コメディ脚本は人気のある映画ジャンルです。笑いは人々の興味を引き寄せ、ストレスを解消する力があります。
一口にコメディといってもジャンルは多岐にわたります。脚本を書く場合、自分が取り掛かるコメディジャンルを明確にした方が良いでしょう。
以下では代表的なコメディ映画ジャンルを9つ紹介します。脚本を執筆する前の参考としてください。
脚本家として企画を考える際、「コメディを書きたい」というだけでは方向性が定まりません。この記事では、ロマンティックコメディからシュールコメディまで、代表的なコメディ映画ジャンルを9つ紹介します。それぞれの特徴と代表作を知ることで、自分が書きたい笑いのタイプが見えてくるはずです。
目次
コメディ脚本の例1_
ロマンティックコメディ

ロマンティックコメディは、恋愛とユーモアという要素がミックスされた映画ジャンルです。主要なプロットとして、主要な登場人物が愛を見つけたり、恋愛の障害を乗り越えたりしながら、笑いと感動を生み出します。多くの場合ハッピーエンドで結ばれます。
『プリティー・ウーマン』『ノッティングヒルの恋人』などハリウッドの一時代を築いたジャンルでもあります。
コメディ脚本の例2_
スラップスティックコメディ

いわゆるドタバタ喜劇のこと。チャップリンやキートンなど無声映画時代に発展したコメディです。日本ではドリフターズのコントが該当します。
このジャンルのコメディは、体を張った視覚的であることが特徴です。言葉に頼らないため国際的に受け入れられます。
『ハングオーバー』や『ホーム・アローン』もこのコメディジャンルに含まれます。
コメディ脚本の例3_
ブラックコメディ

ブラックコメディは、戦争、死、犯罪などのタブーとされるテーマをコミカルにあつかいます。観客は不快感を感じつつも、笑いが入り混じった独特の感覚を体験できます。
社会的な問題や風刺を題材にすることも多く、見る人々に考えさせることになるでしょう。
スタンリー・キューブリック監督『博士の異常な愛情』、 ジェシカ・ローテ主演『ハッピー・デス・デイ』などが該当します。
コメディ脚本の例4_
ハイコメディ

ハイコメディは、知的で精密に計算されたコメディのジャンルです。高度な言葉遊び、知識に基づくユーモア、社会的な風刺などが含まれます。
低俗なギャグや身体的な苦痛ではなく、知的な刺激を求める観客に喜ばれるコメディのジャンルです。
古くはウィリアム・シェイクスピアの喜劇が該当するでしょう。ウディ・アレンの映画などもこのジャンルです。
コメディ脚本の例5_
シチュエーションコメディー(シットコム)

シチュエーションコメディーは、特定の場所(例: 家庭、オフィス、学校、バーなど)や一定の状況(例: 家族の生活、仕事場の出来事、友情や恋愛のドラマ)のなかで、キャラクターたちがコミカルに立ち振る舞います。
リアルな日常生活の中で発生する小さなトラブルやコミュニケーションのズレ、キャラクター間の衝突などを描くことが多いです。
アメリカドラマにも多く『フレンズ』や『ザ・オフィス』などが有名です。日本の有名な喜劇脚本家である三谷幸喜が得意とするジャンルでもあります。
コメディ脚本の例6_
悲喜劇

悲喜劇は、その名の通り悲劇と喜劇の要素が組み合わさった映画のジャンルです。このジャンルのコメディでは、人間の複雑な感情に焦点を当てます。
挫折や苦悩などの困難に直面した主人公が、滑稽ながらも力強く立ち向かう姿を描きます。そのなかで生きる喜びと悲しみをユーモラスに表現するのです。
悲喜劇の映画としては『ライフ・イズ・ビューティフル』、アカデミー賞にも輝いた『パラサイト 半地下の家族』などが該当します。
コメディ脚本の例7_
パロディ

パロディ脚本は、他の映画やテレビ番組などを模倣したり、面白おかしく揶揄したりするコメディのジャンルです。対象となる作品を愛情を込めてからかうことで笑いを生みます。
パロディ脚本は、対象となる作品の引用やオマージュを多く登場させる点が特徴です。登場人物やエピソード、決め台詞などを誇張し、滑稽に演出します。
例えば『日本沈没』のパロディ『日本以外全部沈没』は、原作者である小松左京も公認のパロディ作品です。
コメディ脚本の例8_
シュールコメディ(ナンセンスコメディ)

シュールとは非日常的や超現実という意味です。シュールコメディは、現実にはありえない奇想天外な現象やエピソードをユーモラスに表現します。
予想不可能でありながら滑稽な出来事が笑いを誘うコメディジャンルです。
デヴィッド・リンチ監督の映画『マルホランド・ドライブ』やスパイク・ジョーンズ監督の映画『マルコヴィッチの穴』がこのコメディジャンルに該当します。
コメディ脚本の例9_
自虐的なコメディ

自虐的なコメディ脚本は、しばしば登場人物(主に主人公)を批判的に扱って笑いを誘います。自己評価を下げ、対象となるキャラクターをからかうようなスタイルです。
例えば自分の失敗談を面白おかしく話すには、自虐的に話す方が効果的です。このコメディ脚本でも同じことが言えます。
映画『翔んで埼玉』は埼玉という地域を自虐的に捉えたコメディ映画です。
NG例は、ここまで紹介した9つのジャンルの要素をあれもこれもと詰め込んでしまうことです。場面ごとに笑いのトーンが変わり、観客は何を楽しめばいいのか分からなくなります。良い例は、軸となるジャンルを1つ決め、そこに別ジャンルの要素を少量だけ加えることです。例えばロマンティックコメディを軸にしつつ、脇役のキャラクターにスラップスティック的な動きを持たせるなど、主従関係を明確にするとトーンがぶれません。
コメディ脚本のジャンルに関するよくある質問
Q. 複数のコメディジャンルを組み合わせてもいいですか?
問題ありません。多くのコメディ映画は、メインとなるジャンルに別のジャンルの要素を組み合わせています。例えばロマンティックコメディにシットコム的な要素を加えるといった形です。ただし、軸となるジャンルを1つ決めておくと、作品全体のトーンがぶれにくくなります。
Q. シリアスな脚本にコメディ要素を入れても大丈夫ですか?
「悲喜劇」のように、シリアスなテーマとコメディは十分に共存できます。むしろ深刻な状況にこそユーモアが効果的に働く場合もあります。ただし笑いの置き方を誤ると、テーマの重さが薄れてしまうため、笑いを入れる場面とシリアスに描く場面のバランスを意識しましょう。
Q. コメディ脚本を書くときに参考作品はどう見ればいいですか?
同じジャンルの作品を見るときは、「どの場面で笑いが起きるか」「その笑いはセリフによるものか、状況によるものか」を意識して観察してみてください。笑いの仕掛け方を分析する習慣をつけると、自分の脚本に落とし込みやすくなります。
まとめ
コメディ映画のジャンルにはさまざまな特徴があり、自分が書きたいコメディ脚本を研究することが重要です。記事では、主なコメディのジャンルをまとめましたが、これに限らずさらに多く存在します。脚本家は、目的に合わせて適切なジャンルを選択してください。
脚本家として、コメディは「笑いのジャンルを正しく選ぶこと」がスタートラインだと感じます。今回紹介した9つのジャンルの中から、自分が書きたい作品のテーマやトーンに合うものを選び、その特徴を意識しながらプロットを組み立ててみてください。
脚本の書き方をさらに学べる本
コメディ脚本のセリフ作りや構成についてさらに学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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