読者が納得する第三幕の書き方【脚本の三幕構成_3/3】

第三幕は、三幕構成のラスト。最も印象に残りやすい重要なパートです。優れた結末ならいつまでも人の心に残りますが、そうでない場合は記憶から消されてしまいます。いかに読者が納得できる結末になっているかどうかが鍵です。記事では、第三幕の役割や結末のまとめ方、実際に第三幕を組む際のコツなどを紹介します。

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脚本の三幕構成:第三幕1_
物語の着地点

三幕構成の第三幕では、物語の結末を書きます。すでに「こういう結末にしよう」と決めていたり、成り行きに任せたいと考え、あえて結末を決めていなかったりするかもしれません。自由に創作して構いませんが、その重要性ははっきりと認識しておくことをおすすめします。

例えば体操競技では、高難度のワザを決めると高得点を獲得できます。しかし、どれだけ華麗に飛んだり跳ねたりしても、着地でミスをすると大きな減点対象となってしまうのです。そのせいで総合得点が低くなれば、結果的に勝負に勝てません。

脚本にも同じことが言えます。多くの人が興味を抱く良い設定を思いついたり、物語の中でどれだけ深い葛藤を重ねたりしても、読者が結末に納得できなければ、脚本全体の評価が下がってしまうでしょう。

「終わりよければ全てよし」ではありませんが、物語の結末を描く第三幕は、重要なパートだと認識してください。

  1. 第三幕が脚本全体の評価を左右する

脚本の三幕構成:第三幕2_
読者を納得させる

1時間以上も映画を見て、納得できない結末に導かれたら、読者は脚本自体の評価を下げます。たとえ他に素晴らしいシーンがあっても裏切られた気分になるからです。そのため第三幕では、読者を納得させなければなりません。

例えば、ミステリーの物語で、犯人が判明しないまま結末を迎えたら、観客は納得しないでしょう。また、モヤモヤした気持ちを抱えた主人公が、その気持に決着をつけないままエンドマークがついても同じです。読者の中にモヤモヤが残ってしまいます。

読者を納得させるには、第二幕のラストまでに提示した問題や葛藤をすべて解決しなければなりません。それらを明らかにするために、ストーリーをさかのぼって問題点をノートに書き出してください。

  1. まずは全ての葛藤や問題を洗い出す

脚本の三幕構成:第三幕3_
未解決を回収する

積み残した葛藤や問題を解決するのが第三幕の使命です。特に主人公の葛藤は、作品テーマとリンクしており重要です。ただ、葛藤はハッキリと目に見えないので、最適な解決策を提示することは難しいかもしれません。

先述したミステリーの犯人探しは、目に見える問題です。一方、目に見えない問題とは、例えば遠足を止む無く欠席した小学生が抱く葛藤のようなものです。参加したいのにできない悔しさ。歯がゆい思い。このような行き場のない気持ちを、どうにかして決着させなければなりません。

物語上の葛藤や問題は、あなたが作り出したものです。同時に解決する義務も負うことを覚えておきましょう。また作者だからといって、問題の本質を100%理解しているとは限りません。アウトプットして客観的に確認してください。

  1. 葛藤や問題を決着させるのは作者の義務

脚本の三幕構成:第三幕4_
解決策の考え方

第三幕で解決すべき問題や葛藤のすべてを書き出したら、解決の手順を考えます。第三幕は物語のクライマックスであり、最大限、盛り上げなければなりません。その際、ミニチュア版の三幕構成を組むと効果的です。

三幕構成は物語全体を構成する仕組みであると同時に、個々のパートでも機能しています。どれだけ短いエピソードでも状況設定、問題や葛藤、解決があり、ミニチュア版の三幕構成が働いているのです。

まるで大時計を動かす歯車のように、小さな歯車が大きな歯車とかみ合い、やがて巨大な時計の針を動かします。その歯車は、大きさに違いはあっても同じ形をしているのです。

第三幕を考える際には、まず未解決の問題を提示します。次に出来事が起こり、葛藤が生まれるはずです。そして最後に問題が解決されるでしょう。これはまさに三幕構成です。

  1. 第三幕の中に、小さな三幕構成を作る

脚本の三幕構成:第三幕5_
解決策を考えるコツ

未解決の問題や葛藤を解決するにはコツがあります。コツを意識するとスムーズに考えがまとまるので、第三幕を考える際の参考にしてください。

大枠から細部へ

森をデッサンする時、一枚の葉っぱから書き始めるより、全体像をラフスケッチしてから徐々に細部を書き込むのが一般的です。

脚本も同じことが言えます。第三幕は物語の中で最も盛り上がるクライマックス。思い入れも強くなりがちです。決め台詞や細かい演技をあらかじめ設定している人もいます。しかし、細かい部分を固定すると融通がききません。また、決め事に引っ張られると物語の大筋からそれてしまう危険もあります。

問題の解決策を考えるときには、まずテーマの決着、ストーリーの決着、主人公の葛藤の決着、ストーリー上の決着というように、大枠から細部へ深堀りすると良いでしょう。

ひとつの出来事で複数の問題を解決する

複数のパチンコ玉を集めるのに、ひとつずつ拾っていたら無駄に時間がかかります。磁石で一挙に集めれば作業時間の効率化が図れるでしょう。

パチンコ玉と同様に、解決すべき葛藤や問題点は、物語のあちらこちらに散らばっています。ひとつずつ解決策を考えていては、第三幕が間延びするかもしれません。ひとつの解決策で複数の問題点を解決するのも時に有効です。

例えば映画『レオン』では、第二幕ラストで「殺し屋と少女の行く末はどうなるか?」「弟のかたきを討てるのか?」という複数の問題が残っています。最終的に殺し屋と悪徳警官は相打ちになるのですが、このひとつの出来事から「二人は死別する」「弟のかたきは討てる」というふたつの結末が導き出されました。

この方法には、物語の圧縮というメリットのほか、読者に爽快感を与える効果もあります。しかし全てのパターンで適用できるとも限らないので、無理やりまとめないようにしてください。

まとめ

第三幕は物語のラストを描くパートです。読者を納得させることを第一に未解決の問題を解決してください。まずは問題や葛藤の棚卸しをします。それらの解決方法は、小さな三幕構成を意識すると考えやすいでしょう。さらに大枠から細部へ深堀りする考え方や、複数の問題をまとめて解決する方法も活用すると引き締まった第三幕が完成します。