだり、脚本を書いたりする段階)に進んでも、これらの要素を省略してはなりません。明確に引き継ぐ必要があるのです。
また、ログラインは短文にまとめてください。一息に言い切れる程度であると尚良いです。ただし、複雑なストーリーの場合は、ログラインもある程度長くなってしまいます。
ログラインの書き方
ログラインを書く意味は、脚本の魅力を簡潔に伝えること以外にもあります。あなた自身がストーリーの重要部分を見出す練習に役立つはずです。以下では、具体的なログラインの書き方を解説します。
Step1_主人公を決める
あなたの脚本に登場する主人公の特徴を箇条書きにしてください。コツは「形容詞+固有名詞」にすることです。「記憶をなくした暗殺者」「出世欲の強い医師」「潔癖症の美容師」など。書き出した特徴の中から最も主人公のキャラクターを表すものを選びます。
Step2_刺激的な事件の説明
物語が動き出すきっかけとなる事件を説明します。「大切な人が死ぬ」「恋に落ちる」「卒業する」「就職する」「未来の自分が来訪する」など。主人公が重い腰を上げて動き出すきっかけとなる刺激的な出来事を簡潔に説明してください。
Step3_主人公の目標
動き出した主人公はある目標に向かって突き進みます。ログラインでは、その目標も明確にするのです。主人公が何を求めてアクションを起こすか考えてください。その目標は読者が共感できるものでなければなりません。
「ゾンビから逃げのびたい」「家族を奪った組織に復讐したい」「愛する女性の命を救いたい」など。ただし、最終的に望みが叶うかどうかは別問題です。
Step4_障害物を作る
ログラインには障害物が必要です。目標を達成したい主人公の前に立ちはだかる障害をリストアップします。障害リストには、人間、ロボット、自然災害、時代などが含まれるでしょう。物理的だったり、精神的だったりするはずです。
主人公にとって最も邪魔な存在はなんでしょうか。主人公が障害物と対立関係にあることをシンプルに説明してください。
4つの要素を組み立てたら、実際に文章にしてみましょう。例えば「窮屈な生活を強いられる王女が、身分を隠してローマの街に繰り出し、女王のスキャンダルを狙う新聞記者と、たった一日だけ自由な恋愛をする」(『ローマの休日』)のように、主人公・事件・目標・障害物が一文の中で自然につながっていれば良いログラインです。一方、「ある王女が街に出かけて、いろいろな経験をする」のような書き方はNG例です。主人公の目標も障害物も伝わらず、読者の興味を惹けません。
ログラインを上手く書く3つのヒント
良いログラインを書くには技術が必要です。以下では、ログラインの書き方のヒントを解説します。
ヒント1_物語をはっきりと!
ログラインを書く時は、物語をはっきり認識していなければなりません。作者として曖昧な部分があると、良いログラインは書けないからです。ログラインから明確な物語が伝わると、読者は興味を惹かれます。ただし結末は書きません。そのことが脚本に対する引力を強くします。
ヒント2_劇的な言葉で!
ログラインは、劇的な言葉で書いてください。なぜなら、ログラインの読者は、読みながら頭に映像を思い浮かべるからです。平凡な言葉より、劇的な言葉であるほうが、読者の脳内で飛躍して映像化されます。例えば「森の中を散策する」より「冒険する」と書いたほうが、読者の想像力が掻き立てられるでしょう。
ヒント3_皮肉を込めて!
ログラインを魅力的に見せるには、皮肉が良いスパイスです。皮肉は物語の前提条件を基準として考えると良いでしょう。『スクール・オブ・ロック』では、音楽に挫折した主人公が、子どもたちの音楽的才能に気付く点に皮肉が込められています。もし、主人公が音楽で既に成功を収めた人物であったら、ログラインの魅力は半減です。
有名な映画のログライン例
ログラインの書き方を身につけるには、有名な映画のログラインを参考にすると効果的です。
『ローマの休日』のログライン例
窮屈な生活を強いられる王女が、身分を隠してローマの街に繰り出し、女王のスキャンダルを狙う新聞記者と、たった一日だけ自由な恋愛をする
『タイタニック』のログライン例
身分違いの男女が、豪華客船で出会い恋に落ちたが、今まさに沈没しそうな船から、生き延びようと必至にもがく
『スクール・オブ・ロック』のログライン例
オヤジ世代のロッカーが、小学校の偽教師になりすまし、音楽的才能はあるが問題児である子どもたちを利用して、金儲けを企む
『スタンド・バイ・ミー』のログライン例
仲良し4人組の少年たちが、世間が注目する死体のある場所を偶然知り、周囲の人間を見返すために、危険な冒険に出かける
『ライフ・イズ・ビューティフル』のログライン例
陽気なユダヤ人の男が、幸せな家庭を築くのだが、ナチスの迫害にさらされてしまい、家族を守るために奔走する
『ショーシャンクの空に』のログライン例
優秀な会計士の男が、無実の罪で投獄され、刑務所で非道な扱いを受けるが、自由を追い求める
ログラインに関するよくある質問
Q. ログラインとプロットの違いは何ですか?
ログラインは脚本全体を一文で要約したもので、主人公・事件・目標・障害物という4つの要素を凝縮して伝えます。一方、プロットはログラインを土台として、起承転結や三幕構成に沿って具体的なシーンや出来事を組み立てた設計図です。まずログラインで物語の核を一文に固め、それを広げる形でプロットを作っていくと、執筆中に話がぶれにくくなります。
Q. ログラインの長さはどのくらいが目安ですか?
一息で言い切れる程度、おおよそ1〜2文、文字数にして50〜100文字程度が目安です。ただし、複数の主人公が登場する物語や設定が複雑な物語の場合は、もう少し長くなっても構いません。重要なのは長さそのものより、主人公・事件・目標・障害物の4要素が一文の中できちんと伝わっているかどうかです。
Q. ログラインはいつ書くのが良いですか?
脚本を書き始める前に一度作っておくのがおすすめです。ログラインを先に固めておくと、執筆中に物語の方向性がぶれそうになったとき、立ち返るべき指針として機能します。また、プロットを組んだあとや脚本が完成したあとに改めてログラインを書き直してみると、物語の核がより明確になっているかを確認できます。
まとめ
ログラインは脚本の魅力を短い文章に要約したものです。主人公・刺激的な事件・主人公の目標・最大の障害物という4つの要素を一文に凝縮できれば、優れたログラインに近づきます。優れたログラインであれば、読者を獲得することに役立ちます。また、脚本を書き始める前の思考方法としても有効です。良いログラインを書くにはポイントを抑えましょう。ほんの少し書き方のコツを覚えるだけで、素晴らしいログラインを作成できます。
ログラインやプロット作りをさらに学べる本
ログラインからプロットを組み立てる考え方をより深く学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。
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