良いセリフの書き方【6つのコツ】

この記事は 2023年10月24日 に更新されました。

セリフはセンス、と言う人もいます。本当でしょうか。確かに、鳥肌が立つようなセリフは存在します。しかし、センスだけに頼って書く脚本家はいません。

脚本家は、一言のセリフに心血を注いでいます。考えて考えて考えて、最後に残った結晶が、良いセリフとなるのです。

これは、正しいアプローチをすれば、私たち凡人でも少しはマシなセリフが書けることを意味します。

記事では、良いセリフを書くためのコツやポイントを解説します。ぜひ参考としてください。

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セリフに気を配る理由

脚本家は良いセリフを追求しなければなりません。なぜなら、多くの人が求めているからです。

俳優は、自分に割り当てられたセリフがかっこいいと喜びます。主役はもちろん、一言しか発しない脇役も同じです。彼らは、その一言に全霊を傾けます。

監督にとってのセリフは、作品の出来を左右する要素です。コメディ、シリアス、スパイアクション、人間ドラマなど、ジャンルを問わず、セリフがうそくさいと観客は冷めてしまいます。

そして、脚本家にとってのセリフとは、業界を戦い抜くための武器です。構成力やテーマに比べて、セリフは優劣の判断がつけやすい特徴があります。つまり素人でも良いセリフかどうかは、直感的にわかるのです。

良いセリフを書く脚本家は良い脚本家という評価がされやすい傾向があります。そのため、脚本家はセリフに心血を注がなければなりません。

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良いセリフの条件

良いセリフの条件があるとすれば、それは、キャラクターごとに唯一無二のセリフであることです。

Aというキャラクターは、Bのセリフをしゃべれません。逆に誰でも口にできてしまうセリフは、オリジナリティが欠如しています。そのようなステレオタイプのセリフは、脚本の質を落とすことはあっても上げることはありません。

主役から脇役にいたるまで、登場人物ごとに書き分けられているセリフは良いセリフです。名前を隠しても誰のセリフかわかるレベルを目指してください。

一番陥りやすいワナは、すべての登場人物のセリフが、作者であるあなたの口調になってしまうことです。

回避するには、個々のキャラクターの設定を明確にします。職業、出身地、年齢、学歴など。人生をできる限り明確にするのです。

どんな特殊なキャラクターだとしても、丁寧にバックグラウンドに光を当てることでリアリティが生まれます。

キャラクターの核が見つかれば、その人物に特有の口調でセリフを書けるはずです。

良いセリフの書き方【6つのコツ】

良いセリフの書き方にはコツがあります。選りすぐった6項目を紹介するので参考としてください。

良いセリフの書き方1_
他人の会話をメモする

喫茶店や電車内での他人の会話、隣の席で恋バナをする同級生、激怒して叱責(しっせき)する上司などなど。少し耳を傾けると、日常にはさまざまな会話があふれています。セリフのサンプルとして、それらをメモしてください。

紙とペンを持っていなくても、スマホのメモ機能でもOK。本人の目の前だと気が引ける場合、いったん記憶してトイレに駆け込みメモします。

しかし、実際の会話をそのまま書くわけではありません。あくまでもエッセンスを抽出することが目的です。さえぎり、かぶり、途中でだまり、方言を使い、独特のリズムでしゃべるといった、リアルな特徴をつかんでください。

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良いセリフの書き方2_
実在の人物を想像する

全くのゼロからキャラクターの人格を形成するのはハードルが高いかもしれません。その場合、友達や家族、テレビで見かける芸能人などをモデルにするとイメージできます。

とにかく、実在する人物の口調を真似てセリフを書くのです。

登場人物と同じ境遇や職業に就いている知り合いには取材をかけてください。職業はしゃべり方はもとより人格形成に深く関わる要素です。プログラマーと大工職人では、しゃべり方の特徴が異なるはずです。

良いセリフの書き方3_
セリフは声に出して読む

自分で書いたセリフでも、耳で聞くと客観的に評価できます。思いがけない気づきを得ることがあるので、音読することをおすすめします。

スマートフォンがあれば簡単に録音できるはずです。また、発声することで、しゃべりにくい所を発見できます。これは俳優にとっても同様であり改善の余地があります。

また、短縮言葉はそのまま書いてください。「あんなー」と「あのねえ」ではニュアンスが異なることは明らかです。そのキャラクターならどちらでしゃべるかを考えてください。

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良いセリフの書き方4_
AB書きを試す

一人芝居でもない限り、脚本では複数人のセリフを同時に書きます。しかし、書き分けが甘いと人物の区別ができません。それを防ぐ手法として、AB書きが有効です。

AB書きとは、登場人物のセリフを片方ずつまとめて書く方法です。Aのセリフのすべてを書き出したあと、Bのセリフに取り掛かります。

AB書きでは、複数人のキャラクターや心情をその度に切り替えて書かずに済みます。結果、人物の性格が混同しません。

両者のセリフがでそろうとミックスしますが、その際違和感を感じる部分があります。例えば、冗長だと思えばカットします。これで掛け合いのテンポが良くなるはずです。

良いセリフの書き方5_
Q&Aセリフを避ける

Q&Aセリフとは、質問に対して答えるだけのやり取りを指します。海外のテレビショッピングのような会話がそれです。ドラマでは説明セリフと受け取られてしまうので避けてください。

また、ストーリーを停滞させるのもQ&Aセリフです。セリフは先へ先へと物語を進めるもの。セリフの掛け合いでは発展的になるよう心がけてください。

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良いセリフの書き方6_
サブテクストを含める

サブテクストとは、セリフにならない気持ちのことです。本当に伝えたいことは言葉に出来ないもの。むしろ本心は口にしません。

例えば怒りを伝えるためにわざわざ「怒っている」と言葉で伝える人は少数派です。態度で示したり、舌打ちしたりするのではないでしょうか。逆に「怒っていない」と言うかもしれません。

セリフにならなくても、キャラクターの本心を伝えるのがサブテクストです。

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まとめ

良いセリフとは、特定の脚本家がセンスに頼ってひけらかす技術ではありません。誰でも身につけられる武器です。そのためのコツを6つ紹介しました。ぜひ、脚本執筆に役立ててください。

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