脚本のテーマとは? テーマの作り方や実例を紹介

この記事は 2023年10月24日 に更新されました。

脚本を書くとき、どこから手を付けるべきか迷うことがあります。脚本を書く手順に決まりはないので、自由に書き出して問題はありません。

しかしはじめて脚本を書く方は、そのように言われても迷ってしまうでしょう。そこで、脚本の執筆にあたり、まず考えたほうが良いといわれる「テーマ」について解説します。

脚本のテーマとはなにか、どうやって考えるのか、実際のテーマの書き方など、基本的なことをできるだけ優しくお伝えするので参考としてください。

関連記事:脚本の題材とは? テーマを伝える題材の作り方とコツ

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脚本のテーマとは?

脚本にとってテーマとは、とても大切なものです。テーマがなければ面白い脚本を書くことはできない、と言っても過言ではありません。

テーマがない、とは作者の主張がない状態です。主張とは、心のなかで思っている「なにか」のこと。目の前の人に伝えたい「なにか」です。

脚本を書く目的は、その「なにか」を伝えることだとも言えます。それがないということは、創作活動の根本がないということであり、致命的です。

一方、テーマ(主張)が分散しているのも良くない状態です。主張が多すぎると、読者や観客は「結局なにを伝えたいんだろう?」と疑問を持ってしまいます。そのような映画が面白いわけがありません。

そのため、一つの脚本(映画)には、一つのテーマが原則です。

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脚本テーマの作り方

はじめて脚本を書く方に、いきなりテーマを作るように言っても、どこから手を付ければいいかわからないかもしれません。

まず、テーマは自分の中から生み出すものだということを理解してください。とはいえ、ただ待っているだけで自然に生まれるものでもありません。

考えて、考えて、考え抜くことで、はじめてテーマの輪郭が見えてきます。では、何について、どのように考えればいいのか? その点について、以下で詳しくお伝えします。

テーマの作り方手順1_
モチーフを探す

ただ漠然とテーマについて考えるのでは非効率です。思考を巡らせる対象となるものを見つけましょう。それをモチーフといいます。

モチーフは、日常生活のいたるところに存在しています。普段は気づいていないだけなのです。

例えば、ネットで見つけた気になる話題、テレビのニュース、趣味のマイブーム、家族や友人に対する不満、街ですれ違う人への共感などなど。

思考を巡らすきっかけとなるような出来事がモチーフです。モチーフとはフランス語で「動機」「着想」という意味があります。

まずはモチーフを見つけることが、テーマを作る第一歩です。

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テーマの作り方手順2_
考えを深掘りする

モチーフが見つかったら、それについてじっくりと考えます。勘違いしやすいのですが、モチーフはテーマではありません。テーマの元です。テーマに昇華するには自問自答を繰り返す必要があります。

なぜ、自分はそのモチーフにひかれたのか。モチーフのどこに違和感を感じるか。そのモチーフを通してなにを主張したいのか。

ありふれたモチーフであっても、何を思い、何を考えるかはあなた次第です。そこにオリジナリティが生まれます。

テーマの作り方手順3_
厳選して主張する

ひとつの脚本にテーマはひとつです。モチーフに対していろいろと思うところがあっても一つに絞ってください。そして、誰が何と言おうとも、自分はこれを主張したいと言い切れるものでなければいけません。

いくつも主張があって一つに絞れないときは、伝える相手の反応をイメージしてください。相手が一番興味を引く主張はどれでしょうか。それこそが、脚本のテーマにふさわしいです。

テーマを厳選するコツは、一般常識の正反対に存在する主張を選ぶことです。読者は、普通とは違う意見に興味をひかれます。

逆に当たり前すぎる主張は、脚本のテーマになりにくいので注意してください。

名作映画のテーマの例

テーマとは、脚本を通して読者に伝えたい訴えであり、脚本家の主張です。声高に主張を叫ぶと敬遠されるので上手に隠していますが、名作映画にはそれらが備わっています。以下ではそのような名作映画のテーマの例を紹介します。

拝金主義者のトム・クルーズと自閉症の兄であるダスティン・ホフマンが旅を通して心を通わせる映画『レインマン』では、金よりも人間同士の絆が人生を豊かにすることを主張しています。

ジャック・ニコルソンが演じる探偵が、ある殺人事件をきっかけに裏社会の暗部へと切り込んでいく映画『チャイナタウン』では、過酷な運命にあらがうことがどれほど難しいかという現実を訴えかけます。

マコーレー・カルキン主演の映画『ホーム・アローン』では、普段はうとましいと思っている家族でも本当は大切な存在だ、ということをテーマにしています。

遺伝子操作によって現代に恐竜をよみがえらせた映画『ジュラシック・パーク』では、生命を作り出そうとするおごり高ぶった人間には天罰が下るというテーマがあります。

このように名作映画にはテーマが存在しており、見終わった後にはきちんと伝わっているのです。

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まとめ

脚本にはテーマが不可欠です。良い映画作品には必ずと行っていいほど明確なテーマが備わっていることからも納得していただけるでしょう。

脚本のテーマを作るにはまずモチーフを探します。次にそのモチーフに対して深く考えをめぐらしてください。最後に、誰にも譲れないあなただけの主張を生み出すのです。

その主張は一般常識からはそれているかもしれません。しかし、非常識であるほど、輝きを増します。それこそが脚本のテーマです。

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  1. ヨシコ

    わかりやすくてよかった。要素をいれすぎるから自分でもわからなくなっていることが再確認できました。
    脚本とは丁寧に考えながら書かないとだめですね。ありがとうございます。

    • かかねば

      ヨシコ 様

      コメントありがとうございます。また、わかりやすくてよかったとのお言葉、ありがとうございます。
      確かに、要素をいれすぎると脚本が分かりにくくなってしまいますね。
      脚本を書くときは、必要な情報だけを選び、それを効果的に伝えることが大切だと、私も常にそう心がけています。
      今後もお役に立てるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。