極めて私的なおすすめ邦画レビュー22本【2021年5月】

2021年5月は邦画だけを観ようと決めて過ごしました。結果、視聴した邦画は22本です。ジャンルが偏らないよう、ランダムに選びました。今回は視聴した順に、脚本に重点を置いた邦画レビューをします。文末にはおすすめ邦画として僭越ながらベスト3も選ばせていただきました。

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おすすめ邦画レビュー_1
『MW-ムウ-』

冒頭、外国(アジア)を舞台にしたカーチェイスやアクションが展開します。しかし、ハリウッドと比べると、どうしても見劣りする印象です。

物語開始から30分経過。主要人物同士の関係性が示されます。なにやらシリアスな雰囲気のシーンですが、ストーリーを展開するためのガソリンとしては力不足ではないでしょうか。

映画のシーンには、物語を次へ次へと押し上げる力が必要です。この人物はどのように絡んでくるのか? 次は何が起こるのか?という期待感がなければいけません。これは、作品を視聴し続ける動機です。

本作の冒頭シーンからは、残念ながらそれらが感じられませんでした。

おすすめ邦画レビュー_2
『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』

大学受験に失敗した若者が、偶然にも林業の世界に飛び込む。そこで繰り広げられる青春ドラマ。開始3分で映画のテーマが伝わります。無駄が一切感じられない、脚本のお手本にしたいオープニングです。

この映画は全体を通して無駄なセリフやシーンがありません。必要なエピソードだけを厳選して、シンプルに表現しています。かといって簡素になりすぎず、ユーモアも盛りだくさんです。

高水準のエンタメ性を終始保っている作品であり、安心して見ていられます。

おすすめ邦画レビュー_3
『万能鑑定士Q -モナ・リザの瞳-』

テレビドラマから続く映画のようです(ドラマは未視聴です)。テレビドラマは映画に比べて説明台詞が多くなりがちです。この映画の場合、その影響を引き継いでいるのか、冒頭から設定やシーン、主要な登場人物の心情など、説明台詞が多いように感じました。

説明により情報が多く与えられると見ていて疲れてしまいますし、ストーリーに感情がノリません。いつまでも冷めた気持ちのまま視聴していました。

おすすめ邦画レビュー_4
『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』

こちらもテレビドラマから映画化されたパターンです(ドラマは未視聴)。結論から言うと、テレビの2時間単発ドラマのような印象でした。いわゆる普通の刑事ドラマです。

主人公のキャラクターが薄いからでしょうか。物語の主人公は、ある一点が突出していてこそだと思います。その点、本作の主人公からは感じ取れませんでした。

また、東京の下町という土地柄にもスポットを当てているようです。しかし、こちらも際立った魅力は感じられません。

おすすめ邦画レビュー_5
『外事警察 その男に騙されるな』

終始シリアスで暗い雰囲気の邦画です。このような作品の場合、悪だとしても独自の信念を持つ主人公に、物語を引っ張って欲しいと期待します。しかし、主人公の信念は伝わりませんでした。

また、国際的な危機を描いているのにもかかわらず緊迫感が生まれないのも残念です。日本滅亡のような大きすぎる危機は、現実味を欠いていることが原因ではないでしょうか。

おすすめ邦画レビュー_6
『駆込み女と駆出し男』

江戸時代、女性から離婚を申し出ることは難しかった。ふたりの女とひとりの男が、偶然縁切り寺に駆け込んだことで始まる物語。(恋愛三角関係を描くものではないです)

縁切り寺というシステムを知らないまま視聴しましたが、難しい設定や時代背景を、わかりやすく伝える台詞や描写は素晴らしいと感じました。

おすすめ邦画レビュー_7
『空飛ぶタイヤ』

実際に起こった脱輪による死傷事故やリコール隠しを元にした小説の映画化作品です。本作の映画化より以前にWOWOWでドラマ化がされています。

実際の事故だという認識がある状態での視聴です。そのため冒頭の事故シーンはショッキングでした。当然、被害者の悲痛な演出が挿入されるかと思い身構えました。

しかし実際は「どうして事故は起こったのか?」というミステリー面にスポットが当たります。意外でしたが、このドライな滑り出しは視聴の興味をひきつけました。

一方、物語中盤、遺族による心中告白のシーンは映画の核となる名シーンだと思います。やはりそこに帰結するだろうと、納得できました。

構成の妙を感じた作品です。

おすすめ邦画レビュー_8
『劇場版 MOZU』

テレビドラマから映画になったパターンです。ドラマを未視聴であるため、冒頭からついていけませんでした。少なくとも主人公の行動原理や葛藤が伝わらないと視聴意欲がわきません。

また、アクションシーンは邦画には不向きだと感じます。

おすすめ邦画レビュー_9
『激動の昭和史 沖縄決戦』

史実の歴史映像と映画のために撮影した映像の組み合わせがコラージュのように組み合わさる冒頭部分。やはり時代のふるさは感じてしまう。

記録映画風のためか主人公が判然としない。そのため物語性が掴みきれず興味が持続しませんでした。

おすすめ邦画レビュー_10
『検察側の罪人』

台詞のセンスとテンポが秀逸に感じられます。通常は一つの台詞で一歩ストーリーが前進するとしたら、2歩も3歩もジャンプして進むイメージです。割とあからさま説明台詞を織り込んでいますが気になりません。プロの技という感じがします。

すべての登場人物がこの調子で会話を繰り広げるため、掛け合いを聞くだけで耳に心地よいほどです。

おすすめ邦画レビュー_11
『残穢-住んではいけない部屋-』

ジャパニーズ・ホラーと言えば聞こえは良いかもしれませんが、一昔前から存在するホラー映画となんら代わり映えのしない作品です。

暗い映像、静寂からの脅し、深刻な語り口などが踏襲されており、新鮮味が感じられません。

おすすめ邦画レビュー_12
『紙の月』

真面目な女性がハメを外し、人生のレールから転落する。夫のモラハラ、不倫、ブランド志向など、どこかで聞いたようなエピソードが続きます。

主人公もステレオタイプに感じられてしまい、リアリティが伝わってきません。おとぎ話のような邦画でした。

おすすめ邦画レビュー_13
『震える舌』

工場が乱立している側の川。幼い子供が遊んでいるうちに怪我をする。いつもの食卓で様子がおかしい子供と気にかける両親。台詞こそ少ないが映像による状況説明をしつこく感じる。

おすすめ邦画レビュー_14
『探偵はどこにでもいる』

台詞が説明的すぎて冒頭から物語にのめり込めませんでした。

おすすめ邦画レビュー_15
『男はつらいよ』

1作目を視聴しました。ストーリー主体ではなく、キャラクターが引っ張る物語は魅力的です。エピソードにもメリハリがあり間延びを感じさせません。

台詞回しや掛け合いが作品の大部分を占めます。しかし、余分な台詞が一言もなく、常に興味を引きつけられました。

おすすめ邦画レビュー_16
『釣りバカ日誌』

こちらも第一作目を視聴しました。やはりキャラクターが中心の物語です。時代を感じさせない面白さがあります。何気ない日常を描いたストーリーで、ひとりひとりの感情が丁寧に表現されており、関心が高いです。

おすすめ邦画レビュー_17
『天空の蜂』

冒頭から、物語のキーとなるヘリコプターや施設の説明が乱発します。肝心の主要キャラクターは、仕事人間のステレオタイプ。

物語を理解するために必要な説明だと理解できますが、キャラクターを売り込むことも必要ではないでしょうか。ストーリー展開上、余分だったとしても。

おすすめ邦画レビュー_18
『天使のいる図書館』

純真無垢な存在、美しい人物はそこにいるだけで見ていられます。しかし、それは長く持ちません。すぐに飽きてしまいます。本作の主人公はまさにそのような人物です。

また、丁寧過ぎる言動やロボットのような行動に違和感を覚えました。アニメや漫画では成立するキャラクターであっても、実写では成立しない事があるかもしれません。

おすすめ邦画レビュー_19
『怒り』

殺人を犯したひとりの指名手配犯。なんの接点もない3人の男たち。彼らの内、だれが犯人なのか? というミステリー設定は斬新に感じました。

しかし、3つの物語が錯綜するオムニバス形式のストーリー展開は、視聴者の感情移入を阻害します。人物の思考を理解して共感しかけたところで、別の話へ。その都度興味が分断されてしまいます。

おすすめ邦画レビュー_20
『東京物語』

印象的なエピソードで視聴者の興味を引きつける張り手型とは対象的に、日常の風景などを淡々と描きつつ順序立てて物語に入る撫で型。本作は後者による名作です。

ハイテンポな作品に慣れた現代人にとって、スローな語り口は多少退屈かもしれません。しかし、ひとりひとりのキャラクターを丁寧にかき分けているため、興味深く見られます。また、物語に見え隠れする「死」が、緊張感を保ちます。

穏やかなキャラクターに魅力を感じました。泣いたり怒鳴り散らしたりするだけが、感情表現ではないということを学べます。登場人物の年齢に近いほど共感できるのではないでしょうか。

おすすめ邦画レビュー_21
『日日是好日』

知らない世界を知ること自体が、一つのエンターテインメントだと思っています。その点、本作は茶道というごく限られた人しか関わらない世界を描いており、興味深いです。

善良なキャラクターばかりである点も、作風にあっているのではないでしょうか。ただし、茶道を深く掘り下げるあまり、ドラマ部分がやや希薄に感じられます。茶道に興味を持てない人はあきてしまうかもしれません。

おすすめ邦画レビュー_22
『不能犯』

もともと漫画が原作であり、瞳が赤くなる演出などの極端な演出が多い作品です。人間ドラマを魅せるというより、CGや映像で見せます。登場人物が非現実的すぎて魅力が感じられませんでした。

まとめ:ベスト3発表

2021年5月に視聴した22本の邦画の中から独断と偏見によってベスト3を決めました。

1位『駆込み女と駆出し男
2位『東京物語
3位『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜

選考基準は「もう一度見たいかどうか」「知人に勧めたいかどうか」です。他にも『釣りバカ日誌』『男はつらいよ』『検察側の罪人』『空飛ぶタイヤ』もおすすめしたい素晴らしい邦画だと思いました。