起承転結とは?脚本を書く時の使い方をわかりやすく解説【例文あり】

起承転結は、脚本や小説の書き方フォーマットとして利用されます。しかし、本当の意味や使い方などを正しく理解している人は多くありません。記事では起承転結とはなにか、その使い方や例文を紹介します。創作活動に役立ててください。

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起承転結とは

起承転結とは、文章の構成パターンのひとつ。中国に古くから伝わる漢詩の「絶句(ぜっく)」が由来です。日本では、小学校や中学校において文章の基本的な構成として教えています。

起承転結の役割は、作者が文章(文章)の全体像を把握できるようにすることです。また起承転結を使うことで、文章が整理され、その意図が読者に伝わりやすくなります。

起承転結をわかりやすく解説

起承転結は、小学生でも理解できる文章の構成パターンです。できるだけわかりやすくするために、起承転結をそれぞれ「はじまり」「つづき」「へんか」「おわり」という風に言い換えて教えることもあります。

さらにわかりやすくするために「はじまりまじまり」「それからどうなった?」「ところが!」「最後にひとこと」と物語風に解説しても良いでしょう。

起承転結の本当の意味

前述の通り、起承転結は中国の漢詩である「絶句」が起源です。絶句は、「起句」「承句」「転句」「結句」の四句(四行)で構成されます。「起句」で詞を歌い出し、「承句」で話題を広げ、「転句」で場面転換を図り、「結句」で締めくくるというのがそれぞれの意味です。

起承転結という四句に分ける理由は、詞を簡潔に表現するためです。言葉を厳選して豊かな表現を試みる手法は、日本の俳句に通じるところがあるでしょう。

『春暁』孟浩然

有名な絶句として、孟浩然(もう・こうねん)の『春暁(しゅんぎょう)』を紹介します。『春暁』は「五言絶句」という形式で書かれています。「五言絶句」とは、起承転結の四句(四行)で表し、さらにその一句(一行)を五文字におさめるというルールにのっとって書く詩です。

春眠不覚暁
処処啼鳥聞
夜来風雨声
花落知多少

春眠不覚暁が「起句」、処処啼鳥聞が「承句」、夜来風雨声が「転句」、花落知多少が「結句」です。
下記のように読みます。

春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚(おぼ)えず
処処(しょしょ)啼鳥(ていちょう)を聞く
夜来(やらい)風雨(ふうう)の声
花落つること知る多少(たしょう)

意味は下記です。

春はよく眠れるので夜明けも気づかない
さえずる鳥の声が所々から聞こえてくる
昨夜は風や雨の音が聞こえていた
花はどれくらい落ちてしまっただろうか

『絶句』杜甫

さらに五言絶句の詩をもうひとつ紹介します。唐の時代の中国に実在した杜甫(とほ)の『絶句』です。

江碧鳥逾白
山青花欲燃
今春看又過
何日是帰年

江碧鳥逾白が「起句」、山青花欲燃が「承句」、今春看又過が「転句」、何日是帰年が「結句」です。
下記のように読みます。

江(こう)碧(みどり)にして鳥(とり)逾(いよいよ)白く
山青くして花燃えんと欲す
今春(こんしゅん)看(みすみす)又た過ぐ
何れの日か是れ帰年(きねん)ならん

意味は下記です。

江(=錦江という中国の河川)は美しい緑に澄み、水面の鳥はひときわ白い。
山の新緑で、花は燃えるように赤い。
今年の春もあっという間に過ぎようとしている。
いつになれば故郷に帰れるのだろうか。

起承転結の使い方

起承転結は文章構成の一つです。使い方を覚えると、いざ文章を書くときに悩まずに済みます。起承転結の使い方は、シーンによって異なるでしょう。以下では、それぞれに適した起承転結の使い方を解説します。

脚本や小説における起承転結の使い方

実は、起承転結は海外ではほとんど知られていません。脚本や小説に用いる作劇法は、三幕構成や序破急など、全体を3つに分ける方法が一般的です。日本でのみ、物語を4つに分ける起承転結が浸透しています。

起承転結の各パートの役割は、漢詩の絶句における起承転結とおおむね同じです。「起」で物語をスタートさせ、「承」で展開を広げて、「転」で一番の見所を作り、「結」のエピローグで締めくくります。

各パートをそれぞれ同じ分量に分ける必要はありません。それぞれの意味や使い方を理解した上で、効果的な配分を考慮してください。

また、物語全体の起承転結を考えた後は、各パートに小さな起承転結サイクルを入れ子式に形成することがあります。つまり「起」を構成するための「起承転結」を考えるのです。これも起承転結の書き方のひとつだといえるでしょう。

ビジネスやレポートにおける起承転結の使い方

ビジネスや大学レポートなどの文章を書く時、起承転結はあまり用いられません。なぜなら、このようなシーンでは率直で合理的な文章が望まれており、結論が終盤にくる起承転結スタイルは適さないからです。

まず主張で読者をひきつけ、立証のための理由を複数展開して納得を促し、結論で後押しするスタイルが良く使われます。

ただし、ビジネス文章のなかでも起承転結が役に立つケースがあります。それは物語性を必要とするときです。

例えば企画書やレポートに、商品やサービスを体験した感想を書き加えるときがあります。そのような場合、起承転結で文章をまとめると読み手の想像力を掻き立てることになり効果的です。

作文における起承転結の使い方

日本では昔から学校での国語教育の一環として起承転結を教えてきました。事実、小学生や中学生が国語の授業で作文や感想文を書く際には、起承転結を元にすることが一般的です。

一方で、起承転結は論理的な文章を書く上で適さないという指摘も存在します。主な原因は「転」です。「転」には、「起」と「承」で積み上げた理屈をひっくり返すような、ちゃぶ台返し的な場面転換が求められています。

物語の創作においては「転」が急展開であるほどドラマチックになり有効です。しかし、学校教育における作文では論理的思考を育む目的があるため、起承転結は不適切だと一部で考えられているのです。

そんな中、上手な作文を書くには起承転結の使い方を工夫しなければなりません。コツは「転」を最初に決めることです。まず、一番に主張したいことを「転」に据え置きます。

【転の例文】
学校生活で一番楽しかったことは文化祭です。

その上で、文章の書き出しである「起」には、「転」の正反対のことを書くのです。

【起の例文】
新しいクラスになった時は文化祭が憂鬱でした。

「承」では、どのように主張が変化するか、その理由を書きます。

【承の例文】
新学期のはじめ、私には友達がいませんでした。でもいろいろあって友達ができました。

「結」は総括です。

【結の例文】
友情はかけがえのない財産だと思います。

起承転結の順番通りに思考し「転」をあとに残すと、無理やり主張を捻じ曲げようとして非論理的な方向へ逸脱しがちです。最初に決めてしまえばぶれません。起承転結だからといって「起」から書き出す必要はないのです。

【起承転結の順序にミックスした例文】
新しいクラスになった時は文化祭が憂鬱でした。新学期のはじめ、私には友達がいなかったからです。しかし、いろいろあって友達ができました。そんな友達と過ごした文化祭は、学校生活で一番楽しかった行事だといえます。私にとって学校生活で得たかけがえのない財産は友情です。

起承転結の例文

最後に起承転結の例文を紹介します。さまざまなバリエーションの例文を用意するので参考としてください。

「桃太郎」の起承転結の例文

言わずとしれた桃太郎。おとぎ話や昔話は、ストーリー構成が単純であるため、物語全体を起承転結で区切りやすいです。

起:桃太郎が鬼退治に旅立つ
承:犬、猿、キジを仲間に加える
転:鬼との対決
結:村へ凱旋する

「江戸時代に流行した俗謡」の起承転結の例文

日本の江戸時代には下記のような俗謡が流行しました。これは、絶句を庶民に解説するために作られたと言われています。

起:大阪本町糸屋の娘
承:姉は十六妹が十四
転:諸国大名は弓矢で殺す
結:糸屋の娘は目で殺す

まず糸屋に看板娘がいる設定を述べ、それぞれの詳細(年齢)を明らかにして起パートを発展させる。転で視点をパッと変化させた上で、「殺す」という韻を踏んで結ぶ。「目で殺す」は、美女が男を誘惑すると言う意味。

「となりのトトロ」の起承転結の例文

宮崎駿監督による「となりのトトロ」の起承転結を紹介します。ジブリ作品の多くはメリハリの効いたストーリー展開で視聴者を飽きさせません。そのため、起承転結に区切りやすいです。

起:田舎へ引っ越してくるサツキとメイの家族
承:トトロをはじめとする新たな問題(田舎暮らしなど)との関係構築
転:メイの迷子事件
結:メイとサツキの無事。問題の解決

「天空の城ラピュタ」の起承転結の例文

スタジオジブリからもう一作、「天空の城ラピュタ」の起承転結も例文として紹介します。本作はボーイ・ミーツ・ガールの王道です。

起:囚われの少女シータ
承:少年パズーとシータの出会い、逃避行
転:シータ奪還に奮闘するパズー
結:ラピュタ崩壊

「レオン」の起承転結の例文

リュック・ベッソン監督による「レオン」の起承転結を例文として紹介します。本作は、家族を悪徳警官に殺害された少女と、彼女の復讐のために雇われた殺し屋による純愛を描いた作品です。

起:孤独な殺し屋が住むアパートの隣室には一人の少女が住んでいた。
承:家族を殺害された少女は殺し屋に助けを求める。復讐のために力を貸してほしい。
転:愛を知った殺し屋は、命の危険を顧みず彼女の仇敵へ挑む
結:ひとり生き残った少女は、殺し屋がのぞんだまともな生き方を選ぶ。

「姿三四郎」の起承転結の例文

黒澤明監督による「姿三四郎」の起承転結を例文として紹介します。本作は黒澤監督による記念すべき第一作目の映画です。起承転結が単純明快でシンプルな構成によりヒットしました。

起:姿三四郎が上京する
承:師匠の弟子となり、柔術家として研鑽を積む
転:宿命のライバルと命をかけた果し合いに挑む
結:勝利を収めた姿三四郎はさらなる修行の旅へ

「ドラえもん」の起承転結の例文

「ドラえもん」のエピソードは、その多くが起承転結のフォーマットに当てはめることができます。ストーリーパターンとして参考とできるでしょう。

起:のび太がドラえもんに泣きつく
承:不思議道具によりストーリーが展開する
転:予想外の出来事でピンチに陥る
結:教訓を得る

まとめ

起承転結は、物語を伝える際に役立つ文章フォーマットです。脚本や小説、漫画などの作劇上、起承転結を用いることがあります。

ただし、外国では序破急や三幕構成のフォーマットを利用するほうが一般的だといわれています。

起承転結は、作者がストーリー全体を整然と把握したり、ストーリーを読者に正しく伝えたりする目的で活用されますが、作劇上の絶対条件ではありません。

あくまでも物語(文章)構成の目安として利用する程度に留めておくと良いでしょう。