脚本の主役はもちろん主人公ですが、その周りには脇役や敵役もいます。これらの登場人物が魅力的に描けているかどうかで、脚本の完成度は大きく変わります。とはいえ、「魅力的なキャラクター」をどうやって作ればいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では、キャラクター作りで最初に押さえておきたい3つの原則を、具体例とともに紹介します。
目次
キャラクターの作り方1_
内面をさらけ出す

良いキャラクターの条件は、読者の興味を引くことです。主人公だけでなく、脇役であっても、読者が「この人物はどうでもいい」と感じてしまったら、それは失敗作といえるでしょう。
キャラクターを作るときは、「読者が感情移入できるかどうか」を意識してみてください。読者は、感情移入できるキャラクターに対して、「この先どうなるんだろう」「この人にはどんな過去があるんだろう」と興味を持ちます。
そのために必要なのが、キャラクターの内面をさらけ出すことです。脚本に登場するキャラクターは、もともとフィクションの存在なので、現実の人間ほどのリアリティを持っていません。その差を埋めるために、内面、つまりそのキャラクターが心の中に秘めている部分を、思い切って見せていく必要があります。
例えば、ある犯罪者を、その人が犯した罪だけで判断すると、同情の余地はないように見えます。しかし、「なぜその人が罪を犯さざるを得なかったのか」という事情が見えてくると、私たちはその人に共感してしまうものです。他人のはずなのに、他人事とは思えなくなるのです。
脚本のキャラクターを作るときも、同じことが言えます。キャラクターが抱えている内面を、思い切ってさらけ出してみてください。内面が見えるほど、そのキャラクターは魅力的になっていきます。
キャラクターの作り方2_
アクションで表現する

脚本のキャラクターが自分を表現する手段は、セリフとアクションの2つです。よく「セリフは嘘をつき、アクションは真実を語る」と言われます。
例えば、初めて会った人から「絶対に幸せにします」と言われても、すぐに信じることは難しいですよね。一方で、長い時間をかけて、行動でそれを示し続けてくれた人のことなら、信頼できるはずです。
口先だけのセリフより、アクションで示したほうが、説得力が増します。だからこそ、キャラクターの内面が表れる大事な場面では、アクションを交えて演出することをおすすめします。
アクションといっても、大げさなものである必要はありません。あなたの身の回りの人たちのことを思い出してみてください。彼らの感情は、何気ない仕草から伝わってくることが多いはずです。「怒っている」と口に出さなくても、コップをドンと置くだけで、その人の気持ちは伝わります。
こうした、キャラクターの心情が伝わるアクションを描くためには、日頃から人の行動をよく観察し、自分の中にストックしておくことが大切です。
キャラクターの作り方3_
ムダはカットする

キャラクターの一つひとつの行動には、できるだけ意味を持たせましょう。ストーリーを進める、キャラクターを説明する、感情を表現する——こうした目的につながらないアクションやセリフは、思い切って削ってください。
NG例は、朝起きてベッドを出て、ご飯を食べて、歯を磨いて……という、ただ雰囲気を伝えるだけの行動を丁寧に描いてしまうことです。こうした描写は、キャラクターの魅力を伝えるものではなく、読者の興味を引くこともできません。良い例は、同じ「朝の場面」でも、そのキャラクターらしい行動だけを切り取って描くことです。例えば、寝坊して慌てて着替えながら、忘れずに昨日の喧嘩相手へのメッセージだけは送る——という一場面なら、その人物の性格や状況が一気に伝わります。
エピソードを考えるときは、「ストーリーの進行に必要かどうか」「そのキャラクターらしい行動になっているかどうか」の2つを基準にしてみてください。書いているうちに、なんとなく付け足してしまったエピソードほど、思い切ってカットすると、物語のテンポが良くなります。
キャラクターの作り方に関するよくある質問
Q. 主人公以外の脇役にも、内面の設定は必要ですか?
主人公ほど詳しくなくても、簡単な背景や価値観を考えておくと、脇役のセリフや行動に説得力が生まれます。脇役が「ただストーリーを進めるための駒」に見えてしまうと、物語全体が薄っぺらく感じられてしまうので注意しましょう。
Q. 「アクションで表現する」とは、具体的にどんな場面で意識すればいいですか?
特に、キャラクターの本音や決意が関わる場面で意識してみてください。「もう辞める」と言わせるのではなく、黙って荷物をまとめる様子を描く、というように、セリフで説明したくなった瞬間こそ、行動に置き換えるチャンスです。
Q. ムダなシーンかどうか、どうやって見分ければいいですか?
そのシーンを丸ごと削除しても、ストーリーやキャラクターの理解に支障がないかどうかを考えてみてください。支障がない場合は、雰囲気を伝えるためだけのシーンになっている可能性があります。「このシーンがないと、読者は何がわからなくなるか」を自問してみるのがおすすめです。
まとめ:3原則を意識してキャラクターに命を吹き込もう
今回紹介した「内面をさらけ出す」「アクションで表現する」「ムダはカットする」という3つの原則は、どれも今日からすぐに意識できるものです。脚本を書き終えたら、登場人物の行動やセリフをひとつずつ見直し、この3原則に当てはまっているかどうかをチェックしてみてください。あなたの脚本のキャラクターたちが、もう一段階、生き生きとした存在になるはずです。
脚本の書き方をさらに学べる本
キャラクター作りについてさらに学びたい方には、以下の書籍もおすすめです。


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