心情から決める!魅力的なキャラクターの作り方

優れた脚本には魅力的なキャラクターが描かれています。架空の人物であるにも関わらず彼らには、実在する人物さながらの存在感が備わっているものです。存在感は、キャラクターの心情に由来します。つまり、まず心情を決めることが、キャラクターの作り方として正しいのです。

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キャラクターの作り方1_
まず心情を決める理由

脚本に登場するキャラクターは、読者から愛されるに越したことはありません。読者が気に入るポイントは、セリフや見せ場の演技です。しかしそれらは末端の表現に過ぎません。魅力的なキャラクターの作り方は、その心情から決めます。心情が決まればセリフや演技は自然と生まれるからです。

心情とは思考回路であり、同じものは2つとありません。例えば、銀行強盗に出くわした時、慎重派のAさんは物陰に隠れ、正義感の強いBさんは立ち向かい、冷静沈着なCさんは防犯ブザーを押すというように、三者三様の思考回路によって行動を決めます。

もし思考回路を定める前に、ストーリーありきでキャラクターの行動やセリフを決めると矛盾が生じやすくなるでしょう。ご都合主義のステレオタイプになったり、単なる作者の主張を代弁するキャラクターになったりすると、本来備わっているはずの魅力が損なわれてしまうのです。

  1. 思考回路がアクションを生む

キャラクターの作り方2_
心情の決め方

主人公はもちろん脇役に至るまで、脚本に登場する全てのキャラクターは心情を持つべきです。しかし何十人も登場人物がいるストーリーの場合、脚本家が尻込みする気持ちもわかります。そんなときは、すでに決まっている設定から連想するとスムーズに考えられるでしょう。

職業や社会的立場が決まっていれば考えやすいです。例えば役所勤めの人は真面目、暴走族メンバーなら気性が荒いという風につながります。スマホでSNSに熱中する人は承認欲求が強く、自己抑制が苦手な人である可能性も高いです。またキャラクターごとに座右の銘(モットー)を持たせても良いでしょう。「失敗は成功のもと」と考える人はチャレンジ精神が旺盛でアグレッシブ、「人生万事塞翁が馬」と考える人なら包容力があり懐が深い性格だといわれても説得力があります。

キャラクターの心情を理解するきっかけを掴んだら、人生経験、生活環境、人間関係などを掘り下げるのです。映画『レオン』の主人公は、殺し屋という職業から「寡黙」や「慎重深い」というキーワードにたどりつきます。さらに深堀りすると、過去の恋愛の失敗によって人付き合いが苦手になったというバックボーンまで明らかにできるでしょう。このように登場人物の心情に肉付けをするほどキャラクターが魅力的になるのです。

ちなみに人物のバックボーンは脚本として描くこともありますが、裏に隠すパターンもあります。作者が理解していればキャラクター造形に反映されるので、あえて出さないという考え方です。例に出した『レオン』でも、殺し屋の過去の恋愛については、完全版でのみ描かれ、通常版ではカットされています。

  1. 職業や立場、座右の銘などから心情を描く

キャラクターの作り方3_
動き出したら成り行き任せ

心情を持ったキャラクターは自ら動き出します。脚本家は、そんな彼らをストーリーラインに乗せて結末まで導かなければなりません。人物の自己主張が強すぎてまとめるのが難しく感じたときは、成り行きに任せるのも一つの手です。

現実では、他人を思い通りに操作することはできません。前を歩く人をどかしたり、会社の部下の仕事スピードを急に上げたりすることは、超能力者でもない限り難しいでしょう。

これは創作上のキャラクターにも共通します。なかでも、心情が備わり人物像が確立したキャラクターは、作者の思い通りに動かないことがあるのです。しかしこれは良い傾向だと言えます。いわゆる「登場人物が独り歩きする」状況であり、生き生きと行動する様は読者を魅了するからです。

キャラクターが思い通りにならないからと言って無理やり動かすと、読者は不自然に感じます。ご都合主義だと見抜いて作品に低評価を下すでしょう。脚本家は、キャラクターに逆らわず流れに身を任せるだけでいいのです。できることと言えば周囲の環境や設定を変えたり、構成を組み替えたりすることくらいです。せっかく心情を持ったキャラクターを、元の心無い作り物に戻してしまわないように注意しましょう。

  1. キャラクターの声に耳を傾ける

キャラクターの作り方4_
心情の強弱で操る

意見の違うキャラクター同士が衝突すると、葛藤が生まれるものです。葛藤はドラマに必要な要素であり、歓迎すべきことなのですが、ストーリーが意図した方向にすすまないという弊害が出ることもあります。そのような場合、キャラクターの心情の強弱を調整すると改善することがあります。

例えば『桃太郎』において、桃太郎が犬猿雉を仲間に加える場面。桃太郎は「仲間になってほしい」と望むけれど、猿は「乱暴な鬼とは戦いたくない。きびだんごだけでは割に合わない」と考えてもおかしくありません。両者の主張、すなわち心情の強さが同等だと議論は平行線をたどってしまいストーリーは滞ります。

話の展開が思い通りにならないからといって作者が都合よく人物を動かすことは控えるべきです。ではどうするべきか。この場合、優先させたい側の欲求(心情)を、相対する登場人物より強くすればストーリーが進展します。具体的には桃太郎の鬼討伐にかける決意の強さを犬猿雉に見せつけるのです。すると彼らは「そこまでの決意があるなら仕方がない。付き合ってやる」と心変わりをして桃太郎に従います。きびだんごひとつで命をかけるより、読者も納得するでしょう。

願いは強く想うほど叶いやすいと言われますが、こと作劇において言い得て妙です。脚本では主人公の欲求を最も優先します。それはストーリーのテーマやコンセプトと重なるからです。つまり主人公が能動的に欲求を求めて突き進めば、ストーリー展開で滞る心配はしないで済みます。

  1. 主人公の欲求(心情)を一番強くする

まとめ

魅力的なキャラクターを作るには、その人物が持つ主義や主張、考え方などの心情から決めます。キャラクターの心情は職業や立場から連想できるでしょう。心情の備わったキャラクターは、自分の意志を持つように動き出します。それを作者が押さえつけてはいけません。せいぜい環境や設定、構成を組み替える程度に留めておきます。どうしても思い通りにならない時は主人公の心情を見直します。主人公の心情は物語が進む原動力であり、脇役より強くすることでストーリは進展するでしょう。