シナリオS1グランプリとは? その傾向と対策
この記事は 2023年10月24日 に更新されました。
シナリオS1グランプリは、シナリオ・センターが主催する脚本コンクールです。
グランプリ賞金は30万円。プロ脚本家への道もひらけます。
記事ではシナリオS1グランプリとは何か、また受賞へ向けた傾向と対策も解説します。
また、最新の応募状況は下記をご確認ください。
目次
シナリオS1グランプリとは
シナリオS1グランプリは、シナリオ・センター主催するコンクールです。シナリオS1グランプリは、受講生はもちろん、非会員でも応募できます。
シナリオ・センター
シナリオ・センターとは、脚本を勉強するためのスクールであり、東京本校、大阪校、横浜教室(月水金土のみ)が存在します。昭和47年設立の非常に歴史深いスクールです。これまで多くのプロ脚本家を排出してきました。
シナリオ・センターでは、脚本執筆のための基礎知識や、スキルアップのためテクニックを学べます。趣味で学ぶ人から、プロを目指す人まで様々な人が会員です。
シナリオS1グランプリの特徴
シナリオS1グランプリは、シナリオ・センターが主催する脚本コンクールです。
テレビ局主催の脚本コンクールと違い、シナリオS1グランプリの受賞作品が映像化されることはほとんどありません。また賞金も30万円であり、テレビ局主催のコンクールと比べると見劣りします。
しかし応募作品は丁寧に読み込まれて審査されます。つまり精度の高い審査が期待できるのです。
また、受賞作品はシナリオ・センターが発行する月刊誌「月刊シナリオ教室」に掲載されます。業界人が目を通す雑誌でありプロデビューへの足がかりとなるでしょう。
応募テーマは自由
シナリオS1グランプリでは、テーマを自由に設定できます。一方、脚色は認められていません。また、映像化が前提条件なので、ラジオドラマや漫画を想定したシナリオは不可です。
規定枚数は二通り
シナリオS1グランプリの募集脚本は、2パターンあります。「1時間ドラマ(200字×100枚~120枚)」もしくは「2時間ドラマor映画(200字×200枚~230枚)」のどちらかです。
シナリオS1グランプリに限らず、脚本コンクールにはそれぞれ応募規定が設けられています。少しでもルールから逸脱していると、その段階で落選です。応募の際には遵守しましょう。
インターネット入稿は不可
シナリオS1グランプリでは、インターネットによるデータ入稿が出来ません。郵送もしくは東京事務所まで持参する必要があります。
ただし、新型コロナウイルス感染予防の観点から郵送を推奨しているようです。締め切りは、日付はもちろん時間まで指定されています。
審査方法
テレビ局主催の大規模なシナリオコンクールの場合、効率化が優先され、あらすじだけで合否が判断されるケースがあると言います。一方、シナリオS1グランプリの審査員は、応募作品の最初から最後まで読んだ上で判定を下します。
つまり、じっくりと審査が行われるのです。これは「応募総数が少ないから有利」ではなく、「脚本の細かいところまで読み込まれるので審査が厳しい」ことを意味します。
応募総数
ある時期のシナリオS1グランプリの応募総数は323件でした。最終選考に残ったのは11件。さらに入選したのは6件だけです。つまり 入選の確率は1%程度しかありません。
しかし脚本コンクールは運よりも実力が物を言う世界です。きちんと面白い作品、魅力的な脚本を書くことができれば、グランプリも獲得できます。
過去の受賞者
過去にシナリオS1グランプリを受賞した人にはどのような人がいるのでしょうか。またプロとして活躍している人はいるのでしょうか。
映画「超高速!参勤交代」の脚本を執筆した土橋章宏さんは、2009年に行われた第18回シナリオS1グランプリで入賞しています。
林さとみさんは、第13回シナリオS1グランプリで奨励賞授賞を受賞しています。2012年に放送された「ドラマW 向田邦子 イノセント」の中で脚本を担当した実績もある脚本家です。
他にもシナリオS1グランプリで受賞した人の中には、20回以上応募をしてやっと受賞にたどり着いたという努力の人も存在します。「継続は力なり」を体現していると言えるでしょう。
シナリオS1グランプリの傾向と対策
過去のシナリオS1グランプリの寸評や受賞作品を分析し、受賞へ向けた傾向と対策を練りました。
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キャラクターが命
脚本の魅力は登場人物です。特に主人公が魅力的だと作品が輝きます。突飛な設定や奇抜なアイデアに思考をめぐらしがちですが、本当に大切なことは登場人物の人格形成です。
一貫性を貫く
魅力的な登場人物は一貫性を備えています。主人公が、ストーリーが進展するごとに性格がブレてしまうのはよくありません。(ブレは、成長による変化とは異なります)
特に作者都合の行動をさせないよう意識しましょう。終盤、広げた風呂敷を閉じるために「らしくない」行動をさせてしまいがちです。このように、キャラクターがブレる原因は、作者のご都合主義にあります。
悪人を出す
過去のシナリオS1グランプリの寸評に「登場人物が良い人ばかりで退屈」という批評がありました。指摘の通り、脚本の登場人物が良い人ばかりだとストーリーが展開しません。
例えば『アンパンマン』にバイキンマンが登場しなければ話にならないでしょう。このことから、悪人を登場させてバランスを図ることは重要です。
主人公に困難を与える
脚本家は、ストーリーをスムーズに進めたいと思うもの。そのため、主人公に困難を与えない、もしくは安易な困難を与えがちです。
しかし面白い脚本とは、主人公が困って葛藤する姿が描けている作品ではないでしょうか。
実際、シナリオS1グランプリの過去受賞作を見ると、主人公により大きな困難が降りかかる作品が受賞している傾向があります。
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リライトを欠かさない
初稿が完成すると何度も読み返してリライトとします。その際、音読することをおすすめします。さらに、第三者に読んでもらうことも重要です。
客観的な意見を取り入れることで、万人に受け入れられる作品に成長します。主張やテーマを曲げるという意味ではありません。
よりわかりやすく、正確に伝えるにはどうするべきかを模索することは、脚本スキルを伸ばす上で重要です。
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受賞作品からヒントを見出す
過去のシナリオS1グランプリの受賞作品は冊子「月刊シナリオ教室」にまとめられて販売されています。過去の受賞作を分析することは傾向と対策を練る上で重要です。
漠然と読むだけではあまり効果は期待できません。なぜその作品が受賞したか、評価されたポイントはどこかなどを意識して読みます。
自分ならどうするかを常に考えることで、自身の作品にフィードバックできるのです。
ちなみに「月刊シナリオ教室」は、シナリオ・センター事務局で直接購入できます。Amazonなどでは購入できません。ただし、メルカリやヤフオクなどのフリマアプリでは出品されることがあるようです。
まとめ
シナリオS1グランプリは、脚本の初心者に適したコンクールです。規模は小さいけれど、丁寧に審査をしてもらえます。
記事で紹介した傾向と対策を参考にして受賞を目指してください。
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