脚本を書こうと思ったとき、ストーリーよりも先にキャラクターが頭に浮かぶことがあります。あなたの頭には漠然としたイメージがあるかもしれませんが、それだけではまだ脚本が書き進められないでしょう。ですが大丈夫です。そんな時こそ、キャラクターに焦点を当てて質問してください。その答えが、ストーリー全体を構築するヒントになることがあるのです。
脚本家としてキャラクターからストーリーを組み立てるときは、共感できる部分、そのキャラクターだけの特徴、観客にも通じる普遍的な部分、そして変化のきっかけという4つの視点で質問を重ねることが有効です。この記事では、実例を交えながら、それぞれの質問にどう答えれば物語のヒントが見つかるのかを解説します。
※実例を参考に解説します。文末では例の登場人物の種明かしもします。ちょっとしたクイズのつもりで考えてみてください。
目次
脚本のキャラクターへの質問1_
そのキャラクターに共感できる部分がある?

まず、観客がそのキャラクターに共感する部分を見つけることが重要です。あなた自身はそのキャラクターのどの側面に引かれましたか?
具体的でシンプルな表現が大切です。あなたが共感する部分は、他の人も共感します。
NG例は、「主人公に共感できる」という曖昧な答えで終わってしまうことです。これでは脚本を書く手がかりになりません。良い例は、上記の例のように「正義感はあるが、予想外の行動で周囲を驚かす」のような具体的でシンプルな一文にまとめることです。具体性があるほど、その後のキャラクター造形やエピソード作りに直結します。
- 例1: 正義の味方に憧れる子供が大人になったような刑事。予想外の行動で周囲を驚かす。
- 例2: 好きなこと(ロック)だけに突き進む生活破綻者。一方で、年齢や性別を問わず他者を認める素直な性格も持つ。
- 例3: 周囲から見下されているが、大きな秘密を隠している。
- 例4: 自堕落な生活を送る女。そのダメ人間ぶりに共感する。
脚本のキャラクターへの質問2_
そのキャラクターだけの特徴は?

そのキャラクターには、普通の人と違う部分がありますか? 物語をキャラクター先行で書きたいなら、そのキャラクターだけの特徴を明確にしましょう。
- 例1: 難解な事件解決に風穴を開ける、固定観念に縛られない思考が得意
- 例2: 音楽の才能を見抜く力と指導者の資質を持つ。
- 例3: 格闘術と殺人術に秀でたエージェント。
- 例4: 負け続けの人生で努力をしたことがない。
脚本のキャラクターへの質問3_
そのキャラクターの普遍的な部分はどこ?

観客は、普遍的な部分に共感します。あなた自身は、そのキャラクターのどの側面に共感しましたか?
- 例1: サラリーマンのような言葉遣いや仕事内容に共感。上司や仕事に不満を感じる点も同じ。
- 例2: 夢を追い続ける中年の姿に共感。夢を諦めきれない気持ちは誰にでもある。
- 例3: 家庭で評価されず、くたびれてしまったお父さんの姿に同情のような感情を抱く。
- 例4: 自堕落な生活を送る姿に仲間意識を感じる。
脚本のキャラクターへの質問4_
そのキャラクターを変えるきっかけは?

脚本は、変革をもたらす出来事から始まります。そのきっかけが物語の展開を決定づけるのです。キャラクターを変えるきっかけのアイデアを、10以上あげてください。
- 例1: 脱サラして刑事になり、夢を追い求める過程で変化を遂げる。
- 例2: 嘘をついて教師になり、周囲を騙して賞金獲得を企む。
- 例3: 暴れる不良たちとの衝突が、元々いたバイオレンスな世界に引き戻す。
- 例4: 実家を追い出されて、行き着いた先での出会いが人生を変えるきっかけとなる。
キャラクター作りの質問に関するよくある質問
Q. 4つの質問に、すべて答えられないとダメですか?
いいえ、すべてに完璧な答えを用意する必要はありません。1つでも具体的なイメージが固まれば、そこから他の質問への答えも見えてくることがあります。まずは答えやすい質問から始めてみてください。
Q. キャラクターを変えるきっかけのアイデアを「10以上」あげる意味は何ですか?
最初に思いつくアイデアは、ありがちな展開であることが多いからです。数を多く出すことで、ありがちな案を超えた、そのキャラクターならではの意外な展開にたどり着きやすくなります。
Q. 既存の作品のキャラクターを参考にしてもいいのですか?
もちろんです。この記事の例も、実際の映画やドラマの主人公を参考にしています。好きな作品のキャラクターがなぜ魅力的なのかを、この4つの質問で分析してみると、自分のキャラクター作りにも応用できます。
まとめ
脚本家として、キャラクターの探求は脚本執筆の出発点になります。この4つの質問は、あなたの考えたキャラクターたちを深く理解する上で役立つでしょう。キャラクターにスポットを当てて物語を書く際には、ぜひこのアプローチを試してみてください。
ちなみに、上記で例として紹介したキャラクターたちは下記です。
- 例1『踊る大捜査線』の主人公:青島俊作
- 例2『スクール・オブ・ロック』の主人公:デューイ・フィン
- 例3『Mr.ノーバディ』の主人公:ハッチ・マンセル
- 例4『百円の恋』の主人公:斎藤一子
脚本の書き方をさらに学べる本
キャラクター作りについてさらに学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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