脚本セリフの役割と上手に書くコツ

良いセリフを書けるかどうかは、脚本家の腕の見せ所。しかしセリフが苦手だという人も少なからずいるでしょう。ではどうすればセリフを上手に書くことができるのでしょうか。センスが必要だという人もいますが、その影響は大きくありません。大切なことは、脚本におけるセリフの意味を理解して、正しく練習することです。記事では、脚本のセリフが持つ役割と、セリフが上達するコツ、またセリフを利用した作劇テクニックも紹介します。

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脚本におけるセリフの役割とは

脚本におけるセリフには、2つの役割があります。ひとつがキャラクターの性格を表すため、もうひとつがストーリーを進展させるためです。ちなみに、映画やドラマを見る時、どのような意味が込められたセリフか、注意して聞くと脚本のトレーニングとなるでしょう。

脚本セリフの役割001_キャラクターの性格を表す

登場人物のセリフは、キャラクターの性格をあらわすためにあります。直接的だったり、間接的だったり、あえて逆のセリフを口にしたりと、表現方法はさまざまです。例えば穏やかな朝食に集まる家族のシーン。にこやかな表情とは裏腹に、皮肉めいた言葉でお互いを罵りあえば、登場人物の性格が際立つでしょう。

脚本セリフの役割002_ストーリーを進展させる

セリフは、ストーリーの進展に欠かせません。映画やドラマでは、リアルタイムに起こっていることが見てわかります。しかしセリフで説明するケースもよくあるのです。しかし、詳細に説明しすぎると、観客は興ざめしてしまいます。そのため、セリフでの説明は控えめにして、映像やアクションで伝えるようにしてください。

脚本のセリフを上手に書く練習

セリフ上手な脚本を書くには、経験が必要です。筋トレと同じく、鍛えれば鍛えるほど上手くなります。初稿の段階では、ぎこちなく、下手に感じるかもしれません。しかし、それでいいのです。リライトを重ねるごとにセリフは輝きを増すものだからです。稀に生まれつきセリフがうまい脚本家がいますが、経験を積んだ脚本家にはかないません。

キャラクターを掴む

セリフは、作者がキャラクターを理解するほど、研ぎ澄まされます。そのため作者は、フィクション上の登場人物を、リアルに存在する人間のように、掴まなければなりません。登場人物をよく知り、慣れ親しめれば、自然とキャラクターの本質を捉えたセリフが書けます。そして、キャラクターの本質を捉えるには、その人物が抱える葛藤を理解することが有効です。葛藤によってストーリーは進み、キャラクターも明確になるでしょう。

完璧なセリフを追求しない

最初から完璧なセリフを書こうとしても筆は進みません。まずはキャラクターになりきって思いつくセリフで原稿用紙を埋めてください。その際、出来の良し悪しを自分で判断してはいけません。初稿の段階では、作者もキャラクターをつかめていないものです。脚本を最後まで書き通してやっと人物像の輪郭がつかめる程度でしょう。なんども書き直して徐々にキャラクターを掴むのです。

リアルなセリフを研究する

セリフ上達に欠かせないアイテムのひとつがボイスレコーダーです。友人や知人など、実際の人間同士の会話を録音することで、客観的に研究することが出来ます。音声データを聞くと、リアルな会話がいかに断片的な文章の寄せ集めであるかわかるはずです。天気の話をしていたと思ったら、急に仕事の話、恋愛、趣味の話と縦横無尽に話題が行き来します。リアルなセリフを肌で感じ取るには、脚本の形式に則って、書き起こすと良いでしょう。話すリズムやクセを客観的に分析すると、創作上のキャラクター設定に活かせるからです。

脚本のセリフを上手く書くテクニック

脚本のセリフを魅力的に見せるテクニックが存在します。ここぞというポイントでこれらテクニックを利用することで、作品自体が輝くこともあるでしょう。

間接照明理論によるセリフ

間接照明理論という作劇上のテクニックがあります。第三者のセリフによって、当事者のキャラクターを浮き彫りにする手法です。「Aさんは良い人だ」と周囲にセリフとして喋らせることで、Aさんが自画自賛するよりも、Aさんの性格付けに信憑性が生まれます。まさに他者のセリフが間接的に機能することで、回り回って自分自身が際立つのです。

サブテクストのセリフ

サブテクストとは「語られないこと」です。例えば、結婚秒読みの恋人同士がディナーデートをしているシーン。彼女は友達が結婚したことなどを羨ましそうに話すが、彼氏は何も言わない。このシーンにおけるサブテクストは、彼女がプロポーズを待っているということです。セリフとして口に出さなくても、観客には彼女の気持ちが伝わるでしょう。

シーンを繋げるセリフ

シーンとシーンをつなげるのも、セリフの使い方のひとつです。例えば、あるシーンの終わりに登場人物が喋ったセリフに続くように、次のシーンで別の人物が続けて話すという手法です。この手法を使うと、場面は変わっているけれどセリフがつながっているので、ひとつの文脈として成立します。無駄を省きエピソードを圧縮するセリフのテクニックです。

まとめ

セリフの上手い下手はセンスによると考える人も多いですが、経験でカバーできます。経験とはリライトのこと。その人物がどのような口調で話すのか、話す際の癖はあるか、リズムはどうかなどを考えながら何度も書き直すことで、セリフは磨かれるのです。完璧なセリフを目指して考え込むより、何度も書き直す気持ちでセリフに取り組んで下さい。また、その際には、セリフが持つ意味にも注目しましょう。キャラクターを表すためのセリフか、ストーリーを進めるためのセリフか、意識するだけでもセリフは輝きます。