起承転結によるシナリオの書き方フォーマット【執筆スピード2倍増】

起承転結の書き方を知っておくとシナリオ執筆時に役立ちます。なぜなら、起承転結を書き方フォーマットとして利用することで、面白い物語を、早くスムーズに書くことができるからです。「コンクールに通過したい」「アマチュア作家の壁を超えたい」「最後まで作品を書き上げたい」このような目標がある方は、ぜひ、起承転結の書き方を学ぶことをおすすめします。
今回の記事では、あなたの作品を確実にレベルアップさせる、起承転結の書き方を、順序立てて整理し、わかりやすく解説します。ぜひ、ご一読いただき、シナリオ執筆にお役立てください。

※本記事は映画やドラマなど映像系シナリオライターを想定して書かれていますが、小説や漫画など他ジャンルの創作物の執筆にも役立つ情報です。物語(ストーリー)を書く方はぜひご一読いただければ幸いです。

起承転結は、意味だけ知っていても意味がない

起承転結は、物語を構成するフォーマットとして、よく知られたポピュラーな考え方です。簡単な意味だけなら、ご存知の方も多いのではないでしょうか。以下は起承転結の簡単な意味です。

  • 起:物語のはじまり
  • 承:物語の続き
  • 転:物語がひっくり返り
  • 結:物語が終わる

「起」「承」「転」「結」のように、4パートに分けて意味を当てはめると上記のようになります。作文や手紙を書く場合には、これだけでも理解していれば問題ないかもしれません。

しかし、読者(視聴者)を感動させることが目的のシナリオライターは、起承転結を深く理解する必要があります。ここで言う理解とは、書き方フォーマットとして実践で使えるレベルをいいます。

では、どうすれば起承転結の理解を深めることができるのかというと、実はコツがあります。

起承転結を理解するコツは「思考順序」と「関係性」

起承転結の理解を深めるコツは、2つのポイントを前提として考えることです。一つめのポイントは、思考順序です。起承転結について考える時、普通は「起→承→転→結」の順番で考える方が多いでしょう。しかし、物語(ストーリー)を書く場合には、「結→起→承→転」の順序で考えます。

最初に結パートから考える点が特徴的です。たったこれだけで、驚くほどスムーズに起承転結を理解できるようになります。以降の章では、この順序にのっとって解説していきます。

二つ目のポイントは、各パートごとの関係性です。4パートに分かれる起承転結は、その役割もボリュームも全く違います。しかし、それぞれが関係性をもって成立しています。どのパートも独立していません。具体例として「結と起」「結と承」「結と転」「承と転」のように関係づけて考えます。

以降の起承転結の解説を読み進める際には、それぞれ関係があることを忘れないでください。次は、起承転結の最後に考えてしまいがちな「結」の考え方から解説します。

起承転結の結パート:肝心要の中心的パート

結パートはシナリオにとって要となる重要な存在です。すべてのパートが、結パートありきで存在しているとも言えます。では、どうして重要なのか? どうやって書けばよいのか? 大切な結パートについて解説します。

起承転結の要となる重要な「テーマ」

結パートは、起承転結の中で一番最初に書くべき、いちばん大切なパートです。何故かと言うと、テーマが込められているからです。テーマとは、あなたがシナリオ(物語)を書くための原動力であり、起承転結の要にもなります。

最初にテーマを決めるメリットは、数多くあります。まず、テーマが決まると、ストーリーが脱線したり、執筆の途中で行き詰まることがなくなります。シナリオ(物語)がぶれることが少なくなるのです。

そして、結パートを起点として考えることで、起承転結の他の部分(起承転)もスムーズにイメージできるようになります。これは、先述した起承転結の関係性が元になります。つまり、テーマさえ先に出来ていれば、執筆スランプになりにくくなります。そのため、一番最初に結パートを書くのです。

テーマは誰でも書ける!あなたにしか書けない!

結パートはテーマを書くと言いましたが、起承転結の中でも一番書き易いパートです。なぜなら、テーマは何の制限もなく書くことができるからです。テーマというと大げさに考えるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。簡単に言うと、あなたが思ったままのことを書くことができるのです。日常の中で「もし、こうだったらいいな」という個人的な理想がテーマとなります。そのため、誰でも書くことができる反面、あなたにしか書けないのです。世界の紛争ニュースに胸を痛めたり、夕焼けを見て綺麗だと思ったり、道で転んで赤面したり。日々の出来事に対するあなたの考えを、できるだけ純粋に表現しましょう。こうして生まれたテーマは、あなただけの完全オリジナルです。まだ、世界中で、誰一人として理解していません。シナリオ(物語)を書く目的は、あなたのテーマを他者に伝えることとも言えます。

テーマを構成する要素を考える

起承転結の決パートで、大まかなテーマを決めたら、そのテーマを構成するための要素を考えます。要素には、必要な決まった数がありません。思いつくだけ書き出して、シナリオで表現するかどうかは、後で調整するとよいでしょう。

誰でも知っている昔話「桃太郎」を例に解説します。大きなテーマを「平和な世界」とした時、それを構成する要素は、いくつか挙げられます。

要素は条件とも言いかえられます。つまり、上記の条件をすべてクリアした時、「平和な世界」がやってくるというのが作者の考えになります。起承転結の結パート以外(起承転)を通して、この条件を一つずつ攻略していく様子が、ストーリーとなります。桃太郎のテーマ「平和な世界」を構成する要素は以下です。

  • 悪の消滅(鬼退治の成功)
  • 裕福な経済(金銀財宝の奪還)
  • 絆で結ばれた仲間(犬、サル、キジ)
  • 強い人間力(桃太郎の成長)

ちなみに、上記例はあくまで桃太郎の作者が考える「平和な世界」を構成するために必要な要素です。あなたや他の人が考える場合は、全く違う要素になり、オリジナリティとなります。次では、物語の始まりとなる起承転結の「起」について解説します。

起承転結の起パート:シナリオ(物語)の第一印象を決めるパート

起承転結の起パートは、シナリオの冒頭部分になります。物語の第一印象を決めるパートとなるので、重要です。しかし、書き方さえ理解できれば、決して難しくありません。一つずつ確認していきましょう。

共感を得るための現実(リアル)

起承転結の起パートがつまらないと、出だしから躓くことになります。最悪、それ以上読んでもらえないことも。逆に、読者の心を掴むことができれば、作者の勝ちです。そして、心を掴むには、共感を得ることが必要です。

読者は何に対して共感をするのでしょうか? 結論から言うと、読者は、現実(リアル)に共感します。そのため、起パートではリアルな現実を書くことになります。

現実(リアル)は理想の正反対にある

リアルな現実とはどんなものか? 単純に思いつくまま身の回りのことを書けば良い、というわけではありません。それではただの日記になってしまいます。現実は、起承転結の中で最初に考える「結パート」を起点として考えます。つまり、現実(起パート)は、テーマ(結パート)と関連付けて考えるのです。

テーマは、結パートで一番最初に決めたものです。そして、作者の理想を込めたものがテーマとなります。現実とは、理想の正反対に位置するものです。つまり、起承転結の冒頭で表現する現実(起パート)は、理想(結パート)の正反対の要素が入ります。このことから、起パートとは、結パートさえ決まれば、ほぼ自動的に決まるものだともいえるのです。

作者がリアルに感じる現実

起承転結の最初と最後、起パートと結パートは、正反対の意味を持つと説明しました。これは、細かく分けた要素(=条件)にも当てはまります。以下は桃太郎を例として、起パートと結パートの関係図を表にしたものです。

起パート結パート
悪の繁栄悪の消滅
貧乏な老夫婦の家庭裕福な経済
一人で旅立つ絆で結ばれた仲間
桃から赤ん坊強い人間力

正反対と一口に言っても、考える人によっては、その内容の程度に差が生じます。起承転結の結パートで「悪の消滅」という理想を実現するために、正反対の「悪の繁栄」という現実を起パートで表現します。この場合、悪の定義とは、考える人によって異なる部分でしょう。

単なるこそ泥と考える人もいれば、大泥棒と考える人もいるし、連続殺人犯やDV夫のように考える人もいます。中には、桃太郎の作者のように、鬼という空想上の怪物を創造する人もいます。

このように、対象のモチーフはどのような形でも良いのですが、作者のあなた自身がリアリティを感じているかどうかが鍵になります。そのためには、自分にとって身近な存在から発想を膨らませたり、濃密な取材をする必要があります。

作者がリアルに感じられない現実は、読者はすぐに嘘だと見抜きます。シナリオ(物語)は、読者に嘘だとバレたら、その時点でお終いなので、注意しましょう。次では、脚本の大部分を占める起承転結の「承」について解説します。

起承転結の承パート:試練の連続が主人公を輝かせる

承パートは、起承転結の中で一番長いパートとなりがちです。そのため、承パートが面白ければ作品全体の評価も上がりますが、つまらないと中だるみしてしまいます。シナリオ(物語)の底上げに繋がる承パートの書き方を、しっかりと身につけましょう。

承の役割は主人公を輝かせること

起承転結の中でも中だるみしやすいのが承パートです。それは、起パートの続き、転パートまでのつなぎという表層だけしか理解していないことが原因です。承パートの本質を理解するには、その役割に注目することが大切になります。

承パートの役割は、主人公を輝かせることにあります。主人公は、物語の顔であり、読者は主人公を追いかけます。すべての脇役や設定は主人公のために存在すると言っても過言ではありません。では、どうずれば、主人公が輝くのでしょうか。次では、起承転結の最初では平凡だった主人公が、最後には魅力的な人物に変化する仕組みを解説します。

試練が主人公を輝かせる

ズバリ、主人公を輝かせるには、試練を与えることです。一つ一つ困難を解決していくことで、主人公は魅力的に変化します。起承転結の中で、主人公はいろいろなことを経験します。承パートでは、いくつかの試練を、徐々にエスカレートするよう配置します。徐々に膨らます理由は、大きな試練をクリアした後に、小さな試練をクリアしても、読者(視聴者)は拍子抜けしてしまうからです。

試練を経験するエピソードを重ねると、雪だるま式にドンドン難易度が上がります。すると、作者自身でさえ、すぐに解決方法がわからないほど難しい試練を生み出すこともありますが、それは良い傾向です。試練は、難しいに越したことはありません。難解なほど読者が先読み出来ないので、「この先、どうなるんだろう?」という新鮮な興味を引き出すことにつながるからです。つまり、作者が脂汗をかいて解決する試練ほど、物語に深みが出るのです。

得るものから逆算して試練を生み出す

試練を乗り越えたら、同時に何か得るものがなければいけません。得るものとは、結パート(理想)へ到達するために必要な要素です。たとえ、表面的には何も得ていないようにみえても(むしろ失っていても)、経験値というものを得ているのです。桃太郎が、結パートで得る「平和な世界」を構成する要素が下記です。

  • 悪の消滅(鬼退治の成功)
  • 裕福な経済(金銀財宝の奪還)
  • 絆で結ばれた仲間(犬、サル、キジ)
  • 強い人間力(桃太郎の成長)

これらの内、一つの要素を得るだけでも、複数の試練を乗り越える場合があります。例えば「絆で結ばれた仲間(犬、サル、キジ)」を得るためには、犬を仲間にするための試練、サルを仲間にするための試練、キジを仲間にするための試練、と小分けにしたエピソードが存在することになるでしょう。

これは、起承転結の承パートは、結パートで考えた得るものありきで試練の内容が決まることを意味します。前述した「結と起」の関係同様、「結と承」という関係の方程式が成立するのです。次ではいよいよ物語の最も盛り上がる部分とも言われる起承転結の「転 」について解説します。

起承転結の転パート:ストーリーで最大級の盛り上がり

起承転結の中で、一番盛り上がるのが転パートです。同時に、起承転結における関係性が重要になるパートでもあります。これは、転になれば自然と盛り上がるというものではなく、ロジックに基づいて、起承転結を組み立てなければいけないということです。詳しい組み立て方を順を追って解説します。

回り道が説得力を増す

複数の承パートなくして、転パートは考えられません。すなわち「承と転」の関係が重要になるのです。未熟な主人公が、最短距離でストレートに転パートの最大の困難を乗り越えても、読者は納得しません。ストーリーは、クネクネ回り道をして、やっと転パートに到達しなければいけません。紆余曲折を経ているからこそ、転パートを乗り越える説得力が備わるのです。

例えば、桃太郎の起承転結を例にする場合、鬼退治するエピソードが転パートです。そこへ至る承パートが弱いと説得力がなくなります。つまり、何の苦労も知らず青年となった桃太郎が鬼退治を成し遂げるストーリーでは、無理があります。その無理を納得させるために、回り道をするのです。以下は転パートを成立させるための回り道(承パート)を箇条書きしたものです。

  • 年月とともに青年に成長する桃太郎
  • 貧乏な老夫婦の願いが旅立つ動機
  • 道中、家来をお供にすることで戦力増強
  • 長い旅路を経て手に入れる強い人間力

こうして、承パートを充実させることで、転パートでの鬼退治に対する説得力を増します。転パートは、回り道(承パート)の蓄積の上に成り立っているのです。

転は承の集大成

転パートは、主人公に試練を与えるという意味において、承パートと同じ役目を持つ起承転結の一つです。承パートとの違いは、その程度に差があることです。起承転結の全ての試練の中で、最も解決困難なエピソードとなるのが転パートなのです。

では、転パートを最も困難な試練にするにはどうしたらいいかというと、承テーマの集大成になるよう組み立て方を計算します。いくつかの承で積み重ねてきたこと(得るもの)が集まることで、やっと乗り越えられる大きな困難を転パートに持ってきます。

起承転結の中で最大の試練が転パートとだけ考え、単体で考えるとなかなかしっくりきません。「承と転」という関係性に着目して考える必要があります。

結に至る最大の困難を転とする

転パートを決める時には、結パートも関係します。主人公が、転パートを通過して、結パートに至るという流れが、起承転結の構造となっているからです。結パート(理想=テーマ)を構成する要素(条件)をもとに、いくつかの試練を作りました。その中から、最も困難だと思われる試練が転パートとなり、他が承パートとなります。以下は桃太郎の起承転結の一例です。

  • 承パート(小の試練=桃太郎の成長)
  • 承パート(中の試練=仲間の獲得)
  • 承パート(大の試練=財宝の奪還)
  • 転パート(最大の試練=鬼退治)

ちなみに、最も困難だと思われる試練を決める定義はありません。派手なアクションシーンの盛り上がりを最重要と設定する場合もあれば、登場人物の心情の変化がいちばん重要だと設定する場合もあります。つまり、鬼退治が重要と考える人もいれば、家来との絆を重要と考える人もいるということです。後者の場合、犬たち家来とのエピソードを転パートに当てはめることも十分あり得るのです。ここでも、作家のオリジナリティが表現される部分となります。

起承転結によるシナリオの書き方フォーマットのまとめ

起承転結は、子供の頃から小学校の授業などでも取り上げられるなど、親しみが湧きやすい書き方フォーマットです。しかし、シナリオ(物語)の創作に際した実用法を知る人は少ないでしょう。

  • 起:共感を得てストーリーに興味を持たせる
  • 承:試練を与え主人公を魅力的に見せる
  • 転:伏線を一気に集約して物語を最高潮にする
  • 結:作者の理想(=テーマ)を伝える

この一連の起承転結を組む作業は、まるでパズルに取り組むようなものです。シナリオを書く時には、感性やセンスに頼る部分が多いように思われますが、このようにロジックを組み立てる思考も必要になるのです。しかし、この起承転結の理屈は、一度理解してしまえば一生モノです。シナリオを書いている途中で迷うことが少なくなり、執筆のスピードアップにもつながるでしょう。

また、創作フォーマットについては、起承転結のほかにも序破急や三幕構成など、古今東西、あらゆる手法が存在します。どのフォーマットを使おうと面白いストーリーを書き上げるという最終目標は同じです。自分に合ったフォーマットを見つけて自在に使えるようにすることが、創作の第一歩になるはずですので、ぜひ勉強してください。