脚本ボードの使い方をかんたん解説!【ブレイク・スナイダー:SAVE THE CATの法則】
この記事は 2023年10月24日 に更新されました。
脚本の書き出しで迷ったことはありませんか? それ、アイデアが整理できていないことが原因かもしれません。
絵を描く前にデッサンをするように、脚本を書く前にも下書きが必要です。この準備さえできれば、書き出しで迷うこともないでしょう。
今回は、脚本のデッサンとも言える「脚本ボード」について紹介します。
目次
脚本ボードとは
脚本ボードとは、構成を組む資料です。構成とは、エピソードを組み立てて作る、物語の骨格のようなものだと思ってください。
脚本ボードは、ハリウッドで活躍するプロのシナリオライターも活用しています。
日本では、ブレイク・スナイダーの『SAVE THE CATの法則』で広く知られるようになりました。
一方、日本映画界には昔から「ハコ書き」という構成を組むための資料が存在します。役割は、脚本ボードとほとんど同じです。
脚本ボードのメリット
脚本ボードを作るメリットは、いくつかあります。
脚本ボードのメリット1_
問題点を発見しやすい
脚本ボードを作ると、ストーリーの問題点を発見しやすくなります。
なぜなら、一枚のボードにすべてのシーンが並び、ひと目でストーリー全体を見渡せるからです。
文章を読み込むと、没頭し過ぎてしまい全体感を掴めません。
その点、脚本ボードであれば、パッと見るだけで視覚的にストーリー全体を俯瞰できます。
するとストーリーの問題点が浮き彫りになるのです。違和感を発しているシーンが、一目でわかります。
脚本ボードのメリット2_
試行錯誤しやすい
脚本ボードには、複数のカードを貼ります。そしてカードには、それぞれ出来事(シーン)をひとつ書きます。
脚本はシーンの積み重ね。貼ったカードの順序を変えたり、不要なカードを削除したり、逆に足りないカードを足したりして、ストーリーをつむぎます。
このように、脚本ボードを作ると試行錯誤がしやすいのです。
プロットのような文章だと、この作業は容易に行なえません。脚本を書き出した後だとなおさらです。
構成を試行錯誤するなら、脚本ボードの段階しかありません。
脚本ボードのメリット3_
最後まで書ける
脚本を書いていて、途中で飽きたり方向性を失ったりして、最後まで書ききれなかった脚本家は少なくありません。
未完の脚本は無価値です。それに費やした時間や労力も、残念ながら無駄だと言わざるをえません。
しかし、脚本ボードさえ作っておけば、必ずゴールまではたどりつけます。
安心して脚本執筆に取り組めます。
脚本ボードの作り方
脚本ボードの作り方をお伝えします。
脚本ボードの作り方1_
ボードを準備する
脚本ボードの土台を用意します。
リアル派の方は、大きめの画用紙や壁掛けのコルクボード、ホワイトボードなどを用意してください。または、コピー用紙をつなぎ合わせても問題ありません。
パソコン派の方は、エクセルやGoogleスプレッドシートを活用してもOK。
次に、横線を3本ひいて、ボードを4分割します。4つの列にはそれぞれ意味があります。
- 1列目:第一幕(P1~P25)
- 2列目:第二幕の前半~ミッドポイント(P25~P55)
- 3列目:ミッドポイント~第二幕の終わり(P55~P85)
- 4列目:第三幕(P85~P110)
今回紹介する脚本ボードは、ブレイク・スナイダーの『SAVE THE CATの法則』で紹介されているBS2が元になっています。
BS2とは、三幕構成を基本としたブレイク・スナイダー独自の脚本理論です。より理解を深めたい方は、下記記事で紹介しているので参考にしてください。
脚本ボードの作り方2_
カードを書く
土台となるボードを用意したら、そこへ貼り付けるカードを作ります。
カードの枚数は決まっていて、1エリア10枚、合計40枚です。枚数は最終的に調整するのでまずは思うままに書きましょう。
カードに書く要素は下記の4つです。
- シーン(場所)
【例:学校 / 体育館 / 館内 / 夕】
場所と時間帯を書きます。 - 主要な出来事
【例:太郎が花子にプロポーズをしようと呼び出す】
主要な出来事をできるだけシンプルに書きます。 - 心情の変化(+ / -)
【例:太郎はOKを貰えるだろうと考えていたが、結局は振られて絶望する】
シーンの中心となる人物の心情の変化を書く。変化がない場合は必要がないシーンかもしれない。 - 葛藤(><)
【例:太郎は振られた理由を聞き出したいが、花子には理由を言えないわけがある 】
葛藤とは対立。人間同士以外にも「人間><自然」「人間><動物」「人間><状況」など様々。そして、どちらが勝者かはっきりさせなければいけません。例では、理由を言わないという主張を通した花子が勝者です。
脚本ボードの作り方3_
カードを厳選する
前述した通り、ボード上のカードは各エリアに10枚ずつ、合計40枚に厳選します。
例えば、同じ内容のカードがあれば、1枚にまとめましょう。
主人公を紹介するカードは1枚で十分ですし、複数場面にまたがっていても一つのエピソードを表す場合も1枚のカードに集約します。(電話シーン、カーチェイスシーンなど)
反対にカード同士のつながりがギクシャクする場合は、橋渡しとなるカードを挿入する必要があるかも知れません。
脚本ボードの活用方法
完成した脚本ボードは、執筆活動の道しるべとなるはずです。しかし、縛られすぎてもいけません。脚本を書いている途中で新アイデアを思いついたら臨機応変に変えてOKです。
あくまでも道しるべであり、脚本の広がりを制限するものではありません。
まとめ
脚本ボードは、物語の骨格となる構成を組むための大事な工程です。脚本を書き出す前にしっかりと準備をしておきましょう。
脚本ボードは簡単に作れますが、その効果は絶大です。脚本を書き出す前には、ぜひ本記事を参考にして脚本ボードを作ってください。
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