感動する脚本の作り方~感動の条件は2つ~

この記事は 2022年3月18日 に更新されました。

読者や視聴者を感動させる脚本を書くことは難しいです。そのため、自分にはセンスがないと諦めたり、そもそも偶然の産物だから狙えないと考えたりする人もいるでしょう。

しかし、実は、感動の作り方は存在します。

記事では、感動の作り方はもちろん、感動の条件となる要素についても解説します。

感動的な脚本を目指す方はぜひ参考としてください。

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感動の作り方step1_
身近な感動を分枌する

感動させる脚本を書くには、感動そのものについて深く知る必要があります。実際の感動体験を観察し、研究すると効果的です。

【感動体験の例】家族の帰還に感動

米国のハイスクールでバスケの試合が行なわれました。休憩中、ある選手の背後から一人の男性がそっと近づきます。

監督とのミーティングに集中していた選手ですが、呼び掛けに応えて振り向くと破顔一笑。男性に抱きついて喜びを露にしました。

実は、男性は戦場へ赴任していた家族だったのです。突然の帰還で選手を驚かせようとするサプライズイベントでした。

この映像は感動動画として200万回以上も再生されています。

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【感動体験の例】不意の優しさに感動

多くの会社員にとって上司は、緊張の対象です。特に厳しい上司の場合は、ミスをしないよう一層気を配るものですが、大きな失敗をすることもあります。

そんなときには、叱責を受けると思い身を固くしがちです。ところが、逆にねぎらいの言葉がかけられました。不意の優しさに胸を撫で下ろし、熱い気持ちが込み上げてきます。

この感情も、感動の一種といって差し支えないでしょう。

【感動体験の例】幼子の一挙一動に感動する

親になると幼い我が子の一挙一動に感動します。木登りに挑戦する子供を見守る親。それまでは登れていなかった子供が、ひょいひょい登っていきます。

急激な子供の成長の瞬間を目の当たりにした親は、爽やかな感動を感じたといいます。

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感動の作り方step2_
感動の条件を理解する

上記の例は、いずれも異なる人物が体験した感動体験です。一見、接点などないように思えますが、実はある共通点が隠れています。

それは「想定外の出来事であること」「ストレスが解消されること」の2つです。

この2つの要素こそ、必要不可欠な感動の条件なのです。

感動の条件1_
想定外の出来事を起こす

人が感動する時、その出来事を予想していません。不意に起こる出来事であるか、もしくは予想できたとしても想像を上回る出来事であるはずです。

もし、未来の出来事を完全に予測できたなら、感動できないでしょう。そのため、脚本の読者を感動させるには、想定外の出来事(サプライズ)が必要です。

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誰にとってのサプライズか

想定外の出来事(サプライズ)を起こす際、誰をターゲットにするべきかといえば、それは読者や視聴者です。脚本家は、彼らが驚くような仕掛けを用意しなければなりません。

最も単純で効果的な仕掛けは、主人公に対してサプライズを用意することです。これは、読者や視聴者が、作中で最も共感を寄せる対象が主人公だからです。

突然、帰還した家族に驚く選手。思いがけず優しくされたことで胸を無で下ろす会社員。我が子の成長に舌を巻く親。彼らは、それぞれのエピソードにおける主人公です。

彼らが驚く時、その様子を見聞きする私たちも驚きます。これが感情の追体験です。

そのため、読者や視聴者を驚かすのならば、主人公にとってのサプライズを用意するのが近道です。

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感動の条件2_
ストレスを解放する

ただ単に驚かすだけでは感動に繋がるとは限りません。逆に不快に感じる人もいるでしょう。テレビのドッキリ番組で驚かされた芸能人が怒り出す様子を見たことはありませんか。

感動を呼び起こすには、プラスアルファの要素を用意します。それはストレスの解放です。

ストレス解放のためには、まず、溜め込む必要があります。矢を飛ばすには弓をひくように、仕事終わりのビールを楽しむために汗水流して働くように。

一般的に、ストレスは日常生活から排除したい要素です。失敗ばかりの仕事、ギクシャクする友人関係、健康上の不安などは、できれば避けて通りたいです。しかし、脚本にはなくてはなりません。

少しずつストレスを蓄積させることが、脚本の使命と言っても良いでしょう。それは、風船が少しずつ膨らむようなイメージです。やがて臨界に達すると、パンと弾けます。脚本のクライマックスです。

その瞬間、全てのストレスから開放されます。それがカタルシスを生み、感動を生むのです。ただし、読者や観客が望む結末でなければいけません。それが感動の条件です。

読者や観客が望む結末とは

ストレスの解放は着地点を誤ると感動どころか不満が残ります。先述したドッキリ番組で怒り出す芸能人然り。

一方、戦地から帰還した家族が突如として目の前に現れるサプライズ動画では感動を呼びました。

これがもし、戦地へ赴任していた家族の訃報を聞かされたとしたらどうでしょう。

確かに、家族の無事を案じるという終わりなき心労に終止符は打たれます。しかし、これでは感動しません。誰も望んでいない結末では感動できないのです。

脚本家は、読者や観客が心から望む着地点に誘う必要があります。このピントがボケると感動は生まれません。

多くの場合、彼らが望む着地点はポジティブな状態です。ネガティブ、不幸、バッドエンディングでは感動は生まれにくいでしょう。

まとめ

脚本家は、読者や視聴者の満足を追求する仕事です。一方、彼らを感動させることはハードルが高い課題だと尻込みする人も少なくありません。

しかし、感動の作り方は、仕組みを理解することで身につけられます。

感動の条件は2つです。
読者や視聴者を驚かすこと。そして、彼らが望むストレスの開放へ誘うことです。

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