主人公の作り方で悩んだら、まず欲求を決めろ!

物語の主人公は、脇役と一線を画する存在です。その違いは「ストーリーを進める欲求」を持っているかどうかによります。この欲求が明確な主人公は、読者の心をつかんで離しません。では、「ストーリーを進める欲求」とはなんでしょうか。記事では、主人公が欲求を持たなければならない理由、 欲求を読者に伝えるタイミングとその伝え方について解説します。

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主人公が欲求を持つ理由は?

脚本家が主人公を作る時、はじめに決めるのは、セリフでも、容姿でも、家族構成でもなく、主人公の欲求でなければなりません。なぜなら主人公の欲求が物語を進める原動力になるからです。

欲求と聞くと食欲や睡眠欲、性欲や物欲などを思い浮かべる人もいるでしょう。それらは根源的な欲求として間違いありません。また、子供が野球選手になりたがったり、大人でも会社で出世したいと願ったりする気持ちも、欲求のひとつです。欲求とは、基本的にどのようなものでも問題はありません。

桃太郎を例に言えば、「鬼退治に行く」という決意が主人公の欲求です。もしその欲求がなければ、桃太郎は祖父母と暮らし続けるだけになり、ストーリーは進展しません。このことからも主人公の欲求は、物語をすすめる上で、とても大切な要素だとわかります。

  1. 主人公の欲求は物語をすすめるために必要

欲求を読者に伝えるタイミングは?

主人公が欲求を持っていることは大前提として、どこかのタイミングで読者に伝えなければなりません。読者には少しでも早く物語に没頭してほしいので、主人公の欲求(=物語のコンセプト)は、できるだけ早いタイミングで提示するのです。

しかし、物語が始まってすぐのシーンでは早すぎます。読者は唐突に感じて戸惑ってしまうでしょう。『桃太郎』に例えると、桃から生まれた瞬間に「鬼退治に行く」と宣言するようなものであり、脈絡がありません。おじいさんとおばあさんに愛情を込めて育ててもらった子供が成長して、祖父母を困らせている鬼という存在を知り、どうにかしてあげたいと思い、はじめて「鬼退治に行く」と決意するのです。

三幕構成で言えば、第一幕の状況説明が終わった後あたりが妥当ではないでしょうか。1時間ドラマだと、開始10分以内には主人公の欲求を読者に伝えておきたいところです。
ちなみに第一幕の状況説明では、主人公が欲求を抱くに至る状況を説明します。おなかの減っていない人は食欲がわきませんし、十分に睡眠がとれている人は眠りたいと思いません。そのため主人公がきちんと飢餓状態におちいるような設定を作る必要があるのです。

  1. 主人公の欲求はなる早で提示する

欲求はどうやって伝えるべきか?

主人公の欲求は、なる早で読者に伝えます。しかしその手段はどのようにするべきでしょうか。セリフでハッキリと口に出すか、映像で伝えたほうがいいのか。答えはケースバイケースです。要は読者に伝わればいいのです。

『桃太郎』の場合、出発する桃太郎と見送る祖父母の絵から、「鬼退治に行ってきます」という具体的なセリフがなくても、主人公の欲求が伝わるでしょう。一方、漫画『ワンピース』の主人公は「海賊王に俺はなる!」とシリーズ全体を通した欲求を口に出すし、TBSの金曜ドラマ『MIU404 第4話 ミリオンダラー・ガール』では刑事役の主人公が「(容疑者の)青池透子と話がしたい」と宣言します。

また、主人公が抱く欲求は、できるだけシンプルにするべきです。例えば、屈強な肉体を手に入れて、幸せな家庭を望み、億万長者にもなりたいという複数の欲求を持った主人公では、ストーリーのポイントがぶれてしまいます。主人公の欲望は、そのまま物語のコンセプトなので、焦点がぼやけると読者はどんなストーリーなのかわからなくなってしまい、興味も薄れてしまうのです。

  1. 主人公の欲望はシンプルにする

まとめ

主人公は欲求を持たなければなりません。その欲求は物語のコンセプトと同意であり、ストーリーを進めるための原動力です。読者をいち早く物語世界に没頭させるには、できるだけ早い段階で主人公の欲求を提示します。また、その際の欲求はシンプルにしてください。複雑になるほど物語のテーマがぼやけてしまい、読者は混乱してしまうからです。