脚本の書き方で絶対に守るべき7つのルール

脚本の書き方で絶対に守るべき7つのルール

脚本の書き方にはルールがあります。なかでも必ず守らなければならない決まり事を7つピックアップしました。初心者からプロまで、脚本家はこの書き方ルールにのっとって脚本を執筆しています。記事で紹介する脚本の書き方ルールは基礎中の基礎であり全てが重要です。脚本家を目指す初心者の方はもちろん、すでに脚本の書き方を習熟している方も初心を思い出すきっかけとしてください。

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【脚本の書き方ルール1】
用紙の準備

脚本は、400字詰め原稿用紙(タテ20文字×ヨコ20文字)一枚が、約1分の映像だと計算します。例えば1時間ドラマでは、400字詰め原稿用紙60枚相当の脚本が必要です。

脚本はA4もしくはB5サイズの用紙に書きます。その際用紙は横向きにして、文字の書き方は縦書きです。またパソコンで書いた脚本は、無地のコピー用紙に文字のみ印刷します。原稿用紙のマス目は読みづらいのでNGです。

ページ番号(ノンブル)は完成した後に書きます。その際、表紙、登場人物の一覧表、あらすじは除外して本文から番号をつけてください。

【脚本の書き方ルール2】
表紙タイトルの書き方

脚本の表紙にはタイトルと作者名を書きます。タイトルは中央に書き、作者名はその脇に書いてください。
脚本コンクールの応募原稿のなかには、イラストを描いたり、カラフルにデザインしたりする表紙があります。脚本コンクールは、懸賞応募と違うので見た目で目立っても無意味です。シンプルに脚本タイトルと作者名のみ書いてください。

【脚本の書き方ルール3】
登場人物の一覧表の書き方

表紙タイトルの次には脚本に登場する人物の一覧表を書きます。登場人物の「名前」「年齢」「職業(主婦や学生なども含む)」を一人ずつ箇条書きで書いてください。用紙の右から順番に、脚本にとって重要な人物から書きます。具体的には「主人公」「脇役」「端役」「エキストラ」の順番で書いてください。

脇役・端役・エキストラの定義

脚本の主役は明確でも、脇役、端役、エキストラの区分けは初心者には難しいかもしれません。脚本の本筋にかかわる主人公以外の人物は「脇役」です。本筋にかかわらないがセリフのある人物を「端役」、本筋にかかわらずセリフもない役を「エキストラ」といいます。

重要度で名前の書き方を変える

脚本の登場人物一覧表では、キャラクターの重要度によって名前の書き方を変えます。「主人公」と「脇役」はフルネームで書いてください。「端役」は略称(名字のみ、○○先生など)で書きます。そして「エキストラ」は職種や立場(警官・同僚など)で書いてください。

登場人物の一覧表に書かない部分

俳優が実際に演じるキャラクターのみ、登場人物の一覧表に役名を書きます。例えば写真が写っただけでも役名は書かなければいけません。一方、たとえ脚本のどこかで名前が出たとしても、演じる役者の映像が映らなければ一覧表には書かないのです。

また登場人物の経歴や性格は一覧表には書きません。それらは脚本の本文で表現するからです。例えば、学生時代は不良だったが成長して教師になった登場人物の場合、「田中太郎(26)教師」とだけ書きます。さらに、高校時代の回想エピソードも脚本で書く場合は「田中太郎(18)(26)教師」と、該当する複数の年齢を書いてください。また、1~2歳くらいの変化であれば、あえて書きません。

【脚本の書き方ルール4】
あらすじの書き方

あらすじとは、脚本の内容を800字程度に要約した文章です。コンクール応募の脚本あらすじには、基本的に物語の始まりから最後まで書きます。オチ(結末)まで含めて書いてください。あらすじを書き慣れない方は、文字制限を気にせずに一度自由に書き、後から文章を削って文字数の調整をおこなえば迷わずに書けます。

撮影現場で使う脚本にあらすじは不要ですが、コンクールの応募脚本にはあらすじが必要です。あらすじは脚本本文の魅力を伝える重要なパーツなので、ぜひ正しい書き方を身に付けてください。

【脚本の書き方ルール5】
柱書きの書き方

脚本の柱書きは「はしらがき」と読み、シーン(場面)の場所や時間帯などを指示します。柱書きの書き方は、まず「○」を文頭に書きます。ただしシーンナンバーは書きません。なぜなら連番をつけると脚本をリライトするたびに脚本全体に修正を加える必要があり非効率的だからです。そして最初の柱書きを除くすべての柱書きの前は必ず1行空けて書いてください。

ちなみに柱書き(=シーン)の数は、基本的に制限がありません。柱書きが1つでも、たとえ100以上あったとしても、脚本自体の評価には影響しないのです。

場所の書き方

シーンの場所を柱書きに書く際は、具体的に書いてください。次のような書き方は抽象的で悪い例です。

○田中家

これでは寝室なのか、リビングなのか、外観なのか、田中家のどこを指しているのかわかりません。正しい柱書きの書き方は、次を参考にしてください。

○田中家・寝室
○田中家・リビング
○田中家・外観

また登場人物が移動して場所が変わる場合、柱書きの書き方は「同」で省略できます。

○田中家・寝室
 ~内容省略~

○同・リビング

時間帯の書き方

脚本の柱書きでは、時間帯を書くことができます。場所に続いて早朝、朝、夜、深夜など大ざっぱな表現で時間帯を書いてください。

○田中家・外観(夜)

時間帯は柱書きごとに指定します。同じ時間帯のシーンが連続しても省略せず、そのたびに書いてください。

○田中家・外観(夜)
 ~内容省略~

○同・リビング(夜)

また時間帯を書かない場合は昼を意味します。

回想の書き方

回想シーンの場合、その始まり位置を柱書きに、終わる位置を脚本の本文に明記してください。

○(回想はじめ)田中家・外観
 ~内容省略~

○同・リビング
 ~内容省略~

○同・寝室
 ~内容省略~
(回想終わり)

また夢や妄想の場所を柱書きとして書く場合も、同様の書き方で問題はありません。

【脚本の書き方ルール6】
ト書きの書き方

ト書きは「とがき」と読み、登場人物の行動やその場の状況を指示するための要素です。まずト書きは、3文字下げて書き出します。そして現在進行形で書いてください。たとえ回想による過去のシーンを書く場合でも、「今」目の前で動いている映像の脚本は、現在進行形で書くべきなのです。

主要人物の初登場時はフルネームと年齢を明記します。なぜなら脚本の読者である制作スタッフが、キャラクターの人物像をイメージしやすくなるからです。しかし2回目以降は名前を省略できます。その際、男性は名字のみ、女性や子供は名前のみのように書き分けてください。

ト書きに書けない要素

ト書きには「人物の行動」や「状況説明」など映像として映る事柄を書きます。逆に「心情」や「葛藤」のようなカメラに映らない事柄は書けません。そのため、次のようなト書きの書き方は不適切です。

田中太郎は嬉しい

心情を表す場合は、映像で伝わるように工夫しなければなりません。

田中太郎はニッコリ笑う

このような書き方であれば制作スタッフにも視聴者にも脚本の意図が伝わります。

読みやすいト書きの書き方

一般的に小説より脚本のほうが読みにくいと言われます。小説はそれ自体が完成形であるのに対し、脚本はあくまで映像化するための設計図だからです。しかし脚本を小説に近づける必要はなく、設計図としての読みやすさを突き詰めなければなりません。具体的には、ト書きの書き方を工夫するのです。

多くの人が行き交う通りを田中太郎が歩いてくる。

上のト書きは普通の文章ですが、脚本として読みやすさを追求するには状況説明と登場人物の行動を分けて書きます。

多くの人が行き交う通り。
田中太郎が歩いてくる。

まず場面設定があり次に人物が登場するという映像がイメージしやすくなりました。さらに「田中太郎が歩いてくる」という文章も、登場人物とその行動で分けます。

田中太郎、歩いてくる。

【「登場人物」、「行動」】のように区切ると、俳優や制作スタッフはスムーズに読めます。彼らは役名を目印に脚本を読むことがあるため、小説のように役名が文章に埋もれてしまうと読みにくくなるのです。

歩いてくる田中太郎。

また【「行動」+「登場人物」】のように役名で文章を終えるパターンもあります。その登場人物に注目してほしいという脚本上の演出意図が伝わるでしょう。

一瞬の出来事をト書きで表現する

一瞬だけ差し込まれる短い映像は、新たな柱書きを立てずト書きの中にフラッシュとして書きます。

***
(フラッシュ)
歩いてくる田中太郎。
***

観客に過去のシーンを思い出してもらうフラッシュは、説明的になりやすいです。観客は説明的な描写を本能的に嫌うので注意しましょう。一方、シーンに異質な雰囲気を差し込むなどの演出としては効果的です。

【脚本の書き方ルール7】
台詞の書き方

台詞は「せりふ」と読み、主に登場人物が話す言葉を指します。台詞の書き方は、人物名を行頭に書き続くカギカッコ内にしゃべらせたい言葉を書きます。カッコ内の台詞が複数行にわたる場合、2行目からは1文字下げて書いてください。また台詞の文末に句点「。」は不要です。

台詞内ト書きの書き方

台詞の微妙なニュアンスを指示する場合、カギカッコ内に丸カッコを書いて台詞内ト書きを書きます。

田中「(苦痛の表情で)大丈夫だよ」
佐藤「(かぶり気味に)病院に行こうか?」

台詞内のト書きは、台詞と心情が異なる場合や間の取り方で指定がある場合に有効です。ただし頻繁に用いると脚本が読みにくくなるので注意してください。

台詞のニュアンスを伝える記号の書き方

台詞のニュアンスを伝える記号には、正しい書き方があります。ためらいの意味を持つ三点リーダー「……」や、台詞が途絶えたときのダッシュ「――」は、全角2文字で書いてください。また、「?」「!」「!?」などの疑問符や感嘆符は全角1文字で書きます。また文章が続く場合はさらに全角1文字分を空けて書いてください。

田中「……コーヒーでお願いします」
佐藤「なんで!? いつもは紅茶を――」
田中「今日はそういう気分なんだよ! 何か問題がある?」

ナレーションなどの書き方

脚本にはナレーションやモノローグなど、通常の台詞とは違う書き方があります。場面や設定を説明するときに使うナレーションは【人物名+(N)】と書いてください。登場人物の心情を語るときなどに使うモノローグの場合は【人物名+(M)】と書きます。また電話口など姿はなく声だけの場合は【人物名+(声)】のように書くのです。また、テロップの場合は【T】とだけ書きます。

T「ある日の本屋にて」
田中N「今日は週に一度のアルバイトの日だ」
   田中、漫画を陳列している。
田中M「暇だな」
   店の電話が鳴る。
   電話に出る田中。
田中「もしもし」
店長(声)「田中くん? 明日もシフト入れる?」

個性的な台詞を書くコツ

理想の台詞とは、脚本に登場する人物の名前を隠しても誰だかわかるほど、個性にあふれた台詞です。しかし脚本の執筆に没頭してしまうと、台詞がワンパターンになる傾向があります。
個性的な台詞を書くためには、その登場人物の台詞だけを追いかけてリライトする手法がおすすめです。まず脚本の最初から最後まで主人公の台詞だけを読みます。そうすることで主人公にマッチする言葉遣いが自然と浮き彫りになるのです。

【おまけ】
脚本コンクール応募の注意点

最後に脚本コンクールの応募時の注意ポイントをお伝えします。

ルールは絶対守る

まず各脚本コンクールの応募要項は熟読してください。脚本コンクールによっては独自の条件を設定していることもあるので必ず守りましょう。特に応募の締め切り日時や用紙の枚数は絶対条件です。1日だから、1枚くらいと甘く考えていると、読まれずに不合格となりかねません。

応募原稿の装丁

脚本の応募方法は、データをインターネット送信する方法と、原稿の実物を郵送する方法があります。
原稿を郵送する場合は、普通のコピー用紙に印刷します。手書き原稿は受付不可であることが多いので避けましょう。
原稿がそろったらきれいに重ね、右側に穴あけパンチなどで穴を開けます。ひもを通してしっかりとしばってください。
応募原稿の装丁が整ったら封筒に入れます。封筒は市販の無地の封筒で結構です。宛先と自分の氏名住所を明記の上、「応募原稿在中」と朱書きをします。郵便事故を防ぐため、ポスト投函ではなく、郵便局から簡易書留で送るほうが良いでしょう。

二重応募や盗作は厳禁

脚本コンクールには絶対にやってはいけないタブーがあります。まず自身の脚本を同時期に複数の脚本コンクールへ応募する行為は、二重応募とみなされ厳禁です。同様の理由から、合否の結果が出る前の応募脚本をインターネット上へ投稿する行為も控えてください。ただし落選が確定した脚本であれば他の脚本コンクールに応募したりウェブにアップしたりしても問題はありません。
盗作もタブーです。読む人が読めばすぐに発覚しますし、その悪いレッテルは消えません。また多くの脚本コンクールでは原作ありきの脚色脚本は認められていません。オリジナル脚本が最低条件です。

まとめ

映画やドラマの制作スタッフにとって脚本は羅針盤です。その脚本の書き方が間違っていると彼らは仕事になりません。そのため、脚本は正しい書き方で書く必要があるのです。用紙設定や登場人物一覧表の書き方から、ト書き・台詞などの書き方にいたるまでルールを守りましょう。その上で面白い脚本を書いてください。