サスペンスとは?脚本に緊張感を与えるコツ8項目
この記事は 2023年10月24日 に更新されました。
サスペンスがある映画は読者や観客をひきつけます。爆弾のタイムリミット、忍び寄る追跡者、ベッドの下で息を潜める殺人犯などなど。ストーリーの緊張感を高めるためにサスペンスは不可欠な要素です。記事では、脚本にサスペンスを取り入れる際のコツを8項目紹介します。
目次
サスペンスとは?
サスペンスとはsuspenseと書き、「不安な気持ち」という意味があります。映画や脚本におけるサスペンスの場合は、「次に何が起こるかわからない不安な気持ち」と言い換えても良いでしょう。
脚本家は、ストーリーの情報を操作して、読者や観客にサスペンスを与えます。例えば「主人公は死んでいるのか? それとも生きているのか?」という大きな問いを投げて、読者のサスペンスを刺激するのです。
脚本のなかでサスペンスを活用するにはいくつかのコツがあります。以下では具体的に解説するので参考としてください。
脚本に活かせるサスペンスとは1_
タイムリミット
サスペンス映画で昔から使われる手法の一つがタイムリミットです。秒針を刻む時計の映像を映すだけで、観客の心にサスペンスが生じます。主人公は時間内にミッションをクリアできるのか、とハラハラするのです。
タイムリミットのサスペンスを序盤から終盤までといった長時間設定すると緊張感は高くありません。期限が短くなるほど緊張感が高まります。
多くの場合時間内にミッション・コンプリートしますが、失敗することもあるでしょう。失敗した場合は、主人公に厄災が降り注ぎます。
脚本に活かせるサスペンスとは2_
結末を見せない
良質なサスペンスは、読者や観客の好奇心を刺激し続けます。一方、結末がわかってしまうとその瞬間に好奇心の火は消えてしまうでしょう。そのため、主人公がピンチにおちいるシーンや新たな展開に移行する場面では、その結末を見せないようにします。
逃げ場がひとつもない状態に追い詰められた主人公。絶体絶命の大ピンチをどうやって切り抜けるか? その結末は見せずにシーンを終えるのです。観客は結末を知りたい欲求にかられて、ストーリーを見続けます。
脚本に活かせるサスペンスとは3_
キャラクターを充実させる
脚本のサスペンスを効果的に描くには、キャラクターを充実させなければなりません。観客は、キャラクターの個性や境遇、考え方に共感して初めてストーリーに興味をいだきます。そんなキャラクターに厄災が降りかかりピンチを迎えた時、「この後どうなってしまうの?!」とサスペンスを感じるのです。
キャラクターを充実させるには、属性や弱点、長所や短所などを緻密に作り込む必要があります。キャラクター作成に関しては以下の記事を参考としてください。
また、キャラクターは主人公だけを差すのではありません。敵対するライバルも重要です。主人公と同じくらい頭がよく覚悟を抱いたキャラクターにする必要があります。両者による対等な戦いであるほど、読者や観客は次に何が起こるのか? と興味を惹かれるのです。
脚本に活かせるサスペンスとは4_
伏線
脚本では、これから起こる出来事の前触れを伏線と言います。伏線を察知した観客は「この後どうなるのか」とサスペンスを感じるでしょう。
パズルのピースの一部を事前に提示することで、観客はパズルの完成図に期待を寄せるのです。例えストーリーが別のベクトルを向いたとしても、伏線は覚えています。そのため脚本家は、伏線回収を忘れてはいけません。
脚本に活かせるサスペンスとは5_
ミステリアスな主人公
主人公は脚本の中心です。そんな主人公が謎に包まれたミステリアスな人物だったら、観客はその正体を知りたいと望むはずです。それこそがサスペンスの種になります。
ミステリアスな主人公を作るには、複数のレイヤーを重ねてください。リアルな人間は多面性を持っています。フィクションのキャラクターもそれに近づけるのです。
その際、性格を印象づける裏エピソードの構築が効果を発揮します。たとえメインストーリーに絡まなくても、キャラクターの人物像に厚みが生まれるはずです。
脚本に活かせるサスペンスとは6_
ぬか喜びさせる
脚本家は、登場人物や観客にぬか喜びをさせることでサスペンスを高められます。目の前にゴールテープを用意して後少しでミッション・コンプリートできると期待する瞬間、突如落とし穴に突き落とす。急展開に遭遇したキャラクターはもちろん、読者や観客もこの先の展開が読めずにハラハラするはずです。
ぬか喜びのコツは予測させないこと。もしくは予測を裏切ります。相手が思いも寄らない出来事でちゃぶ台をひっくり返すことが求められますが、観客が納得できるかどうかは、脚本家の腕の見せ所です。いわゆるどんでん返しがサスペンスを生み出します。
◆大どんでん返し映画の書き方_たった一つのコツと4つのパターン例
脚本に活かせるサスペンスとは7_
障害物を用意する
映画のストーリーは、綱渡りに例えることができます。不安定な足場を主人公がゴールめがけて進むのです。一歩踏み外せば奈落に落ちてしまいます。
この時、主人公めがけて障害物が現れたらどうでしょう。銃撃されたり、縄が切られそうになったりして主人公をロープから突き落とそうと画策します。主人公の目標到達を阻害する障害物は、ストーリーに緊張感をもたらすはずです。緊張感はサスペンスを生みます。
脚本家は、物語の冒頭で主人公に大きな目標を抱かせます。そこに至るまでの道筋が険しいほど、主人公が成功できるかどうかハラハラすることになるでしょう。
脚本に活かせるサスペンスとは8_
責任の上乗せ
転職を考えるサラリーマンがいるとして、独身か、家族持ちかで覚悟のレベルが変わります。独身であれば身軽に行動できたとしても、家族を養う一家の大黒柱であれば躊躇するかもしれません。
脚本の主人公も同じです。成功しても失敗してもどちらでも構わない、という主人公が過酷なチャレンジをしようとも、読者や観客はサスペンスを感じません。もし失敗したら再起不能になるというほどの崖っぷちに追い詰められた主人公だからこそ、ハラハラドキドキできるのです。
ストーリーの序盤から多くの責任を抱える主人公を用意してもいいでしょう。一方、ストーリーが展開するたびに少しずつ責任を上乗せすることも可能です。
掛け金が高いギャンブルほど手に汗を握ります。また、責任が重いほど、ラストに生じる満足感やカタルシスも充実するはずです。
まとめ
サスペンスは脚本を書く上で不可欠な要素です。サスペンスがあるストーリーは、読者や観客の心を掴んで離しません。そんなサスペンスを取り入れるにはいくつかのコツが必要です。記事で紹介したコツを参考にして、脚本執筆に役立ててください。
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