良い脚本、良い物語は誰もが欲しています。しかし書くことは容易ではありません。創作に打ち込む熱意、作劇テクニック、そして日々の学習が必要です。ただし、優れた物語を構成する要素には、共通点があります。この要素に注意して執筆することで物語は成長するはずです。
脚本家として新しい物語を考えるときも、まずこの4つの要素を順番に確認するようにしています。この記事では、物語を構成する設定・キャラクター・プロット・テーマという4つのポイントについて、それぞれどのような役割を持ち、どんな視点で作り込めばよいのかを解説します。
目次
物語の構成要素1_
設定
設定とは、物語の時間と場所です。「昔々あるところで」「時は戦国、関ヶ原」「1999年4月1日、新宿」「早朝の公園」など。ピンポイントを具体的に指示したり、広範囲を曖昧に指定したりします。
良い設定の条件は、作者が意図する雰囲気を醸し出すことです。また、ストーリー展開やその背景を無理なく伝える役目も果たします。
物語の構成要素2_
キャラクター
物語には、複数のキャラクター(登場人物)が存在します。それぞれに役割があり、目的を持っているものです。逆にそれらを備えていないキャラクターは、脇役であっても登場させる意味はありません。
ストーリー進行を担う中心人物の中には、主人公とそのライバルが存在するパターンが一般的です。
主人公とは
主人公は、達成したい目的を抱きます。主人公の望みが成就するか否かが、物語の見所です。その望みは、社会通念に即した場合もあれば、反することもあります。どちらでも構いません。ただし、読者や観客から共感を得られる望みであるとよいでしょう。
ライバルとは
ライバルは、主人公の目標達成の前に立ちふさがる障害です。人間であることが多いですが、動物や自然現象、環境、目には見えない神仏などもありえます。軽く乗り越えられる障害では物語が盛り上がりません。そのため、ライバルは強大であるべきです。
例えば、ライバルを「ただ意地悪な人」「とにかく嫌なやつ」という設定だけで終わらせるのはNG例です。良い例は、ライバルにも主人公と同じくらい強い目的や信念を持たせ、その立場から見れば自分こそが正しいと思えるような背景を用意することです。ライバルが強固であるほど、主人公がそれを乗り越える過程に説得力が生まれます。
物語の構成要素3_
プロット
プロットには様々な意味があります。一般的には脚本を書く前の設計図のようなものだと考えてください。物語の見せ場の内容と配置を明らかにして、全体像を表します。
アーク
キャッチボールのボールを想像してください。投げ手から放たれたボールは、弓なりに曲線を描きながら、受け手がキャッチします。ストーリープロットも同じです。物語が始まり、紆余曲折があって、収束します。この際の曲線をアークと呼ぶのです。
良い物語には、明確なアークが存在します。そのために必要な要素は4つです。
セットアップ
物語が始まる前の主人公を取り巻く状況です。ライバルが登場し、主人公に刺激を与えます。それによって主人公は、物語を貫く偉大な目標を抱くでしょう。
緊張感
主人公が目標を達成するために乗り越えなければならないいくつかの障害が明らかになります。障害は徐々に大きくなるのが一般的です。
クライマックス
物語の進行上、緊張感が最も高まるパートです。それと同時に、主人公が大きく飛躍するポイントでもあります。
結末
あらゆる対立、ライバルとの敵対関係などが解消されるでしょう。また、その結果、どのような結末が訪れるかも描きます。
物語の構成要素4_
テーマ
テーマを大げさな要素だと考えると身構えてしまいます。テーマとは作者の主張です。例えば月を美しいと感じる人は多いですが、心底嫌いだという考えがあっても間違いではありません。このように、テーマとは脚本家の個人的な意見に過ぎないのです。
またテーマは、物語全体を串刺しにする主テーマとエピソードごとに存在する副テーマが存在します。これらは互いに相関することもあれば、完全に独立することもあります。
物語の構成要素に関するよくある質問
Q. 4つの構成要素はすべて必ず必要ですか?
短編やシンプルな物語でも、設定・キャラクター・プロット・テーマの4つは何らかの形で存在しています。意識的に整理することで、物語の弱点を見つけやすくなります。
Q. テーマが思いつかない場合はどうすればいいですか?
テーマは大きな主張である必要はありません。書いていて自分が「こういうことを伝えたい」と感じる小さな思いからで構いません。書き進めるうちに自然と見えてくることもあります。
Q. アークの4つの要素(セットアップ・緊張感・クライマックス・結末)はどのくらいの配分で書けばいいですか?
厳密な配分のルールはありませんが、一般的にはセットアップを短く、緊張感の部分で物語の大半を使い、クライマックスと結末で締めるという構成が多く見られます。まずは大まかにこの流れを意識して書いてみましょう。
まとめ
良い物語を構成する要素について解説しました。これら要素を意識して執筆を重ねることで、作品の質が向上するはずです。執筆の準備段階、また執筆途中であっても、一度立ち止まり見直してはいかがでしょうか。
脚本家として執筆に詰まったときも、設定・キャラクター・プロット・テーマのどこに弱さがあるのかを順番に見直すと、解決の糸口が見つかることが多くあります。今回紹介した4つの要素を、自分の作品のチェックリストとして活用してみてください。
脚本の書き方をさらに学べる本
物語の構成をさらに深く学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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